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- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896424393
感想・レビュー・書評
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第二次大戦の只中のフランスをリアルタイムで描いたところは、この後のフランス組曲の「六月の嵐」につながる。ドラマのダイナミズム、闊達な人間描写、所々の美しい描写も共通している。
後書きではピエールが主人公のように解説されているが、私は妻のアグネスの「女の一生」に感じられた。身分違いの恋で愛する人と結婚し、夫を戦争に送り出し、息子を戦争に送り出し、戦乱に立ち向かう。最後の文章は美しい。「自分はこの世の富を全て蓄え、地上のあらゆる苦さも甘さも実を結んだ。そう思った。二人は一緒に人生を全うするだろう。」
しかし、ネミロフスキーはアグネスの立場、フランス人ブルジョワにはなれない。本書を書き終えて僅か2年後に、全うできずに亡くなった作家の運命を思わずにいられない。ネミロフスキーはその人生を送れなかった、しかし死後何年経とうが不滅の「フランス組曲」が次に来るのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示