竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記

  • 342人登録
  • 4.24評価
    • (52)
    • (40)
    • (16)
    • (3)
    • (1)
  • 64レビュー
制作 : ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ  Yoko Kawashima Watkins  都竹 恵子 
  • ハート出版 (2013年7月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892959219

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 良かった、感動したなどという読後感がひんしゅくを買うのであれば、「心を打たれた」と言い換えよう。
    これまでも戦争物を数多く読んできたけれど、11歳の少女の目を通して語る体験談は初めて。
    終戦時の朝鮮半島を縦断する決死の逃避行と、引き揚げ時の苦労談は、淡々と語っているからこそ凄まじさが伝わる。
    1986年にアメリカで出版され、日本語版ははるかに遅れて2013年7月19日に世に出されている。
    たったひとりの少女の自伝の出版がこれほど遅れた理由は何なのか、それはもうこの際どうでも良い。
    今はただ、ひとりでも多くの方に読んでいただきたい。
    読み手の考え方で、突っ込みどころも数々存在する作品だが、著者のヨーコ・カワシマ・ワトキンズさんの意図するところはただひとつ。
    後書きにあるように【この物語を通して、戦争の真っ只中に巻き込まれたときの生活、悲しみ、苦しさを世の中に伝え、平和を願うためのもの】なのだ。
    そしてもうひとつ。
    【戦争とは恐怖そのもので、勝負はなく互いに「負け」という赤信号】という言葉も、深くかみしめたい。

    なんでも韓国では、2005年に出版されるもその後発禁となったという。在米韓国人たちも、あちらで教材として扱われることに対してかなりの反対運動を繰り広げたと聞く。
    ということは、たぶん描かれていることは真実であるに違いない。
    本書の内容について予備知識が多少あった私が読むと、レイプ場面などはむしろ簡潔にさえ感じられる。
    ヨーコのお母さんが同じように自伝を出せば、更に熾烈を極めたものとなったろう。
    その母親が亡くなる場面では、涙・涙だったが。 

    ヨーコの姉・好の、ナウシカばりの凛々しさと賢さ、たくましさ。妹を思う優しさ。
    目的意識の明確さと自己管理能力の高さがなせる技だろうが、今の子供たちには圧倒的に欠如している部分だ。
    だがそういう私も、子どもの頃どれほどこのふたつを手に入れたかったことか。
    兄・淑世を決死の覚悟でかくまった朝鮮人夫婦の温かさ。ここも見逃せない。
    親交を深めた人々も、何人も登場する。
    食うや食わずの状態でも真っ先に子どもたちの教育を優先させた、賢明なお母さん。
    そんなお母さんの願いがかなって、その後のヨーコを教育が確かに支えていったこと。
    そして、心を鼓舞してくれるものはいつも家族の絆だったことも忘れたくない。

    こんなにも学ぶべきものがたくさんあるというのに、ページをめくる手が止まらなかった。
    遅読の私が、わずか数時間で読み終えたのだ。
    昨年新聞の書評で見てから「読みたい」と思い続け、ブクログの皆さんのレビューがそれを後押ししてくれた。
    ありがとう、レビュアーの皆さん。ありがとう、ヨーコさん。
    そして日本でも、アメリカのように中学の教材として使われることを心底願う。

  • 著者・ヨーコさんは、終戦後の満州からの引き揚げを経験し、

    日本に戻ってからも苦労をしながら学問を続けて、
    後にアメリカ人と結婚、渡米されています。

    この本はそんなヨーコさんがご自身の戦争体験を元に、
    1986年に書かれた一冊、アメリカの学校では副読本にもなっているとか。

    人の醜さと高潔さを同時に伺える、そんな印象が残りました。

     日本人の陰湿さも、朝鮮人の暖かさも、
     朝鮮人の残虐さも、日本人の高潔さも、

    その全てが綯い交ぜになって、人の本質が紡がれている、

    戦争は極限状態の連続ですが、人はその極限状態で、
    民族などとは無関係な“生の本質”をあらわすのでしょうか。

    一貫しているのは、共産主義勢力のエゲツなさ、
    これは、ソ連も共産支那もかわらない、さすがの毛沢東。

    ん、こちらであれば、小中学生にもフラットに読ませられると思います。
    戦争の悲惨さと陰鬱さ、その中でも失われない人間の尊厳、、

     “戦争とは恐怖そのもので、勝負はなく互いに「負け」”

    これに尽きると思います、ただこの一言に尽きると。

    圧倒的な暴力の前では人は無力で、翻弄されて、理不尽に“奪われていく”、
    そして関わった人は誰もが、何かしらを“失っていく”、それが故に、、

    戦争に“勝者”というものは存在しないのではないかと、
    そんなことを、真摯に伝えてくれると、そう感じます。

    そして、こういった書籍を副読本として使うアメリカの懐の深さは、さすがだなと。
    いつの日か息子が読むように本棚に並べておこうと、そんな一冊です。

  • 感動しました。
    戦争時の生々しい体験記として希少です。
    日本人として読んでおきたい一冊。

  • 難民になるとはどんなことなのかが、よくわかる。

    印象深いのは、京都に戻ってから、お母さんが最初に決めたことが、子供達の学校のこと。家も仕事もない状態、先が読めない状態で、子供の教育を真っ先に考えられるだろうか?

