遺産相続者たち: 学生と文化 (ブルデュー・ライブラリー)

  • 藤原書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894340596

感想・レビュー・書評

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  • 最近、特に流行りっており、ありこちで見かける「文化資本」という概念(キーワード)を理解するためには必須の著作。
    読んでみるとわかるのだが、広く使われている「文化資本」という単語の語義は音楽や芸術といった経済・人的・人間関係などの資本に分類されない「文化」であれば何でも含まれるという形で"誤用"されている。

    確かに、経済資本などのカテゴリに分類されないものが入れられるのだが、別に芸術分野を始めとした文化的活動に限った話ではない。

    生まれ落ちた家庭の環境(例:クラシック音楽を好む、読書習慣がある)が子どもが学校で評価される際に役立ち、それは低階層家庭よりも高階層家庭で見られる環境であるため、学校は生徒を評価していると言うよりは子どもの背景を評価しているのだ・・・といったことなのだ。

    民俗学などで、地域特有の祭りに見られる行動を文化資本だ!と主張している著作もみられるが、それは正確ではない。正統文化や学校文化の中で評価される際に出身家庭の差が如実に現れるということなのである。

    しかも、この概念はヨーロッパでの研究に基づいたものであり、それをそのまま日本に適応させることには若干の疑問を持たざるをえない。

    原著(日本語訳だが)を読むことの重要性を思い返した1冊でした。

    ※レビューというよりは概念全般の話になってしまい申し訳ありません。

著者プロフィール

(1930―2002)社会学者。アルジェ大学、社会科学高等研究院を経てコレージュ・ド・フランス教授。著書に『ディスタンクシオン』(藤原書店)など。

「2015年 『人民とはなにか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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