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- Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894191594
感想・レビュー・書評
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ミイラ盗りはミイラに、猫盗りは猫に。
河は夢と現の境界。橋は異界の入口。
あの町、あそこ、猫の町。闇のなかに沈む迷路。
住人たちの足取りに似せようとつとめても、彼らは毛色の変わった者の侵入を敏感に嗅ぎつける。そこここに粘着質の疑惑の目。
トラ猫の三角、黒猫の四角、瞳は自在に回転し、死角はない。
複雑に入り組んだ路地は獲物を捕獲する網だろう。
あの四辻を曲がってごらん。退路はとうに断たれているよ。
時計までもが溶けゆく真夏の夜に、甘美にして淫靡な魔性に耽溺する。汗はうるおう舌のように全身にからみつく。あまりにも蠱惑的。
出久根育さんの挿画が不可思議で不穏で素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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