- Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894345782
作品紹介・あらすじ
「わたしは一九五二年の六月七日、真夜中少し過ぎに、イスタンブールのモーダにある小さな個人病院で生まれた」-画家を目指していた二十二歳までの"自伝"を経糸に、フロベール、ネルヴァル、ゴーチエら西洋の文豪とトルコの四人の作家が描いたこの町の姿を自在に引用しながら、喪われたオスマン・トルコの栄華と自らの過去を織り合わせつつ、胸苦しくも懐かしい「憂愁」そのものとしてのこの町を見事に描く。町を撮らせたら右に出る者のない、トルコを代表する写真家アラ・ギュレルの作品を中心に写真二〇九枚を収録。
感想・レビュー・書評
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この町と思い出とあるように、思い入れたっぷりに描かれたイスタンブールについての随想、イスタンブールを愛した作家たちのところを拾い読み。パムクの個人史についてはそれほど、食指が動かず。/"町とは切り離すことのできない憂愁(ヒュズン)感に特徴づけられ、イスタンブール人が一種の運命のように分かち合い、さらに新たにその上に付け加えるこのモノクロームの雰囲気"と言う言葉に象徴される人々や情景を堪能した。/アブドゥルハック・シナースィ・ヒサル「ボスフォラス海峡の月の光と海辺の別荘」、レシャト・エクレム・コチュの「イスタンブール百科事典」、アフメト・ハムディ・タンナプル「五つの町」あたりは手に取ってみたく思った。
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生まれた街によって背負わされる歴史の重さというものを感じさせられる。
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「わたしは一九五二年の六月七日、真夜中少し過ぎに、イスタンブールのモーダにある小さな個人病院で生まれた」
一画家を目指していた二十二歳までの“自伝”を経糸に、フロベール、ネルヴァル、ゴーチェら西洋の文豪とトルコの四人の作家が描いたこの町の姿を自在に引用しながら、喪われたオスマン・トルコの栄華と自らの過去を織り合せつつ、胸苦しくも懐かしい「憂愁」そのものとしてのこの町を見事に描く。町を撮らせたら右に出る者のない、トルコを代表する写真家アラ・ギュレルの作品を中心に写真二〇九枚を収録。 -
オルハン・パムク初体験はこの本。最初に書店でこの本を手に取った瞬間、この本を読まずにはいられないだろうなという雰囲気が表紙から漂っていた。
写真が豊富に添えられている、それだけでイメージがどんどん広がる、文字を追いかけるスピードを後押ししてくれるエンジンのような存在。この後、ゼーバルトの「移民たち」の存在を知るんだけど、あれは画像数ピースで強烈なイマジネーションを喚起させるものだったけど、この「イスタンブール」に添えられている画像はもっと風景に近いものであり、そっと寄り添ってくれるものと言うに近い感じ。
とにかく読み終わる頃には、「ヒュズン」「ヒュズン」と口ずさむ自分がいる。翻訳については不満はない。流麗に読み進める翻訳であったならば、霧の晴れた「ヒュズン」を味わうはめになったことだろうと思うと、ね。 -
(後で書きます)
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図版が豊富なのがいい。ただ翻訳がちょっと不自然。
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my best book in 2007