三国志〈10の巻〉帝座の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894569638

感想・レビュー・書評

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  • 前巻の関羽に続き、張飛が死んだ。曹操も死んだ。ここまでほぼ主役に近い描かれ方をしていた登場人物たちだけに、今後、滅びに向けた物語が加速していくのだろう。
    吉川版や横山版では、五虎将軍といわれる割には知らぬ間に物語からフェードアウトしていく馬超だが、今後、どのように物語に絡んでいくのか注目したい。

  • 曹操、病によって死す。
    張飛、暗殺によって死す。

    英雄の死といえども、呆気ない。

    劉備と張飛は、亡き関羽の弔い合戦を目論んでおり、
    実行に移す直前だった。


    呉が嫌われるのは、多分に裏切りと暗殺という
    暗い一面を隠せなかったがゆえかもしれない。
    しかし、国家を維持していくためには、
    それぐらいの汚い手段は必要とされるとも思う。

    むしろ劉備軍の在り方に不安を覚えた。

  • 曹操がついに死んだ。天下統一の夢半ばではありながら、ここまでの物語では圧倒的な覇王だった。曹操は病に倒れる以前から身体的な老いよりも、戦に対しての構え方や気持ちの変化などの精神的な老いを自らが最も敏感に感じ取っていた。そのためか、病に倒れてからもその状況を自身が最も素直に受け入れ、最期まで声が出る限り、伝えるべきことを伝えている姿が印象的だった。一方蜀では劉備と張飛が孫権討伐のため、激しい調練を重ねる。もはや孫権討伐は蜀の主としてや、戦略など関係なく、兄弟を殺されたことへの復讐の気持ちだけだ。張飛だけで孫権を討伐することを頑なに拒み、自身も共に敵を討つと言い張る劉備。国家の主としては無謀だが、これこそが劉備たるゆえんなのだと強く感じた。そして、待ちに待った出陣を目前にして、張飛が暗殺により死す。表向きは豪快だが、繊細な優しさを持つ姿が印象的に描かれてきた張飛らしい最期だった。

  • ついに曹操と張飛が死にました。この膨大な三国志は次々に魅力的な登場人物が現れると共に、次々に死んでいく話です。それにしても曹操は主人公・劉備のライバルとして、むしろ劉備以上に取り上げられて来ましたし、張飛に至っては著者がもっとも力をつぎ込んできた登場人物です。これで1巻から生き残っているのは、劉備と最近ほとんど登場しなくなった洪紀くらいではないでしょうか。
    それにしても曹操も張飛の死も意外でした。二人とも見事な武将であり、激戦の中での死を予想していたのですが、曹操は病でひっそりと、張飛は妻を亡くし、失意のうちの寝室での暗殺でした。
    とはいえ、いよいよこの長い物語の終焉に向かい最後の登りが始まりました。

  • 張飛の死が自分の想像以上に衝撃でした。思えば王安が死に関羽が死に薫々が死に、張飛の大切の人の死は全て衝撃でした。初めはがさつな印象でなかなか好きになれない人物でしたが、いつしか優しさと強さを兼ね備えた張飛を好きになってました。
    劉備はもう孫権の首しか見えていない。これからの蜀はどうなるのだろうか。

  • 分かってたけど、知ってたけど。
    張飛にだけは死んでほしくなかった。。
    蜀に暗雲が立ち込める。。。

  • 関羽の死から、曹操の死、張飛の暗殺までが描かれている。曹操の跡を継いだ曹丕はなかなか陰湿な性格の持ち主で、全体的に暗い雰囲気が漂っている気がする。死にいく曹操の自己観察、本妻にしたいけど心を開いてくれない甄氏に対する仕打ち(曹丕曰く、心を攻める)、それに伴う曹丕の心境の推移を読んでいると気が滅入るかも(笑)諜略や「手を汚す」ということが何なのかを存分に味わえる一冊。また、曹操がいなくなったことで司馬懿が暗躍し始める。

  • 曹操が死しても魏に混乱は起こらず。なんだかんだと人材が豊富だ。
    一方、張飛の死は痛い蜀。
    どんどんと死んでいく。乱世だ。

  • 前巻で関羽が死に、曹操、薫香がしに、張飛が壊れてゆく・・・。
    一つの時代が終わってゆくのを感じた。

  • 曹操、張飛が死んでいき、劉備の混乱の度合いが描かれていく巻。

    北方三国志での張飛は、本当に魅力的な人物として描かれていました。誰よりも優しく、3人の役割を見据え耐えもする。それが、またも孫権、張昭によって崩されていく。酒に溺れて乱暴になる自分に困惑する姿には、涙を誘われます。

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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