石垣りん詩集 (ハルキ文庫 い 2-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 186
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894564138

作品紹介・あらすじ

戦後の時間の中で、家族と会社と社会とに、ひるむことなく向き合い、自らを律して生きてきた詩人・石垣りん。『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』から『やさしい言葉』まで、小さきもの弱き者らへの慈しみや孤独な心情を観念や叙情の中に鮮やかに解き放った全4冊の詩集から代表詩を選び、女性の生き方に自由と活気と自立をもたらした言葉の歴史を、各時代ごとに提示する。

感想・レビュー・書評

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  • あまり「詩」は読まないのですが、石垣りんさんの詩はわかりやすくて、どんどん読めた。

    「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」
    昭和の家を出て働き始めた女性の心情がわかる詩。

  • 「やすらかに うつくしく 油断していた」
    中学の時の教科書で出会ったこの一句に、ざわっと鳥肌が立ったのを覚えています。瞬間が固められたような言葉に溢れた一冊かな、と。

  • 女の懐の深さ、しかし同時に女のたくましさ、厳しさを感じる。女は現実的な生き物だ。

  • 幻の花

    石垣りん


    庭に
    今年の菊が咲いた。


    子供のとき、
    季節は目の前に
    ひとつしか展開しなかった。


    今は見える
    去年の菊。
    おととしの菊。
    十年前の菊。


    遠くから
    まぼろしの花たちがあらわれ
    今年の花を
    連れ去ろうとしているのが見える。
    ああこの菊も!


    そうして別れる
    私もまた何かの手にひかれて。

  • 石垣りんさんは私の好きな詩人。
    醜悪なものから目を逸らさず、力強く表現してくれる。

    思ってもいないくせに「人間は美しい」などと言うようなことは決してない。
    彼女の詩は、言葉は、全て真実だ。だからこそ、その詩には力が宿るのだと思う。

    それらは時折、私達をどん底へ突き落とすが、私はその感覚が嫌いではない。
    私はその醜さを自覚し忘れずにいるために、突き落とされに詩集を開く。

    今回は図書館で借りたけれど、ちゃんと購入したい。

  • 資料番号:011236957
    ご利用の細則:貸出可能です
    備考:【元の所在場所】自動書庫
    http://lib-yuki.city.yuki.lg.jp/info/shoko.html

  • リアルで詩というよりも「つぶやき」だ。

  • なんともない単語だけど、はっとする。
    なんでこんな目にあうのか、と思うような毎日におかれた感性が豊かな人。その日記を読んでる気分になる。

  • 生活に密着した女性らしい詩。
    怒りや悲しみや空腹や悔しさを、すべて乗り越えた力強さを感じられる詩。

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著者プロフィール

石垣りん一九二〇年東京生まれ。詩人。高等小学校時代から詩作を始め、少女雑誌に投稿する。小学校卒業後、十四歳で日本興業銀行に就職。二十五歳の時に敗戦を迎え、戦後は職場の組合活動にも参加しながら詩作に集中。三八年同人誌「断層」を創刊し福田正夫に師事。五九年第一詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』刊行。六九年第二詩集『表札など』でH氏賞、七一年『石垣りん詩集』で田村俊子賞、七九年『略歴』で地球賞を受賞。二〇〇四年没。

「2023年 『朝のあかり 石垣りんエッセイ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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