大島弓子にあこがれて~お茶をのんで、散歩をして、修羅場をこえて、猫とくらす

  • ブックマン社
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本棚登録 : 140
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893088253

作品紹介・あらすじ

『綿の国星』『グーグーだって猫である』『サバ』シリーズ…数々の名作が、今の私たちを作り上げた-「大島弓子的生活」をもとめた3人の最後の大島弓子論。単行本未収録カット満載!!やまだないと描きおろし「大島弓子オマージュマンガ」収録!

感想・レビュー・書評

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  • グーグー映画版の批判部分がやや気になりました。
    大島弓子に関わらず好きな作品がメディアを超える、好きであればあるほど失望はどんな作品であれほぼ確定です。わざわざ見に行くのならそれは承知の上で、なおメディアを超えて焼き直される意味をどうにか探すものじゃないんでしょうか。
    正直を言えば私も悔しいのかうれしいのかわからない涙を流しつつ、気持ちの整理がつかなくて何度か映画館に足を運んだ者です。
    ただ、大島弓子がモデルとはっきり銘打たれ諸作品が紹介されることで、映画自体からはふわっとかわいい程度の印象しか受けないとしても、大島作品未読の方に原液(原作だけでなく)に手を伸ばしてもらうきっかけとして悪くないと思いました。

    こう言ってはなんですが、グーグーの絵柄はざっくりとして、手塚賞受賞とはいえ初大島の方がいきなり手を伸ばすにはある程度人を選んでしまう可能性があるように思います。また、大島作品に普遍性があるとはいえ、ますます時代から遠ざかる作家であるのは例外ではなく、といって、今後もコア化していく読者の中から大島さんから影響を受けた作家は出ても「ポスト」を継げるような堂々たる才能は恐らく出ず、それは大島さんに興味をもち一ページ開いてみる読者が確実に減っていくということだと思います。

    帯にもある「誰もが私だけの大島弓子を持っている」という言葉は、大島弓子を知って(読んで)いる人が少なからずいる、という前提のもとに書かれていたように思います。
    私だけの大島さんでいてほしいけれど、大島さんが時代から忘れ去られるのはもっとかなしい。それがファンの本音じゃないでしょうか。
    時の流れには逆らえないけれど、この御本含め、大島弓子に興味を持たれる方がこれからも絶えないとうれしいな、と思いました。

  • 大島弓子は特別過ぎてどこがどう好きなのだかわからないほど好きなのだけれど、ああこういう解釈があるのかと感心したり、ちょっと私とは感じ方が違うなと訝ったり、だからってこれを読むことによって私の中の大島弓子は変わるわけではなく頑なに存在するのだけれど、大島弓子愛が大きな熱量で伝わってくるのでとても楽しく読めた。懐かしいイラストやカットがふんだんに掲載されているのでそれでもうハピネス。オールスターキャストのカラーイラストはまるで宝箱から零れ落ちた宝石にようにキラキラ眩しく今も色褪せず語りかけてくるし。悶えます。

  • [図書館]
    読了:2019/8/21

    すごーく想いのこもった本。イラストエッセイみたいな雑誌掲載のみのカットもよくぞこれほど…と思うほどの量が散りばめられている。当時好きだった人にはたまらないだろうなぁ。

    しかし、バナナブレッドのプディングを読んだ時から感じた「私は大島弓子の世界には入っていけない」という感覚は変わらなかった。
    どれほど解説されても、幸せなお嬢さんの幸せな悩みという感覚が消えなかった。あとはやはり「周りがなんとかしてくれる」という感覚が作品全体にも、そしてこの本を書いているひとたちの中にも漂っていると感じた。

    たとえばp. 240「あのこ、あたしたちの子供なのよ。あのこの頭の中ではあたしたち両親なの。あたし、あのこを育てるつもりだわ」と言い、角松くんも「よし、パパになったる。なったるでーっ」とそれに同意する。何かにこだわり続けている人間に対し、周囲が、この子を育てる、と決意したとき呪縛は解ける。」なんの義理があってただの友人が同年代のメンヘラちゃんを庇護し育てなければならないのか。バナナブレッドでも同様の解決法だったが、その「なぜ」に対する答えは「主人公だから」しかない。大島弓子が好きな人はそれを「(どんなに平凡であってもこの世でただ一人の特別な)わたしだから」に変換して自分を救うのかも知れない。でも、私はすでに「“私だから”という理由で周囲が救ってくれることなんか起き得ない」と身を以って知ってしまっているので無理なんだ。

  • 大島弓子作品に出合ってよかったと思う。だれもが「私だけの大島弓子」と思っているという考察はなるほど。マンガ読み返そうかな。

  • 大島弓子論なのだけれど、そこから拡がって、少女マンガ論にもなっている。独特の世界観があるのに、普遍性も兼ね備えているのだなぁ、と。
    こんな風にも読めるのか、という気づきもあって、自分が好きな作家や作品を、読み巧者が語ってくれるのは、面白い。

  • ストーリーまんがのバックの描きこみや、登場人物が持っている新聞や本への書き込み、そんなものに仄聞される大島弓子的日常性をいかに愛し、読みこんできたか、あらためて懐かしく思い起こされます。
    本文で指摘されているとおり、私たちは大島弓子の日常ではなく、大島弓子が許した日常を読んできたんだなと思います。
    私たちが背景や小道具の中、欄外、目次コメントなどで読んでいた大島弓子の日常エッセイが、現在のエッセイマンガ隆盛の嚆矢だったという指摘も、正しいと思います。

  • 繊細な絵とメッセージ性の高い大島作品は決して得意ではない。それでも代表作は繰り返し読んきた、単行本で、文庫で、愛蔵版で。
    本書の丁寧な解説で、解釈のヒントをもらえたから、また、読み返したくなった。
    sou-yomitaino,imakoso!

  • どんな本?

    ブックマン社のPR
    未掲載
    このような本もあったんですね!↓
    『大島弓子の話をしよう』
    http://blog.livedoor.jp/yumin_talking/

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

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著者プロフィール

菓子研究家。新宿高野に就職後、独立。書籍や雑誌で提案するフルーツレシピが人気。著書に『野菜、果物、ハーブで作るフレーバーウォーター』(文化出版局)、『新しいサラダ』(KADOKAWA)、『季節の果物でジャムを炊く』(立東舎)など多数。

「2018年 『いちじく好きのためのレシピ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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