緑の光線

  • 文遊社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892571077

作品紹介・あらすじ

水平線に沈む夕陽が最後に放つ、
翡翠のような光を探して、島から島へ―

ヴェルヌ、異色の恋物語『緑の光線』(中村三郎訳)に、幻の初期短編『メキシコの悲劇』(小高美保訳)を併録。Léon Benett、Jules-Descartes Fératによるオリジナル挿画50点を収録。

感想・レビュー・書評

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  • エリック・ロメールの『緑の光線』(1986)が大好きで、たまたま図書館で同じ題名の本を見つけたので読んでみた。表紙は不思議な色の光沢で彩られていて、素敵な装丁。作者が『海底二万里』などで有名なジュール・ヴェルヌなので驚いた。読む内の少しずつ引き込まれて行って面白い作品だった。

  • ヴェルヌにしては珍しい(?)恋愛物。
    恋愛物としては平凡ですが、脇役の、学者先生の描写が光る。
    この学者先生、理系男子あるあるな人。
    物知りなところを見せているのかもしれないけど、小難しい話ばっかりで全然おもしろくない。女の人はそういうトークには興味がないってことがわからないという男の人は現代にもいる。間の悪い登場の仕方といい、モテない男の典型として、100年たっても変わらない、普遍性があるということに感心してしまいました。
    同時収録は『メキシコの悲劇』。簡単に言うと復讐物。ヴェルヌっぽい冒険的なワクワク感はないに等しく、コメディテイストもなし。まだヴェルヌらしさを発揮する前の、若い頃の作品ってことで習作だと思えば悪くない。他の作品に比べると見劣りするのは否定できない。

  • グリーンフラッシュとして知られている『緑の光線』を見たいがために双子の伯父を引っ張りまわす姪と伯父たちが姪の結婚相手にと考えている偏屈な学者、姪を好きな青年の繰り広げる恋愛物でした。舞台はあちこち移動しますが派手な動きが少なく、ヴェルヌとしてはかなり大人しい作品でした。人が良いとしか表現できない伯父たちに好感は持てますがかなり我侭に物事をすすめる姪にはいい印象は持てませんでした。若さ故の自由さ、奔放さを謳歌していて見方によっては魅力的なのでしょうが伯父たちの苦労ばかり想像してしまいました。

    収録されているもう一つの作品『メキシコの悲劇』は復讐物。メキシコの地理や風土が細かく書かれており、作者が24歳の時の作品とあとがきで知り驚きました。この作品を書くためにどれだけのことを調べたのだろう、と当時の情報を得る手段の少なさを思うと感服します。

  • SF作品だと思っていたら、恋愛もの。意外でした。こういう作品も書いていたのですね。でも流石は天才ジュール・ヴェルヌ。「海の波動におよぼす魚の尾ひれの影響はいかに?...」は、もうカオス理論でしょ。舞台がフランスじゃなくてスコットランドなのも驚いた。荒れ狂う海や、石柱、さまざまな海鳥などの描写は本当に良く現地を取材したのだなと関心させられた。2編目のメキシコを舞台とした作品は24歳のときのものと知り、さらにびっくり。当時情報が限られていた時代にこれだけの取材をしたのだから、やはり大したものです。

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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