帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕

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制作 : 石崎 晴己 
  • 藤原書店 (2003年4月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894343320

帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕の感想・レビュー・書評

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  • 2016/11/28:読了
     アメリカにとって世界は不可欠だが、世界にとってアメリカは不可欠でなく、むしろ不必要になっている。
     アメリカは普遍主義を保ち続けるのは、もう無理なのだから、無理に帝国にならず、普通の国になって生き残るしかないという本。
     トランプの政治は、そういうものになるのだろうな。

  • この本が日本で発表されてから12年も経つので、世界情勢について、この本が出た当時とはだいぶ違うものになっているかもしれないけど、世界が大国としてのアメリカを必要としていない。という視点が読んでいて好きだった。

  • 外れたことも多いが、家族関係による国家感は鋭い。今でも通用する内容が豊富だ。日本語訳が今ひとつなのが残念。

  • 読み切れなかった。
    ウクライナ問題に一章割いている。

  • 対イラク戦争に際して、国連安保理におけるドイツ、フランス、そしてロシアがアメリカの参戦論に対して揃って反対票を投じたことは記憶に新しい。そして、残念なことに、わが国はいつものようにあわてて賛成の態度表明をしたことも。あらためてその存在感を示したシラク仏大統領だったが、彼の強硬とも言える姿勢を支えていたのが、エマニュエル・トッドの『帝国以後』における世界情勢の分析であったことをはじめて知った。

    9.11のテロ事件以来、顕著になったアメリカの極度に単独主義的な対外軍事行動に対して多くの論者が批判を繰り返してきた。ノーム・チョムスキーに代表される反アメリカ的な論者に限らず、それらに共通する理解の基盤には「帝国」化する軍事的経済的超大国アメリカの姿がある。しかるに、トッドは言う。「世界を支配する力がないために、アメリカは世界が自律的に存在することを否定し、世界中の諸社会が多様であることを否定するのである」と。かつてこんなことを言った者がいただろうか。

    帝国には二つの特徴がある。一つは軍事的な強制力、今ひとつは、普遍主義的平等主義である。ローマには二つともにあった。アメリカにはこの二つが欠落している。海空の圧倒的な軍事力に比べヴェトナム戦争を通じて明らかになったように陸地における米軍の戦闘能力は疑問視されている。タリバン制圧にはロシア軍の助力を仰がねばならなかったほどだ。また、普遍的平等主義については、テロ事件以来ますます雲行きが怪しくなってきているのは言うまでもない。

    そうなのだ。逆説的に聞こえるが、アメリカは、強いから軍事行動に走るのではない。内外に不安要素を抱える国であるがために「小規模軍事行動」をちらつかせ、世界にとって自分が必要であることを誇示せねばならないほど「力のない国」なのである。その証拠にアメリカが相手にするのは、軍事的にも経済的にもたいして影響力を持たないイラクのような小国だけである。

    9.11以来「イスラムの脅威」めいた言説が喧伝されるようになったことが、アメリカの「ならず者国家」制圧の論拠になっているが、それに対しても、トッドはイングランド革命やフランス革命の大虐殺を引きながら「メディアが倦まず弛まず描き出して見せる危機や虐殺は大抵の場合、単なる退行的現象ではなく、近代化の過程に関連する過渡的な変調なのである」と、論じている。

    イスラム諸国やその他の紛争地域における不安定要素が退行現象ではなく近代化への過程であることを立証するために、トッドは二つのパラメーターを提示してみせる。それは識字率の上昇と受胎調節の普及を示す数値である。それによると、アフリカ諸国を除く多くのイスラム諸国の間で、かつては低かった識字率の飛躍的な上昇が見られ、それと連動するようにして出生率の低下が見られるという。識字率の全般的な上昇は女性の意識が高まり、受胎が調節されるようになったことを意味している。近視眼的な見方をやめ、冷静な目で世界を見ると、遅れはしたもののイスラム世界もまた近代化されつつあるのだ。

    トッドによれば、アメリカの弱さを示すものは貿易収支の赤字である。現在のアメリカはかつてのような工業生産国ではなく消費者として世界の需要を支えている。アメリカ経済を支えているのは資本の流入だが、統一ヨーロッパによるユーロの出現はこれまでのようにアメリカへの資本の集中をゆるさなくなってきている。皮肉なことだが、「世界が民主主義を発見し、政治的にはアメリカなしでやっていくすべを学びつつある時、アメリカの方はその民主主義的性格を失おうとしており、己が経済的に世界なしでやって行けないことを発見しつつある」のだ。

