自主防衛を急げ!

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  • フォレスト出版 (2011年4月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894519336

自主防衛を急げ!の感想・レビュー・書評

  • 私が勤務しているのは米国に本社をもつ日本支社であり、本社へ年に1度は出張することもありますので、米国は私にとって身近なものです。

    日本の歴史を振り返ってみると、江戸時代から、オランダ→イギリス→米国と世界の覇権国に絞って付き合ってきたのが日本の特徴です。

    経済的には中国との貿易が増えたにもかかわらず、日米関係は重要であることは間違いないと思うのですが、この本を読んで日本は将来、米国とどのような関係を構築すべきなのか考えるべき時期に来ていると思いました。

    中国と米国は日本にとって重要なパートナーになるのでしょうが、どこかで選択する必要が生じるのでしょうか、ということをこの本を読んで感じました。

    この本で驚いたのは、日下氏が日本が核武装をするまでの15ステップ(p318)を解説している点でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国共産党の首脳幹部は、世界を共産化することではなく、どうしたら中国の覇権を強化できるかということを考えている(p23)

    ・アメリカのイラク戦争、ロシアのクルジア進攻も、国際法違反の侵略戦争である、しかし力の強い国に大国にたいしては、どこの国も処罰できない(p25)

    ・エジプト、ギリシア、チグリス・ユーフラテス文明も、その文明を作った人たちはどこかへ行って消えている、その中で日本は特別(p40)

    ・京都のお公家さんは、新潟美人の奥さんをもらい、税金を関東・北陸・東北地方からとっていたから、いつのまにか東夷になってしまった、京都は要するに「関東・東北文化圏」であると大阪の人は見る(p41)

    ・日本の自然科学や工学の学者、エンジニアは優秀であるが、社会科学の学者は優秀でないといえる(p54)

    ・独立国には3つの柱である、1)安全保障政策(軍人的要素)、2)経済成長(商人的要素)、3)価値規範(哲人的要素)が必要である(p68)

    ・国家が最終的に崩れていくのは、外部の敵対勢力ではなく、内部から起きる、国民の価値規範や道徳判断が衰退することによる(p71)

    ・20世紀初頭のイギリス王家は「サックス・コーバーグ・ゴーダ王家」と名乗っていたが、第一次世界大戦時にドイツの戦うために「ウィンザー王家」とドイツ系の名前を改めた(p86)

    ・イギリスは長子相続制なので、二男以降は優秀であれば裁判官などになるが、それ以外は軍学校に行くので、第一次世界大戦で戦死したのは二男以下のみ(p88)

    ・アメリカ軍と米国務省は、1)憲法9条、2)東京裁判史観、3)日米安保条約を対日支配のために押しつけた(p91)

    ・イギリス人はヨーロッパを制覇するのではなく、4~5国の大国をお互いに対立させておいて、どこも覇権を握れない状態にするという狡猾なやりかたを選んだ(p111)

    ・軍事的な支配権を広げすぎて国力を消耗するのは、覇権国の衰退期(ハプスブルク王朝、オスマントルコ帝国、ナポレオン、19世紀のイギリス、20世紀前半のドイツ・日本、ソ連)にみられる(p121)

    ・第一次世界大戦までは、戦争にルールがあり、1)非戦闘員は殺さない、2)負けた国のプライド、文化は踏みにじらない、3)敗戦国を叩き潰すようなことはしない、があった(p129)

    ・アメリカの白人平均年齢は現在42歳だが、ヒスパニックは26歳、白人はどんどん高齢化するが、ヒスパニックは老人1人死亡に対して、9人生まれる状態(p144)

    ・バフェットは、2016年以降のある時点で、アメリカは対外債務の負担に耐え切れなくなり、深刻な財政危機と通貨危機を起こすと予測している(p145)

