砂の都

  • 未知谷
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896421866

作品紹介・あらすじ

幻想は絶えず自身を養い続けそれ自体の織り出す夢により疲れを知らずに増殖する-ラマ教遺跡の噂に中央アジアのシルクロードを訪れた考古学者が一人、突然襲う砂嵐の中、13世紀と思われるオアシス都市にワープする…幼い頃の思い出を魂の片隅に留める者には、星辰と共に言いようもなく懐かしい夢物語。

感想・レビュー・書評

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  • 砂埃の道をゆく。万事は星の光芒に導かれるままに。
    舞い上がった砂がこすれあって匂やかな音を立てる。オアシス都市を行き交う人々の眩しく温かい表情と体温、バザールの店先に並べられた魔術を宿す品物の数々。それらが街に棲む極彩色の物語の歌として聞こえてくる。研磨された宝石のような言葉が次々と弾けて、胸の琴線を鳴らす。
    けれども、砂時計の砂が一粒残らず落ちていくように、神秘の夜が現実の朝に埋もれてしまう時が訪れる。私は夢の記憶一つ一つをつぶさに確かめたいから、砂時計をひっくり返すみたいに何度も読み返そうと思う。
    大好きです。

  • 中央アジアの砂に埋れた古代都市。その近くの遺跡を一人訪れた男が、砂嵐で足止めをくい、断崖の穴につくられた仏教遺跡で過ごすことになる。数日後に砂嵐がおさまると、砂に埋もれる前の古代都市が眼前に現れる。男は迷い込んだその緑や水に満ちた美しい都市で、説教師や金銀細工師、水売り等の人々と交流し、妻子を持って生きていくことになるが、やがて、モンゴル人や砂の襲来に平穏が破られていく。
    とても叙情的で美しい古代の幻想世界。以前、好きで見ていたNHKスペシャル シルクロード を思い起こしながら読んだ。(ヨーヨーマのテーマ曲を聴きながら!) 私は古代史好きで、井上靖さんの古代シルクロードをテーマにした作品群も好きなのだが、それよりもずっとファンタジー色の強い一作だった。
    詩的な内容なので翻訳は難しいのだろうが、それにしても私には読みにくい訳だった。意味のとれない文章が散見されて、集中力を削がれた。もう少し日本語として熟れた翻訳をしてほしいと強く思った‼︎

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