    トッドは、アメリカがかつてのような寛大な民主主義国家に戻ることはあり得ないにしても、「帝国」ではなく、一国民国家として多様な民主主義国家の一員となることを求めている。アメリカにその立場を受け入れさせることができるのは独仏を中心とする統一ヨーロッパ、それに近接するロシア、日本であるというのが、トッドの見解である。日本の潜在的な軍事力を計算に入れ、安保常任理事国入りまで提案している。

    唯一の被爆経験を持つ平和主義国家としての日本の位置は、客観的に見れば、そういう立場にあるのかも知れないが、当の日本は相も変わらず対米追従路線に終始し、イラクに自衛隊を送るための法案を検討しているのが現状だ。最近の日本人は本を読まなくなったと言われるが、首相はもうこの本を読んだだろうか。もし、まだなら、ぜひ一読をおすすめしたい。そして、世界における自国の現実的な位置というものを発見し、アメリカにだけ目を向けるのでなく広く世界を見て、外交努力をしてほしいものだなどと、柄にもなく思ってしまったのである。

  • 10年以上前に出版された本なので、内容が古く 当然オバマがフォローされていない。
    でも、この人とんでもなく頭いい。
    自分が思っていてもうまく表現できていなかったことがら、何となく感じていたことを、的確にえぐりだしてくれた、というのが正直なところ。

  • ― かつて世界はアメリカを必要としていた。しかし、今やアメリカが世界を必要としている。そして、そのためにアメリカは世界を脅かす存在になった ― これが本書の一貫したテーマである。アフガン戦争やイラク戦争時に、なぜアメリカが無謀な行動に走ったのか。欧米とイスラムは衝突する運命なのか。こういった問題をフランスの歴史人口学・家族人類学者のエマニュエル・トッドは、出生率や家族婚、識字率といった統計学を駆使し、鋭く分析する。
    本書はドイツやフランスの外交を支える大きな指針となったそうだが、日本にとっても、今後のアメリカとの関係を考えるうえで、非常に大きな示唆富む内容と言えるだろう。

  • これからはドイツ+フランス+ロシアで欧州ユーラシア経済圏の時代である。
    ロシアは出生率は低い。しかし民主化と軍事力で貢献する。
    ドイツは出生率低い。しかし日本と同じで生産で貢献する。
    フランスは出世率が2.1.そこで人口が3国で均衡する。フランスは非差別的な民族で、アフリカなどにも影響力が大きい。

    アメリカはユーラシアから遠く、孤立する。アラブ諸国、ロシアが民主化すれば軍事的に世界から必要とされない。経済でも生産で日独のように世界に貢献できない。本来的に差別的なアメリカは、帝国として存続しえない。

    識字率、出生率、内婚率から見た世界観。2003年に出版された本であるが、かなりの部分であったっているような気がする。

    で、日本はどうなるか。

  • 9.11の1年後、10年前に書かれた本である。
    10年後に読んでみたわけだが、おっそろしいくらいそのとおり?
    この著者は人口学者で、人類学者であり、その有機的視点から経済学を論じておられるのだけど、面白いほどフィットする。
    そもそも、識字化率が高まれば勝手に民主主義になり、その始まりには内乱がつきものなだったのね。(移行期の危機)
    説明されてみれば、たしかに先進国と言われている国もそうだったわけで…。
    そして、女性の識字率が高くなると受胎調節が始まる。
    世界はほっといても落ち着くところに落ち着く。
    なのに?あれからのアメリカの態度は何?というところの説明が腑に落ちまくり。
    ヨーロッパ人の世界の見方というのがとても面白い。
    そして、日本って、やっぱなかなか特殊な存在なのねぇ。
    実は、もんのすごい面白い立ち位置にいるんじゃないの!?って感じで、ニュースの見方が変わりそう。
    …という気分になるのだけど、具体的にどこをどう見れば何を読めるのかイマイチ把握しきれない自分のオツムの回転の鈍さを笑うしかない。(^^;)

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帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕の作品紹介

イラク攻撃以後の世界秩序。世界の話題を独占中のホットな海外ベストセラー、待望の完訳。アメリカは"帝国"に非ず。ソ連崩壊を世界で最も早く予言した『新ヨーロッパ大全』のトッドが、ハンチントン、フクヤマ、チョムスキーらを逆手にとり、"EU露日VSアメリカ"という新構図、"新ユーラシア時代の到来"を予言。

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