    いろんな意味での育ちの良さが、逞しさや凛と生きることにつながっているのだなぁと感じられた。

    反戦だけでなく、今を生きる、明日を生きることを考えさせられる本です。

  • 敗戦前後に朝鮮北部から半島を縦断し日本に引き揚げ、帰国してからの厳しい生活をたくましく生きる。安きに流されず、生きることをあきらめない強さに感動しました。
    日本の敗戦後、朝鮮人の中に、これまでの憂さを晴らすように凶悪な行動をとった人がいた一方で、自分の生命の危険を顧みず日本人を匿い、家族として遇してくれた人がいたことが書かれています。『夜と霧』の一節(P144)を思い出しました。

  • 半日で読了。戦争というものは、こんなに凄まじい体験を民間人にまでもたらす。そうして生き残った人間は結果的に得難い体験をして成長してきたのだとしたら、戦争のなくなった社会は衰退していくばかりだったりして。戦争賛美では決してないけど。

  • この本とは逆に、「半分のふるさと」という、第二次大戦中に日本で暮らしていた韓国の少女の自伝もとても良い本でお勧めです。彼女もいい日本人と酷い日本人に出会っています。抜粋が日本の小学校の教科書に採用されていることも「竹林〜」と重なります。
    川崎市立図書館ではフロンターレ文庫に選ばれています。

  • 満州からの引き揚げ、取った進路は違いますが祖母も通った道。
    そのときのことを聞こうとした母に「もう、忘れた」と言って語らなかった祖母(父方の祖母です)。
    それを母から聞いたときは漠然と「戦争は大変だった」と思ったけれど、この本を読んで私が想像していたことは本当に単なる「想像」で「漠然」としすぎていたと分かりました。

    今も世界のどこかで内戦や紛争があり、同じような苦しみがいまだに現実として存在しているのが哀しい・・・というより悔しいです。
    この本は、辿った道はアジアですが、世界中のだれが読んでも理解できる内容。
    これから未来に向かって少しづつでも平和で戦争のない世界になっていくように、いろんな国のいろんな世代の方々にも読んでほしいです。

  • 太平洋戦争終結後、朝鮮半島からの逃避行を綴った本。
    実際には朝鮮半島でのいきさつは半分程度、残りは国内での
    エピソードとなっています。
    誰を責めるでもなく、起きたことを淡々と記す様に、かえって当時の辛酸がしのばれます。
    後半は日本で前向きに生きていこうとする姿が記されており、好感が持てます。
    注目したいのは「日本語版刊行に寄せて」のところ。在米韓国人の嫌がらせが発生したことが事実として載せられています。
    著者も書いているとおり、親切な朝鮮人もいて、そのことも記されているのに、読みもしないで愚にもつかない嫌がらせをしている様は滑稽としか思えません。
    この国では、新聞やTVで旧軍=悪、中韓人=善とステレオタイプな表現が目立ちますが、いずれも誤りと思います。
    (勿論、戦中戦後に唾棄すべき振る舞いのあった軍人・官僚・民間人もいましたし、避難を助けてくれた中韓人もいましたから、要は人それぞれということで、民族の優劣という話では毛頭ありません。)
    数多の新刊が世に多く出るなかで、正しい歴史認識を得られる本書のような人口に膾炙されることを切に願い、評価させて頂きます。

  • 本日届いたばかりだが、一気に通読した。
    読み終わってまず感じたのは…
    「ただ感動した。」である。
    朝鮮人、ロシア人の残虐性を赤裸々に書いた
    反韓的な内容だと想像していたが違っていた。
    もちろん、上記の様な内容も含まれているが
    テーマは反戦であり、誇りを持ち強く生きる、である。
    特に、主人公であるヨーコや、その家族、友人達の生き方は
    日本人なら共感でき、また感動するであろう。
    極めて公平に書いている本書に対して、なぜ在米韓人が騒ぐのか
    理解に苦しむと共に怒りを感じる。多くの日本人に読んで欲しい。
    続編も邦訳を望む。

全64件中 1 - 10件を表示

ヨーコ・カワシマ・ワトキンズの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
佐々木 圭一
デール カーネギ...
三浦 しをん
ウォルター・アイ...
高野 和明
有効な右矢印 無効な右矢印

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記に関連するまとめ

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記を本棚に「積読」で登録しているひと

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記の作品紹介

終戦直後の朝鮮半島と日本で、日本人引き揚げ者が味わった壮絶な体験を赤裸々に綴る、息もつかせぬ、愛と涙のサバイバルストーリー。

ツイートする