やがて秋茄子へと到る

著者 :
  • 港の人
4.30
  • (14)
  • (9)
  • (3)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 225
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896292633

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • koshiさんのレビューから読みたくてずっと探していたら先日出会えた。静かに歌われる情景、その瞬間は二度と来ないと悲しくなるような、でも懐かしい優しい気持ちにもなるような感じが好き。今の季節に似合う気がする。本を詠む歌も多くていい。

    • 111108さん
      5552さん、こんにちは。
      ベルガモットさんもこんにちは。

      わぁ、5552さんも手に入れるんですね!
      あまり歌人の背景を知らずに読んでしま...
      5552さん、こんにちは。
      ベルガモットさんもこんにちは。

      わぁ、5552さんも手に入れるんですね!
      あまり歌人の背景を知らずに読んでしまうことが多いので、瀬戸さんの解説が新鮮でなるほどと思いました。
      それぞれの歌人が出版したものが、短歌界の地図になってくみたいで面白いですね。
      2022/10/17
    • 5552さん
      111108さん、ベルガモットさん。

      短歌界の地図って、名言です!
      みなさん、ちょくちょく名言が飛び出すので気が抜けません。
      歌人...
      111108さん、ベルガモットさん。

      短歌界の地図って、名言です!
      みなさん、ちょくちょく名言が飛び出すので気が抜けません。
      歌人の背景はちょっとだけ知っておくと、歌に生々しさがさらに感じられるような気がします。
      でも、歌を読んでいると、どうしてもその人の生活とか、思考とか滲み出てくるような……。
      それすらもフィクション、フェイクな場合もありそうですよね。

      2022/10/17
    • 111108さん
      5552さん、ベルガモットさん、

      名言認定?ありがとうございます!

      たしかに歌人の背景を知ると、歌に生々しさ感じそうですね。今はあえてフ...
      5552さん、ベルガモットさん、

      名言認定?ありがとうございます!

      たしかに歌人の背景を知ると、歌に生々しさ感じそうですね。今はあえてフィクションやフェイクの場合もあるので、ひきづられ過ぎないように、でも滲み出るものを感じたいというちょっと難しい感じもしますね。
      2022/10/17
  • めちゃめちゃ良かったです
    .

    過ぎ去ればこの悲しみも喜びもすべては冬の光、冬蜂

    .
    「今、この瞬間」のきれいでかけがえのない淡い色彩も、季節として、必ず流れていく、そのことへの深い諦念みたいなものが根底にあるように思う

    そういうのってけっこう共感できて、「ああこういうのって、後々懐かしくなるんだろうなあ」みたいな、その瞬間すでに距離をとってしまってるような寂しい感覚。読んでて懐かしく、同時に苦しくなる

    .
    町中のあらゆるドアが色づきを深めて君を待っているのだ

    生まれた瞬間懐かしくなる歌のように駅の周りで傘は開いた

    • 111108さん
      koshiさん、いつも楽しく拝見させていただいてます。今回は特にkoshiさんの解説が私の心に響きました!堂園昌彦さん読みたいです。
      koshiさん、いつも楽しく拝見させていただいてます。今回は特にkoshiさんの解説が私の心に響きました!堂園昌彦さん読みたいです。
      2022/02/03
    • koshiさん
      こんにちは!えええ響いたなんて言ってもらえて感無量です。
      ぜひぜひ、気分的には☆10コです
      こんにちは!えええ響いたなんて言ってもらえて感無量です。
      ぜひぜひ、気分的には☆10コです
      2022/02/03
  • “春の明るい怒りを前に畑中の震えるビニール袋の切れっ端”

    “明け方の雲や烏や自転車が私の価値観を照らすなり”

  • 歌集。四季の移ろいの、折々に触れてあふれる言葉にできない感情、息を詰める一瞬が、とても鮮明に感じられる、真っ直ぐな歌。夜ゆっくりとページをめくって、少しずつ読むのが楽しみだった。「幾度も越えた心の敷石を撫でればそこに桔梗が咲けり」

