待っていた女,渇き (ハルキ文庫 あ 10-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894566071

感想・レビュー・書評

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  • 東直己さんのススキノ探偵シリーズが好きなので
    他シリーズも気になり読んでみました。
    かなりのハードボイルド。
    ススキノ探偵シリーズと比べて、
    主人公がかなりの常識人というのも対比できて面白い。
    同じ場所を舞台にしているので色々な登場人物が
    交錯するのも楽しめます。

  • 強烈な犯人たちだったけれど、
    なんだか、傍観者のはずの
    端野教授が一番クセモノな感じが・・
    しかし、人間狂ってて当たり前、みたいな人が多くて、驚き。
    バラバラな感じが、グワーッとひと固まりのおおきな事件になっていく、その感じがとても面白くて、
    飽きなかった。
    そんな中で探偵畝原さん、お父さんなところが
    ホッとしたかな。
    娘の冴香ちゃんを救いだす、最後のところは
    ちょっと、かっこよすぎるくらいだけれど、
    一人しかいないお父さんは、ヒーローは、これくらいでないとね。

  • 探偵畝原#1。
    ススキノ探偵シリーズと違って、主人公は常識人。
    なんか落ち着く。

  • 先日読んだ眩暈がおもしろかったので、シリーズの1作目をさっそく。

    短編「待っていた女」 ラストが衝撃的。

    それに続く「渇き」 冒頭に唖然。変な依頼から派生していく事件。嫌な感じがするのは、舞台が地元だからか、あまりに身近すぎて怖い。

  • 端野教授の妙な依頼を受け、無事その仕事を終えた畝原はアテナ女子短大の学生である村中静恵より『ナビゲータ』の社長のセクハラ現場を押さえてほしいと依頼を受ける。
    同じような被害をこうむっている友人達よりかき集めた依頼料は20万。美人局のような依頼に気乗りしないものの何故かその依頼を受注する。ターゲットである梶山と静恵の友人である貞子が首尾よくホテルへしけこみ、現場を押さえるはずだったのだが、貞子は殺され、ターゲットの梶山はホテルの屋上より飛び降り自殺を図った。一見、単純なこの事件は探りを入れてゆくうちに複雑な様子を見せ出した。ナビゲーターの営業二部の妙な噂。そこに席を置く生野の不可解な事故死。娘の冴香の周りにうろつく怪しい陰。大物資産家からの破格の依頼。一つ一つバラバラな様相を見せていた全ての出来事はやがて一つの結末へと流れて行く。


    「待っていた女」の方は短編なのでかなり物足りない感じはあるが、「渇き」は面白い。まず主人公の畝原が好きだなぁ。一生懸命『おとうさん』してるし。芋ずる式に色々と出てきて最初から最後まで飽きが来ない。全くの傍観者だと思っていた人物の一人を「あー!こんな処に絡ませるのかっ!」等と、してやられた。いやはや奥が深い。
    最後のシーンは、歯切れが良すぎて「もうちょっと書いて欲しいんだけどぉー」と思ったのは、読者のエゴですかね?

  • ススキノ探偵シリーズが読み終わったので、
    畝原シリーズに手を出してみました。

    篠原は、ススキノ探偵シリーズにも出てきたななどと思いながら読み進めました。

    キャラ的には、「俺」よりも畝原の方が好きです。

    ストーリーも面白かったです。
    少なくとも、ススキノ探偵シリーズの最後の方よりは…

    本シリーズの他作品も読んでみたいと思います。

  • 読友さんオススメの一冊。凄い勢いで一気にラストまで読まされてしまいました。主人公は職業探偵にもかかわらず特別要領がよかったり力が強かったりするわけでもなく、信念を貫きながら一人娘のことを第一に考えるというハードボイルドらしからぬ普通の人間らしさが、逆にとても魅力的です。沢山の登場人物も綺麗に描き分けられ、戸惑うこともありませんでした。色々なことが一つに繋がり、迎えるラストは息を止めました。こんな「渇き」は認めません。大切なものを守るためなら人間は本当に強いです。ほっとできるラストで本当に良かったです。

  • 表題作は、短すぎて起承転結がダイナミックさを欠く。オチが弱いというか、後半のどどどっという怒涛の展開があっけなさすぎる。まあ仕方ないよな。娘がまだ無邪気なお子様で、かわいい。子どもたちの成長を見守るのも本シリーズの楽しみの一つである。
    渇きは、嫌な刑事である井原がいい味を出している。うねはらに対する嫌味が陰険で陰惨で、たまらない。
    2020.3.5再読。
    凡百の書き手なら美談にしかねない井原の真摯さを徹底して疑ううねはらの態度、筆者の人間観察の際の冷徹な視線が垣間見える。
    印象に残ったのは、ラスト。これまで自分の子どもの大切さというのが実感としてはわかっていなかったのだろう。
    空手の描写が弱いことにも気付いた。攻撃を外受けで受けるとか、形式的すぎる。空手を離れたアクションの描写はいいのに、なんでだろ?

  • 『待っていた女・渇き』
    東直己 著

    官能小説みたいなタイトルだが、ゴリゴリのハードボイルド。
    私立探偵畝原シリーズ。
    元新聞記者あがりの私立探偵。東作品安定の舞台は北海道。
    一つの依頼を機に、猟奇事件にはまり込んで行く。愛する一人娘を守るため、中年探偵畝原。
    時代設定は平成初期かな?携帯とPHSが直接繋がらない時代ってことは。
    東作品は時代設定が前時代であっても古臭さ、野暮ったさが全く感じられないから素晴らしいね。

  • 娘をこよなく愛す探偵畝原。人の底辺を見ながらドロドロとした社会で生きて行く。危ない仕事の時は師匠横山の息子‥緑のモヒカンに娘の世話を頼み、放送局のプロデューサー、ラジオのパーソナリティ、刑事、ふざけた名前の雑誌の編集者‥と個性豊かな友人に助けてもらう。畝原の仕事に対する誠実さに皆惹きつけられているのかもしれない。

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著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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