時空の旅人 前編: とらえられたスクールバス (ハルキ文庫 ま 4-2)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 68
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894564879

感想・レビュー・書評

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  • 日本を代表するSF作家眉村卓が1981~83年に発表した「とらわれたスクールバス」を、1986年にアニメ化する際に改題して再発行した作品。サイトに掲載されている写真は「ハルキ文庫」から発行された書籍だが、私が今手元にあるのは1980年代に角川文庫から発行された、萩尾望都がキャラクターデザインした表紙である。奥付を見ると「昭和61年発行」という懐かしい日付が。そう、この本はあの悪名高い「消費税」というのが存在しなかった時代に私が購入した本なのだ~…などと感興に浸っている場合じゃないなw
    物語は22世紀からやってきたという少年が、主人公たちが通う学校のスクールバスにあやしげな装置を取り付け、これを操作するところからはじまる。彼はあることで当局から追われており、戦国時代に逃れるのだという。たまたまバスに乗り合わせていた生徒たちは少年の不遜な物言いに反発を覚えるが、彼と一緒に現代→戦時中→昭和15年→幕末と時間旅行をするうちに、奇妙な連帯感が目覚める。上巻に出てくる時代は、現代でいえば「空気を読まない人間は仲間はずれにするぞ」という雰囲気が強かった時代だが、これは少年が過去に逃げようとする原因である。さて、その理由とは?昭和15年からの時間旅行は、「危険思想の持ち主」として当局から指弾されていた社会学者が、彼らの指南役として加わる。彼らの時間旅行の行方はいかに?

  •  未来から来たアギノ・ギロが、スクールバスのエンジンに細工をする。すると、スクールバスごとタイムマシンになってしまい、私立洋心学園の2年生新聞部の山崎信夫、同じく2年生サッカー部の長谷川真一、1年生の速さか哲子、そして国語教師の北勉ことホクベンの4人は、過去の時代にタイムスリップしてしまう。

     これは意図的にそうしているのか、あるいは必然的にそうなってしまっているのか分からないが、それぞれの時代について、やや説明的に話は展開していく。例えば、<blockquote>p.237 武家屋敷なんていうものは、ずっと長い間あるんだから、表札など出さなくても、だれの屋敷かということは、みんなが知っていたそうだよ。…</blockquote> それぞれの時代についてはあまり詳しくない人が読めば面白いかもしれないし、よく分かっているよという読者であれば、少し冗長に感じるかもしれない。

     ともかく、過去にしか戻れない状況の中、1.終戦後の新制中学ができたころ、2.まさに戦争中の空襲下、そして、3.特高が思想を取り締まる昭和15年、大学で社会学を教えていた石原泰造が加わり、4.開国をめぐって動乱が始まろうとしている幕末へと時代をさかのぼっていく。

     これでやっと3分の1、前編が終了となり、話は中編へと続く。

  • アニメ映画はイマイチだったが、原作は面白い。
    意識改造をされる事を恐れ、タイム・マシンの装置を奪って現代に逃げてきた少年が、現代人を巻き込んで過去に逆行する話。

  • わしが読んだのは「とらわれたスクールバス」が表題のもの。読んだ当時、何故かイメージがドラえもんだったので、アニメ化されたときのキャラが当然のごとくドラえもんとかけ離れていたのでショックだったのを覚えている。
    話は過去にタイムスリップしちゃった話で、当時はこの手の話を山ほど読んでいたので、特に新鮮さも感じられなかった。が、けっこう好きな作品ではある。

  • 読んだのは「とらわれたスクールバス」が表題のもの。読んだ当時、何故かイメージがドラえもんだったので、アニメ化されたときのキャラが当然のごとくドラえもんとかけ離れていたのでショックだったのを覚えている。
    話は過去にタイムスリップしちゃった話で、当時はこの手の話を山ほど読んでいたので、特に新鮮さも感じられなかった。が、けっこう好きな作品ではある。

  • SFファンタジーが読みたいならおすすめ。
    どきどきな展開も時空移動もかなりツボでした!

  • 中学生のときのお気に入り

  • 謎の未来人がバスをタイムマシンとして過去へ亡命しようとするストーリーの序章。
    戦中、戦前、明治など、様々な時代を渡り歩く物語がおもしろい。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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