    内容もさることながら、装丁がすばらしい。ずっと撫でていたくなる手触り、表紙の、くすんだベージュと、巻頭と巻末に2ページずつ挟まれた紙の臙脂色、歌の載っているページのクリーム色。この色合いの対比、すばらしい。

  • 好きな歌をひく。

    春先の光に膝が影を持つ触って握る君の手のひら
    秋茄子を両手に乗せて光らせてどうして死ぬんだろう僕たちは
    あなたは遠い被写体となりざわめきの王子駅へと太陽沈む
    君は君のうつくしい胸にしまわれた機械で駆動する観覧車
    太陽が暮れてしまえばうつくしい文章を書かなくてはね、指
    君は夢中で道路の脇のカタバミを見ている 本は本から生まれる
    眠るときいつも瞳に降りてくる極彩色の雨垂れ、誰か
    春の船、それからひかり溜め込んでゆっくり出航する夏の船
    文字は花。あなたの淡い感情を散らした紙も枯野を祝う
    燦々と月の光の差す道で僕が自分に手渡す桔梗
    生きている限りは胸に茄子の花散らし続ける惑乱にいる
    ほほえんだあなたの中でたくさんの少女が二段ベッドに眠る
    暗く優しいあなたの知識の泉からあらわれる敬虔なかたつむり

  • とても美しい言葉。
    それは、どんな詩集にも短歌にも散りばめられているにちがいない。

    でも、ここに収められている短歌は、美しいものでありながら、どこか親しみやすく、手に届きそうな感覚がある。

    現代的な内容や言い回しにもその一因があるのかもしれない。
    けれど、同じ今の世の中を生きる作家が、同じように感じていることを、昔ながらの手法を交えて歌っていることが、とても言葉を響かせているのだと思う。
    現代詩のようで、古典的でもあるような、不思議な短歌に、今を生きる人々の心情に訴えるものが感じられるのは、そうした作家の系統的な知と感性が見事な平面を織りなしているからなのだと思う。

  • 冬に泣き春に泣き止むその間の彼女の日々は花びらのよう

  • 一目惚れした歌があり、
    初めて歌集というものを買ってみた。
    私の思い浮かべている情景が正しいかどうかは分からないが、
    春の日差しの下でよんでいると
    やわらかく美しい言葉たちに言いようもなく幸せになる。

  • 書店で本の装丁に惹かれて購入。ずっと気になっていました。
    はじめて短歌というものを本でじっくり読みたいと思いました。
    短歌という古めかしい形式の中に、わたしたちの暮らしの情景がすっかり掬いとられているのに感動しました。
    読み終わるのが惜しくて、2回にわけて読みました。
    活版印刷が似合う、うつくしい短歌と、うつくしい本です。
    だいじにします。

  • 著者の20代~30代にかけての比較的広範な時期の詩を集めた歌集とあってか、前半の句と後半の句で受ける印象が異なるのは面白い。

    客観的な評価軸を持たない私のような門外漢にとっては、どうしても主観的な「好き・嫌い」で判じなければならないわけだが、これは一個人の意見として、確かに言葉は美しい、チカラもある、ただ何故か全体を通して響いてくるものが少なかった、というのが感想である。

    だから無価値だという気は毛頭なく、恐らくは読み手の浅学非才・美的センスの欠如に起因する問題なわけだが、言葉の美しさの向こう側にある想いや情念のところまで至れなかったことが非常に残念である。

    歌人は何を思ってそれを歌ったのか。私は、秋茄子に出会えなかった。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1983年東京都生まれ。早稲田短歌会を経て、現在、短歌同人誌「pool」所属。2013年、第一歌集『やがて秋茄子へと到る』(港の人)刊行。ブログに歌書紹介サイト「短歌のピーナツ」。

「2023年 『現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堂園昌彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
サルバドール プ...
三浦 しをん
光森 裕樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×