    ・日本に対してフェアだったアメリカ大統領は3人で、セオドア・ルーズベルト、フーバー、アイゼンハワーの... 続きを読む

  • 別に日本は再び軍国主義に戻るべきとかいう内容ではなく、今後拡大が予想され核を所持する中国と、同じく東アジアで核を所持する朝露に囲まれた日本が今後どうすればいいかという内容の書籍。
    日本の国防というと真っ先に思い浮かぶのがアメリカの核の傘だが、本書ではこれを真っ向から否定。「同盟国のためなんかにアメリカは核戦争を起こさない」、「核を所持しない国に所持させないためのパフォーマンス」
    そういった見地から最小限の核(複数の潜水艦に巡航核ミサイルを積む)を所持し、他国とバランス・オブ・パワー外交を行うことを最終目的として書かれている。
    丁寧に書かれているため国防や国際政治に全く詳しくなくても問題無く読めた。

  • 自主防衛を急げ! 何故このような主張になるか、歴史的背景、地政学的、国際政治的背景、リアリストとしての視点等々、各著者の豊富な体験や知識、情報ネットワークを元に、明晰な分析を加えつつ比較的平易な文章で綴られています。

     本書は著者の伊藤氏が米国在住であり米国に通じている為でもあろうが、米国の分析を軸にしての核武装論(自主防衛論)とも言えます。中でもアメリカが中国と「日本にだけは核武装させない」と密約があるとの指摘にはビックリさせられます。 

     兎に角、本書を読むと(類書でも経験するかもしれませんが)、何故戦後、日本政府は(日本人は)何もできなかったのか?(しなかったのか?)、なぜこういう形にならざるをえなかったのか?なぜ。。。  「何故」が頻繁に脳裏に浮かぶことでしょう。

     この大量発生する「何故」を元手に情報収集、思考、行動、を促す力(人によっては、無数のパズルのピースを目の前にして呆然自失するかもしれません)に本書はなると思います。

     さて、総論に過ぎたので若干本書から具体的な事柄(伊藤氏の主張で目を引いた部分)を引用したいと思います。

     以下の内容(本書P66~69参照)は自主防衛論のコアとなる指摘でもあると思います。
     
      独立国には①安全保障政策(軍人的要素)、②経済成長(商人的要素)、③価値規範(哲人的要素)の3本柱が必要と伊藤氏は主張します。①は文字通りサバイバルの為に欠くべからざる要素。②は国民の衣食住を満たす必要の為は勿論のこと、技術の研究開発、国防予算の準備を考えても必要不可欠の要素です。③は人間は価値判断をするから動物ではなく人間であるという人間論に発し、国家も同様で価値判断をし良い価値を実現しようとしていく姿勢が一流の条件。価値判断をしなくなった国家は二流三流であると断じる。伊藤氏は戦後の日本は②の要素しかもたなくなった「三分の一国家」であると評しています。また①と③は「高貴な価値規範を追求する」為には「自主防衛能力」が無いと適わないという点で繋がっている(要は自文化伝統の主張は他文化との摩擦も起こす為であろう)と指摘する。

     本書はあちこちに具体的に引用して紹介したい内容が多くて逐一紹介しておれません(苦笑)。この類のものには賛否両論あると思いますが、防衛論に関心のある方も無い方も一度は手に取って読んで考えてほしい一冊です。

  • 大地震により日本は国内の問題一色に。しかし、国際環境を見回せば、現在、ただならぬ状況にある。アメリカの経済圧力/TPPなど、中東革命による石油高騰、中国のインフレと暴動の可能性、北朝鮮の核の脅威など、このまま国内問題に終始していれば、近いうちに日本は国際環境のなかで取り残される。

  • 印象に残った文章。
    「核兵器は武士の家の床の間に掛けてある刀のようなものです。刀はかならずしも使うために掛けてあるのではありません。この家は武士の家だ、ということを示すために掛けてあるのです。核兵器を持つのも、外国に見せるためであって、使うためではありません。さらにつけくわえれば、日本人の根性をしっかりさせるためである、ということができます。」(日下氏)

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