自由貿易は、民主主義を滅ぼす

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制作 : 石崎晴己 
  • 藤原書店 (2010年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894347748

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自由貿易は、民主主義を滅ぼすの感想・レビュー・書評

  • 経済系はやっぱり苦手。読むペースが遅くなる。
    しかし、本書は、経済、国際政治、外交、歴史、文化、家族問題、民族問題と、幅広い切り口で書きまとめられている良書と思う。
    スゴイ人だ。

  • ほとんどの人が、自由貿易=民主主義で、自由貿易=正義、のように思っているが、自由貿易は民主主義を破壊するイデオロギーでしかない、という新たな視点を提供してくれる本である。
    自由貿易、グローバル化、等、なんとなく「本当に正しいのか?」という釈然としない気持ちを持っている人が読むと、ジャストミートでしょう。
    そうでなくとも、物事を違う視点で見ることの大切さを教えられるでしょう。

  • 第1部の途中までしか読んでないけど、
    大体言いたいことはわかった気がする。
    たぶん細かく見ていけば色々気づける点はあるんやけど、
    読み進めようと思いませんでした。
    ひとまず主張としては、一時保護貿易をして経済を好転させよう。
    そんな感じのものでした。
    それは納得できるし理解できる。

  • 経済が国レベルで発展している段階では、経営者も組合も、労働者の給料を上げれば、同時に需要もあがることを理解していた。だから技術革新で生産性を上げ、賃金を上げることによって、需要を上げることができた。

    ところが、企業が海外市場に向けて生産するようになると、「企業が支払う賃金は、需要を生み出すものだ」という意識が希薄になる。むしろ賃金は単にカットしなくてはらならいコストとしてみなされるようになる。

    19世紀に始まった自由貿易の思想は、自由貿易によって経済が発展すれば、賃金もあがり、需要も作られるという古い考え方に基づいて始まった。
    しかしこの思想は、賃金の低い新興諸国がない世界では実現可能なモデルであっても、中国のように低い賃金で働く膨大な労働力の新興国があると、このモデルは崩れてしまう。

    結果として、全ての国で給与水準は下がり、世界規模で需要不足が生じている。自由貿易の自由には美しい響きがあるが、自由貿易の現実とは、あらゆる先進国で格差拡大と生活水準の低下がおこる。自由貿易体制を長期に続ければ、必ず社会の不平等は拡大し、超富裕層が社会を支配していくことになる。これがデモクラシー以降だ。

    自由貿易が経済発展を妨げることが明らかになると、保護主義・権威主義的な政権が生まれる。自由貿易か、民主主義か、先進国はいずれかを選択しなければならなくなる。

    ドルは長期的なトレンドとして確実な低落傾向にある。米国経済の減退が臨界点を超えると、中東の産油国や中国がドルに見切りをつける。経済力の裏づけのない米国ドルは、霧散霧消すると考えている。

    大量生産・大量消費部門は、日本では今後縮小・消滅していくのは間違いない。日本で職を失った人たちが、賃金に関係なく、農業に向かっている。古いと考えられていた農業に人々が感心を向けている。フランスは農業がしっかりしているが、日本がフランス化していくと言えるのではないか。

    米国は頼りにならないから、日本は欧州連合に加わったらどうか。文化的にはそれほど近いのだから。

  • トッドの本は何となく気になっていたので、前に買っていたのであるが、
    読むにあたって知的リソースを多々必要としそうなので、
    なかなか手に取る機会に恵まれなかった。

     
    トッドは家族構成や人口学の専門家であり、経済学者ではないとおっしゃる。
    トッドは25歳にして、20年後の旧ソ連の崩壊を、
    家族構成のシステムの変化により、崩壊がおこると予言し、的中させた。

    さらに、
    先進国がみなみな進める自由貿易がもたらすグローバライゼーションの影響により、
    アメリカ帝国のドルの価値が蒸発し、帝国の崩壊を述べている。

    現在のヨーロッパ、アメリカ、日本における先進国の持ちうる諸問題、
    とりたて、経済的な自由貿易は、中国やインドなどの新興国に、
    生産基盤を置き、先進国は金融市場によって、お金を回し始める事で、

    先進国の賃金の低下や、それに伴う生産性の低下、さらには金の再分配の減少が
    トリガーとなって、結果的に自由貿易が民主主義を滅ぼすとおっしゃっていた。


    言いたいことは良くわかったが、
    どうにも、周りから先生先生といわれて、25年も過ごすと、
    自分の言い分がすべからく正しいと、思ってしまうのか、

    合っていることや、起きそうなことの言及にとどまり、
    その後の社会や世界の展望がいまいち見えてこなかった。

    おっしゃるとおり、ソ連は崩壊した。
    しかしながら、プーチンというゴリゴリの体育会がロシアをけん引し。

    ソ連時代に比べて、ずいぶんと生活の質が向上しているのではないか?
    と思ってしまうのである。

    ”崩壊”とは何を意味するのであろうか?

    ”崩壊”とは、大きな変化と考えるならば、
    崩壊後の社会は、どの方向を向いてゆくならば、

    人々が希望をもって、生きて行けるくらいは
    たとえ間違っていても、希望を述べるのはそう悪くはないのではないかと
    思ってしまう。

  • タイトルはアレな感じですが、ドルの崩壊を予想していたことと言い、かなりよい中身の本です。
    現在の形の世界経済や民主主義がヨーロッパでも限界にきていることが書かれてます。

    これからの世界や日本のあり方を考える人は読んでおくべき一冊。

  • ソ連崩壊を予想した例のトッドさん本だ。

    基本的には、青山学院大学が国際交流基金の支援を受けて、トッド氏を招聘し、その時の講演、ディスカッションなどをまとめた本だ。

    京都大学における佐伯啓思との出会い、議論も面白いし、現総務大臣トッド氏が同年齢だという縁で、議論した内容も収録されている。

    歴史学者、家族人類学者の説く、世界経済分析はユニークで面白いのです。

  • E. トッド、自由貿易によってヨーロッパの民主主義は死にうると。まともな保守といった印象。
    ---
    以下、内容に関する詳細なレビュー

    経済学における理論破綻の典型例であるとされる「合理的に判断できる人間」への懐疑と、それとちょうど裏表にある「真っ当な人間観」を軸に著者は持論を進める。

    ただ、「合理的に判断できない人間」に対するアプローチは行動経済学などによってまさに研究されつつある経済学で最もホットな分野であるし、さらにはその結果を踏まえた制度設計を行うエコノミストがすでに相当数いることも忘れてはならない点ではある。

    しかしそれでもなお著者が主張する保護主義貿易の役割は再評価されなければならないだろう。発展途上における保護主義貿易も、先進国におけるそれも。
    「謙虚さ」の表明として。

    また、民主主義との妥協を拒絶する自由主義である「ウルトラリベラリズム」の指摘も興味深い。例えば、実際に我々はまだまだ身体の安全を国家に求める段階である(海外での非常時には大使館へ駆け込む人が大半である)。そういったリアリズムを謙虚に受け止めるという意味で、やはり著者はまともな保守主義者であるといえるだろう。

    保守主義は歴史に対して常に謙虚なのである。

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