こころはどこで壊れるか: 精神医療の虚像と実像 (新書y 29)

  • 洋泉社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896915303

感想・レビュー・書評

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  • やっと読んだー面白かった!
    これは、「精神分析に比重を置いた折衷派」を自認する精神科医の滝川一廣さん(ただし「精神分析家」ではない)が、インタビューに応じて縦横無尽に精神医療について語ったもの。

    「こころ」とは何か、DSMとは何か、診断とは、キレる若者は増えているのか、犯罪と精神医療、などなど、良心的・常識的・真っ当な精神科医が何をどのように考えているか、それに対して、”ちょっと疑問”なお医者さんたちはどう違うのか、世間やマスコミはどう反応するのか、それらは何故なのかもちょこっと…と盛りだくさんながらも、安心して読みながらふむふむとうなづいたりそれな!と膝をうったりした。

    *”科学的”精神医療と精神分析の違い、診断と精神鑑定の違い、こころを病むとは何か、なんかを知りたい、考えたい方にオススメ!

    *引きこもりについても話が出てくるけど、そこはやっぱり斎藤環さんのほうが深かったな〜(^^)

  • 「久しぶりに「この人すごい!」と思う方に出会いました。」と最初に読んだ当時感じたのですが、内容をすっかり忘れてしまったので改めて読み直そうと思っています。
    books174

  • 凶悪な犯罪があるたびに心理学者がえらそうにで出てきて
    心が壊れているだの言う。

    著者は心理学者としての立場から「こころ」とはどういうものかを説き、『「こころ」が壊れている』とはどういう状態なのか語る。

    「こころ」とは他者との関係においてバランスを取りながら成立しているため、「こころ」を持っている者の思い通りにいかないものである。

    つまり、『「こころ」が壊れている』状態とは他者とのかかわりの中でバランスが崩れた状態のことを言うのである。

    この考えには納得せざるを得なかった。
    確かに、「こころ」とは思う通りにいかないもので他者とのかかわりの中で簡単に崩れるものである。

    つまり、誰もが『「こころ」が壊れる』状態になる可能性があるということである。

    凶悪で猟奇的な犯罪や、少年犯罪がある度に「こころ」の問題としてメディアは取り上げるが
    少年犯罪は凶悪犯罪は戦前から確実に減っている。

    相対的な割合が増えてしまっているだけで
    絶対的な犯罪数は減っているのである。

    ここで、心理学者たちはいろいろな病名をつけて犯罪者を分類していく。

  • [ 内容 ]
    精神科医は本当に「こころ」の専門家なのか?
    青少年の不可解で凶悪な事件が起きると、マスコミは精神科医という識者を登場させ、コメントを求める。
    あれは精神異常=頭がおかしい人間の犯罪だ、と。
    一般人の不安をなだめるための、この「正常‐異常」の線引きは、あまりにも安易と言っていい。
    こうした風潮に対し、木村敏・中井久夫の道統を継ぐ練達の臨床精神科医が、「こころ」とはなにかから時代の病態まで、精神鑑定から「脳」と犯罪の問題まで、さらには昨今の青少年の社会的引きこもりから拒食症・過食症・家庭内暴力まで、きわめて今日的な問題に果敢に発言する刺激的インタビュー集。

    [ 目次 ]
    序章 「こころ」とはなにか
    第1章 「こころ」はどうとらえられてきたのか
    第2章 DSMは「分類」のためのマニュアルにすぎない
    第3章 精神医療と犯罪
    第4章 発病と診断と治療をめぐって
    第5章 思春期犯罪の神話はがし
    第6章 思春期問題への家族論的アプローチ
    終章 「こころ」はどこで壊れるか

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 読了 1回 (うっすら2回)

  • こころが病んでいる、安易に考え過ぎてはいけない。個性と考えるか、病気と考えるか…難しい線引きだ。

  • 人間の「こころ」というものについて精神科医がやさしく語った名著。

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著者プロフィール

学習院大学 文学部 心理学科 教授

「2023年 『そだちの科学 40号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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