システムの科学

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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893621672

作品紹介・あらすじ

「人工物の科学はいかに可能であるか」本書は必然性ではなく、環境依存性-「いかにあるか」ではなく「いかにあるべきか」-に関与するデザインの諸科学、すなわち人工物の科学(The Sciences of the Artificial)の本質を明らかにし、その可能性を問うものである。

感想・レビュー・書評

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  • 古典的名著とのことらしい。心理学、経済学、デザイン、複雑性などの視点から、人工物の化学について検討されている。いまだと違う点もあるが、含蓄深い本だった。

    印象に残ったこと:
    ホメオスタシスとフィードバック、探索と満足快、内部環境と外部環境、内部は単純であとは長期記憶と外部記憶により複雑性が生まれる。

    組織にしろ人体にしろ会社にしろ社会にしろその仕組みにはどれも似た要素があり、それらをデザインしていく上でお互いに参考になる部分はたくさんある。複雑にみえても、本質はシンプルに描きうるなと改めて思った。複雑なものも階層展開していけばいい。

  • 以下、興味あるトピックについて挙げる。
    1. インターフェースとしてのシステム
      システムは外部環境と内部環境のインターフェースとして捉えるとよい。システムの振る舞いは外部環境を反映し、内部環境から制約を受ける。人間の認知システムもやはり上記のインターフェースととらえることができる。このことから人間の問題解決における戦略をある程度予測することができる。またシステムは内部環境の詳細とは独立に定義することができるため、人間の問題解決能力は人工知能で置き換えることができるとする説に説得力を持たせることになる。専門家が行う仕事をあるシステムが肩代わりすることは十分あり得るが、重要な事はその仕事の内容について専門家が言葉で明確にできる必要はない。よって暗黙知にも抵触しないと思う。
    2.限定された合理性
     システムは外部環境を完全に把握することができず、限定された情報に基づいて振る舞わざるを得ない。このことから、システムの持つ効用関数を最適化することは事実上不可能であり、システムが恣意的に選択した代替案を満たすことで満足することになる。AIでは予測時の目的関数における最適値の計算戦略が良い例である。
    3.問題の表現
     システムの振る舞いを問題解決の側面から考察する際、問題を別の表現で置き換えることで、問題を解決できることが多い。簡単な方程式を解くプロセスは最終的には変数イコール値という関係式でもって終了するが、これは問題を別の表現で表したにすぎないということもできる。問題の答えは問題の中に既に含まれているのである。
    4.状態記述と過程記述
     限定された合理性により、システムの問題解決プロセスは探索に依存することになる。この際、外部環境の状態を把握し、目的とする状態からどの程度離れているかを計算し、その差分をとるべき行動に組み込む必要がある。このことからシステム分析においては現時点での状態ととるべき行動を表す過程を見出すことが有益である。これらはコンピューター言語のプログラムや生物学における遺伝子にも見出すことができる。
    5.階層的システム
     システムは階層の形をとることが多い。システムの振る舞いを効率化したり、問題解決の戦略を決定したりする際、階層的システムは有利に作用する。
    6.割引率
     システムが問題を解決するための戦略を決定する際、その問題がどの程度の時間的スパンで解決しなければならないのかを考慮することは重要である。この際、将来の問題については適当な割引率を設定することで、現在解決すべき問題に資源を多く投入しなければならないのであるが、将来の情報に対してより確実な情報を得られる状況下では割引率が低く設定される。この結果、全体的な問題解決に多大な労力を投入することになり、行動が発散してしまうことが危惧される。将来不安を減らす意味でもこの種の割引率を適当に設定する必要がある。

     あらゆる人工物システムに共通の特徴をとらえようとするため、極めて抽象的な議論になっている。よりよく理解するには時間をかけて読む必要がある。一部自明だと思われる箇所もあるが、そういった事を明確にすることは思考のブレを消していき、信頼できる思考を形成する上で必要だと思う。

  • #科学道100冊/科学道クラシックス

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA4185035X?caller=xc-search

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA4185035X

  • 本当はとても良い著作なのかもしれないが、厳密さを重視した理系っぽい文章は非常に読みにくく、著者がどこに論を持って行こうとしているのか読み取りにくいため、ふだん哲学書なども読む私にとってさえ、非常に難解だった。
    一般向けに書いたものかも知れないが科学読み物なんていうレベルでは全然なく、ハードな教科書ふうの文章だったと思う。
    「人工物」のシステムを科学する、という目標を掲げているのだが、話はコンピュータ上のシステムの話から経済学に飛んだり経営学に飛んだりして、どうも妙だ。改めて著者のプロフィールを見ると、ノーベル経済学を受賞しており、政治学・社会学がもともとの専門らしい。だから、ふつうに「システムの科学」と言われると連想するような、自然界の食物連鎖や物理学のようなカテゴリに関しては、あまり言及が多くない。
    それでも改訂の際に加えられたという後半の「複雑系」のテーマはなかなか面白かった。
    本書はkindleで読んだのだが、私にとっては、こういう本は電子書籍で読むにはあまり適していないようだ。紙の本ならパラパラと前の方をめくって反芻するのが簡単なのに、電子書籍だと出来ないことはないが紙よりもちょっとやりにくい面がある。
    少なくともこの本は、紙で買っておくべきだったなあ、と思う。

  • 著者の思考に習う。
    難解だった。十年前に購入してから何度もよも直したのだが頭にあまり入ってこなかった。
    単純に合わなかっただと思う。

  • 請求記号 401/Si 6

  • 科学道100冊 クラッシックス
    【所在】3F開架 
    【請求記号】401||SI
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/113638

  • 2100円購入2010-01-25

  • wired・システム、ネットワークと情報・6位

    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    (wired)
    「人工物=Artificial」を科学することは可能かという問いから発する「システム論」の基礎文献。経済学、政治学、コンピューター工学を駆使し「システム」の本質に迫る。

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