竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記

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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892959219

感想・レビュー・書評

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  • 11/10読了

  • 作者は亡母と同じ歳で、父親が満鉄で働いていて、同じように満州から引き上げて来た。母は忘れたいと思っていたのか、歳とってからは当時の苦労話を言わなくなった。

  • 邦訳が出るという話を聞いて、発売後すぐに購入した。
    読後、様々な感情が湧いてきて、私の知らない想像を絶するであろう戦争時の状況の事を考えた。川島親子がどれだけの恐怖と苦しみを味わったか…。特にお母様の京都駅でのくだりは筆舌に尽くしがたい。まさか…と思った。現代の京都や京都駅の美しさだけを知っている人からすれば、65年前にこんな事が起こっていたなど考えたこともなかった。

    この本はアメリカの学校では副読本として学びの材料になっていたという。しかし2006年に韓国人の団体が工作活動をした所為で不採用になったり、問題が起こったらしい。この事実を知ったことも本書購買の大きな理由の一つだった。実際に読んでみて、問題となるような箇所は見受けられない。朝鮮人が日本の敗戦直後、一気に手の平をかえして日本人達を殺したり強姦したりしたのは(周知されているとは言い難いが)事実だし、だからといって朝鮮人すべてが悪である風には全く描かれていない。擁子さんの兄の命を救ってくれたのもまた朝鮮の人だったし、羅南で親族同様に過ごしていたのも朝鮮の人だった。著者も後書きに書いていたが、人間というのは戦争等混乱に陥った時、品性が下劣になりがちであるという。しかし、どのような時でも清く正しい行動の出来る人もいるし、慈愛に満ちた人もいる。この本の内容が朝鮮人の全否定に繋がるわけでもないのに、アメリカでそういう活動が行われたことは言語道断である。そのような行為により、かえって平和な時代でも彼らの品性が下劣であることを自ら証明した。実に愚かと言わざるを得ない。

    なぜこれまで日本で読まれていなかったのか不思議でならないけれど、この度本書が邦訳され出版されたのは素晴らしいことで、訳者の方々や出版社に賛辞を贈りたい。当時の壮絶な状況と現在の豊かさの対比から、色々と考えさせられる新たな良書が登場したと考える。
    本書にはないが、その後擁子さんがどのようにアメリカへ渡ったのか、兄、姉、そしてお父様の事もどうなったのかも知ってみたいと思った。

  • 友人に紹介して頂き、図書館にリクエストして。
    手に取りましたぁ。

    現在の北朝鮮からの引揚げ家族のお話し。
    アメリカで教材となり、韓国の方々からの反対運動に。
    日本での翻訳出版が遅れた・・・。本作。

    擁子という少女の視点で。
    ひたすら、逃げ帰るるお話し。
    母、姉と共にまず【京城】へ向かう。
    工場へでかけた兄に、京城でとの置手紙を残したから。
    38度線を越えるまでの緊迫感・・・。
    生死を分けるわずかなこと。

    京城では待てども兄と再会できず【釜山】へ。
    釜山でも会えず【博多】への船に乗船の母子。
    母の里、青森へは娘たちは行かず【京都】の駅で新生活を。
    母の希望、娘たちへの『教育』の場として。

    怖いというのか、酷い朝鮮人もでてきますが
    優しい朝鮮人もでてきます。
    必死な日本人・・・もたくさんで。
    『戦後』がものすごくリアルです。
    京都でも助けてもらえる方々。
    女学校での・・・。いろいろ。

    圧倒されます、体験に寄り添っての迫力があるから。

    『生き抜く』

    生き抜けたお話しかと。

    京都の駅で母を亡くしますが。
    京都で兄と再会できたいいお話し。
    だと、思っております。

  • 著者の自伝的小説。
    問題にもなったようなのでなんとも書きづらいですが、あくまで著者のいち経験ということで、こういう経験をされた方もいるんだと勉強させていただきました。

  • 1945(昭和20)年、敗戦の間際に母、姉とともに当時住んでいた羅南(現在の北朝鮮・咸鏡北道清津市)を脱出、決死の朝鮮半島逃避行を経て、 日本へと引き揚げてきた著者(擁子)自身の体験を綴った自伝的小説です。

    この本がボクに教えてくれたことは、当時の朝鮮半島には親日的な朝鮮人と反日的な朝鮮人がいたこと。親日的な朝鮮人は日本人に良くしてくれるが、反日的朝鮮人の中でも特に抗日パルチザンは節操がなく、民間人(日本人)を蹂躙することを全く厭わず、略奪の限りを尽くし、年頃の女性と見るや強姦を試みたということ。そして抗日パルチザンは親日的な同胞に対しても殺戮・略奪を厭わなかったこと。さらに、終戦後、"南側"の民間朝鮮人も日本人女性を隙あらば強姦していたことです。

    レイプ狂の反日的な朝鮮人の脅威から身を守るため、擁子(11歳)と姉の好(16 歳)は髪を短く切り、男子の装いで彼ら朝鮮人レイプマンを欺いていました(さらに好は、胸をさらしできつく巻くことで防衛していた)。本書の中で、好は抗日パルチザンから1度、民間朝鮮人から1度の計2度レイプの危機に瀕し、その都度なんとか危機を脱することができましたが、無理やり犯されて泣き叫ぶ他の日本人女性の描写がいくつか綴られています。

    ところで、原書は1986 年にアメリカで刊行後、数々の賞を受賞し、アメリカの中学校の教材(副読本)として採択されたと言います。また、著者は1998年のボストン図書館が最も推奨する児童文学者(Literary Lights for Children)に選ばれ、ガンジーやマザー・テレサ、ダライ・ラマも受賞したというピース・アビー(平和のための修道の家)の賞も受賞しているそうです。

  • 満鉄に務める父を持ち、朝鮮半島で優雅な生活を送っていた擁子。日本が敗戦したことで、擁子と姉の好、母は祖国日本を目指して朝鮮半島を縦断することに・・・。
    朝鮮半島から引き揚げた一般の人の体験談って読んだことがなかったので、新鮮でした。引き揚げの大変さ、引き揚げてからの暮らしの厳しさを知りました。戦争は本当に嫌。

    アメリカで学校教材として採用されていて、色々と問題も起こったらしいです。うーん、どう読むかによるんだろうなぁ。

  • 教員からのコメント:終戦直前の朝鮮半島からのひきあげのはなしです。

  • 従軍慰安婦問題がクローズアップされる中で、珍しく朝鮮半島における日本側の戦争体験手記だった。アメリカでは戦争の悲惨さを伝える為に教科書にも載っているらしい。

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