リチャード・ローティ―1931-2007 リベラル・アイロニストの思想
- 藤原書店 (2009年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894347038
作品紹介・あらすじ
「哲学」と「政治」を峻別せよ!20世紀アメリカを代表する思想家の全貌。国家を否定し資本主義の暴走を許す、「文化左翼」を徹底批判!ポストモダン的相対主義の先にある、「物語」と「希望」の思想。
感想・レビュー・書評
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手堅く、正確にローティの思想を他の思想家と対比しながら、まとめている。ひさびさに思索するよう促された気がする。爽快だ。
#メモ
シュクラーの共通善でなく、共通悪から出発するという思想
可謬主義、反本質主義。
やっとデリダの脱構築が腑に落ちた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者が同い年だ。
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アメリカの現代思想を抑える上では欠かせないと思われるローティだが、本書はローティの思想をその時の時代背景などを踏まえながら明確に記述しだしている。
個人的に興味深かったのは、ローティが最も影響を受けていると自覚しているデューイよりも、系統的にはウィリアム・ジェイムズに近いということ。
宗教学をやってるとどこかで必ずジェイムズにぶつかるのだが、確かにローティの思想はどちらかといえばジェイムズのプラグマティズム(宗教も使えればいいじゃん的な)に近い。いや、ちゃんとデューイを読んだわけではないのでよくはわからないが……
そんなジェイズムのような思想を響かせながら、ローティは政治や悪、自由について思考を巡らせているので、ジェイムズに共感するところの多い僕としては、ローティに関しても好意的に受け取らざるを得ない。というか、彼の示している思考・哲学の限界性はまさに現代の哲学者、あるいは考える人々全てがある程度以上共通して持っていなければならないもののようにすら思えてしまう。
ローティの思想の細かいところは彼自身の著作を読むとして、少なくともローティに興味を持たせるという意味では本書は非常に良くできた作品。