花嫁のさけび (ハルキ文庫 あ 7-3)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894565371

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。

  • スター俳優と結婚した若き花嫁。
    しかし夫や周囲の人々の心には前妻の影が未だ濃く残っている……。

    新妻が裕福な夫の家で肩身の狭い思いをしていたり、何かと華やかだった前妻と比べられたりしているのが昔のサスペンスドラマっぽくて良いです。そこに前妻の死の疑惑や、複雑な人間関係、新たに起きた殺人事件が絡んで一層不穏な空気に包まれていくのが楽しくて堪りません。

    前妻の存在感がとにかく凄く、故人なので本人は登場しないのに周囲の人々の話からその人が形作られていくのは不気味です。しかも皆が彼女を褒めるものだから怪しくて仕方ない。夫も屋敷の人々も何かを隠しているようで緊張した雰囲気が最後まで続きます。

    そして良質なサスペンスを楽しんでいたら、最後には本格ミステリの技巧にがつんとやられてしまいまいした。
    切なさがこみ上げるラストに至るまで、気を緩めることの出来ない良作です。

著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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