シティ・オブ・グラス City of Glass (ラダーシリーズ Level 5)
- IBCパブリッシング (2007年7月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896845716
感想・レビュー・書評
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大好きなオースター、ニューヨーク三部作の一作目。
すべての作品に共通する、オースターのアイデンティティに対する見解を巧みな状況設定と人物描写であらわした作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もっかい読まないとなー。
細かいとこやスラングに引っかからなければスピードに乗って進むし、その方が面白い。 -
ストーリーテリングが好みど真ん中。駄作「ルル・オン・ザ・ブリッジ」に何故か惹かれた理由が分かった。
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ミステリーなのか、リアリズム小説なのか。
とりあえず、主人公の作家として名が(要するに偽名)、ポーの小説のタイトルでもある、『ウィリアム・ウィルソン』。ちなみにこれは、ドッペルゲンガーの話。
そして、同じ名前を持つ父と子。
やっぱり言葉を巧みに操る作家、オースターのデビュー作。
ニューヨークの雰囲気は全く感じられなかったけど、錯綜する未発生の事件や心理が、ぐいぐい引っ張ってくれる。
実際は何も起きていないのに、あたかも大事件の渦中にいるような錯覚って、私達の日常にも沢山ある気がする。
想像力は果てしなくて、目に見えるものだけでなく、目に見えないものもどんどん生産していく。
人間は、何をして何をもって確固たる自己規定ができるのか。
自分を自分たらしめるものは、結局自分だけど、他者の存在も同じであって、真実と虚構の境界線は凄く曖昧。
中盤すこし衒学色が強い気もしたけれど、それも必要な要素だったと最後には納得。
ドンキホーテ。オースターのセルバンテスに対する謝辞みたいに感じた。
文学においては、海外の方が情に厚い。
オースターが「今」の作家であることが、日本から見ると本当に素晴らしいことなのだな。