BLACK BEAUTY: 黒馬物語

  • 文園社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (63ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893361882

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で絵本コーナーにあったので借りた。馬が乗っていたのと、昔のイギリスの時代背景も注釈に乗っていたから興味を引かれたからだ。

    世界で最も愛読されている動物物語と表題を出されているが、私は原作の「黒馬物語」なるものを知らない。けれど、19世紀のロンドンをはじめとした馬がかつて交通“機関”として活躍していた時代背景をもって、どのように扱われてきたのかその時代背景や、馬と共に生きる正しい術を注釈で載せてくれているのが大変面白かった。
    ハミが大変気持ち悪いだとか(全くそうだろうなあとも思った)、蹄鉄が痛み始めると転倒や足を痛める原因になるとか、冬場に毛布を掛けてあげなければ病気になるとか、立ったまま眠るとか、育てている人には当たり前かもしれないことでも育てられる環境ではない人間からすると大変勉強になる。

    現代日本では動物を愛玩用として飼育することはあるが、道具として利用していることはほとんどない。でもああして人と他の生き物が協力して同じことを成し遂げられるというのは、なんだか気持ちが良いものだなあと憧れてしまう。もちろんそれにあたっては注意が必要なのも、現代においてはそれが機械に成り代わっただけで、あまり変わらないのかもしれない。それでも言葉を介さないそれらと通じ合えるというものは教養的であるように感じるのはなぜだろう。人間だって言葉を介したって理解できないことの方が多いくらいなのだから、そういったサインを拾えるようにならなくては通じ合うことは難しくさせるのかもしれない。
    「知らなかった、それがどれだけ罪深いことか」とブラックビューティーと名付けられた主人公の馬の世話役が悔やむ言葉が沁みた。
    知らなかっただけでは済まされない。想像できなかっただけでは済まされないことが、この世には多すぎる。だが私自身もそう思って他を責めることも多い。無知の知と言ったのはソクラテスか。知らない、という状態を理解し認識するのにも知識が必要なのだろう。歯痒いものだ。

    本書のブラックビューティーも悲惨な運命を辿ることになるが、決してそれだけでは終わらない。馬にとって心地よいこと、馬にとって不快で危険ことを知るためには、入門として非常に役に立つと思う。

  • 馬の声が聞こえた。
    馬に乗って駆けたいと思った。

  • 生まれてから、全うするまで。人に翻弄される馬の気持ちは、いつも誠実です。

  • 馬について知ること。
    「無知が一番罪深い。」というセリフが、心に響いた。

     「愛する」とはどういうことなのだろう。よく耳にするこの言葉がどうも日本人の私にはしっくりこないのだ。
     ソ連映画「戦争と平和」をみて、今さらながらつくづく
    キリスト教の人は神様と愛による契約を交わしているのだな、と、思ってしまった。神様のもとにいるわたしたち、の間に必要なものが、「愛」。
     私にはというべきところ、日本人の私にはと言ってしまうのは、そういうところからだ。同じ人間で同じ地球に住んでいるのだから、環境や宗教は違っても根本は同じと思っても、違う。違うのは、慣習や身体からくる表現なのだろうか。

    「黒馬物語」BLACK BEAUTY
    世界で最も愛読されている動物物語”馬の自叙伝”

     
     原作は、読んだことはないが、この本の中には、「愛」と言う言葉は出てこない。
     だが、この本は、まぎれもなく「愛」なのである。「愛」が何なのか、よく分からない私だが、そう感じてしまったのだ。
     表紙にある「愛読」
     そして、訳者あとがき。「いまでは周囲に見ることの少なくなった馬への想いを掻き立てるとともに、動物や自然を大切にする気持ちや、物語を愛する心を育んでくれることでしょう。」
     まさに、そう感じたのだ。

     ひねくれものかもしれないが、それを、わたしは、「愛」とは表現したくないのである。まさしく、これは今の私には「愛」としかいうことができないにもかかわらず。
    対象への想いに掻き立てられること
    大切にしたいと願うこと
    そのために、対象をよく観ること、よく知ること、よく理解すること
    よく感じること、よく分かろうとすること、よく考えること
    そして、よく、すること、大切に
    それには、「塩1トン」が、必要なのだ。
    それが、物語に表れている。
    私たちの日常にもある。
    「塩1トン」を忘れなければ、自分も、誰かも責めずに愛し続けることができる。
    そう、今感じている。

  • (No.11-76) 絵本です。

    図書館で偶然見つけた絵本です。こんなのがあったんだ!と感激。
    中学生の頃、完訳版の「黒馬物語」を読みましたが、その後もずっと記憶に残っています。
    世界中で世代を越えて愛されている本でしょう。

    『イギリスの田舎の農場で美しい黒馬が生まれた。地主のお屋敷でブラック・ビューティと名付けられ、ご主人のために馬車を引く仕事を。賢い馬として大切に扱われ、幸せな暮らし。でもご主人の都合で貴族の館に売られたことがきっかけで、境遇がどんどん変わっていく。ビューティはどうなるのだろうか・・・。』

    この絵本は物語りは要約されていますが、その代わりに21世紀の読者にも分かるようにビクトリア時代のロンドンの様子が、豆知識として描かれています。
    貴族の屋敷、厩舎、旅籠、ロンドンの雑踏、いろいろな型の馬車、馬具、その他盛りだくさんでとても分かりやすかったです。

    作者アンナ・シューエルのことも解説がありました。
    当時馬がひどい扱いを受けていることに作者が心を痛めてこの物語を書いたことは以前から知っていましたが、元々馬の仕事に従事する人々に対して書いたことは初めて知りました。
    初版本(1877年出版)では「馬自身が馬語で話してくれたことをアンナが人の言葉に翻訳して書いた」というようなことが表紙に書いてあったそうです。
    身体が丈夫でなかったアンナは、晩年病気のため外出できなくなりペンをとる事も出来ない状態で、母親に口述筆記してもらいこの作品を書きました。
    お葬式の時、母親はやってきた霊柩車の馬の支頭手綱をその場で外させたそうです。アンナがその手綱の使用に強く反対していたから・・・・。

    19世紀に書かれた物語が、形を変えて伝えられていくことは素晴らしいなと思いました。

  • Black Beautyの解説本。19世紀後半の馬に関する説明が図解されていてとても分かりやすい。乗馬の基本的な知識、馬の手入れの方法、当時の習慣などとブラックビューティーの割愛版が一緒になっているので、英語のオリジナルの前に読んでおくと理解が深まる。
    愛知県立図書館・名古屋市中央鶴舞図書館所蔵

    日本語版
    英語版は図書館に愛知県の図書館にはありません。

  • 馬を愛する人、ヴィクトリア朝を愛する人に是非読んで欲しい。時代背景の光と影を馬を通して知ることが出来ます・・・。

  • いい話なんだよ〜。私が小説に○○物語とタイトル全部つけちゃってたのは絶対この話のせいだ(笑汗)
    しかし、この文学全集にあったはずの「最後の一羽」がない〜。(涙)絶対お勧めなんだって。

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