映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)

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著者 : 町山智浩
  • 洋泉社 (2002年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896916607

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)の感想・レビュー・書評

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  • アメリカン・ニューシネマが生まれてから軌道に乗り衰えていくまで(1967から1979)を、代表的な作品をもとに描いた評論。
    やたら難解でマイナー作品を扱う映画評論とは異なり、見る機会の多い作品を豊富な資料をもとにわかりやすい語り口で説明している。
    とても好感が持てる。
    アメリカン・ニューシネマと呼ばれる作品群は大好きなのだが、その歴史文脈をしっかりたどったことはなかったので、いい勉強になった。

    1「2001年宇宙の旅」
    2「俺たちに明日はない」「卒業」「イージー・ライダー」
    3「猿の惑星」
    4「フレンチコネクション」「ダーティーハリー」
    5「時計じかけのオレンジ」
    6「地獄の黙示録」
    7「タクシードライバー」
    8「ロッキー」
    9「未知との遭遇」

    特に7・8・9章は作り手の視点に寄り添い、彼らのコンプレックスの昇華に至るまでをじっくり描いている。
    続編の評論集も読みたい。

  • ものすごくためになった。もっと早く読みたかった。
    スコセッシ、スタローン、スピルバーグなど、おなじみすぎる映画人の生い立ちと、それが彼らのつくる映画にどうつながったか、それをアメリカの社会や文化の歴史にからめて説明した本なのだけども、なんといっても町山さんの筆力に圧倒される。まさか『ロッキー』の章でむせび泣きそうになるなんて思わないじゃないか!
    自分が今まで作り手の人生とかにほぼ無関心なままただなんとなく映画を観て来たんだなってことがようくわかって、ちょっと落ち込んだけどね…。

  • 映画の絶対的な名作ってありますよね。例えば「ベン・ハー」や「風と共に去りぬ」とか。このあたりって誰がいつ観ても面白いし、いろいろと考えさせてくれる映画ですね。ところが同じように名作として語り継がれている「2001年宇宙の旅」とか「地獄の黙示録」や「タクシードライバー」あたりになるとどうでしょうか?難しいというか意味不明な部分が多くて、またはどうしてそんなに人の負の側面ばかり強調するのか?みたいなところもあり、正直言って「これって本当に名作と言えるのか?はっきり言って面白くないんじゃないのか?」と感じてしまう人も多いのではないでしょうか?
    そんなふうに思いつつも実は自分の「映画の見方」がイマイチなのではないのか?実は上記のような意味不明な作品の凄さを知る秘密があるのではないのか?と思っている人にはこの本がオススメです。
    著者の町山智浩さんは作品の直接的には現れない作者の意図や作品が生まれた背景を知ることにより映画はもっと楽しくなると主張します。その意図や背景を探りながら上記にあげた「難しい」映画の楽しみ方をこの本で書いてくれています。
    例えば映画全体、特にハリウッド映画産業のおおまかな流れの中で個別の作品の位置づけを捉えるという考え方がなるほどと思わせてくれます。映画はまず純粋な娯楽として「見世物」として始まり、徐々に製作者の主張を鮮明にしていく「作品」となり、さらに時代が進みいかに誰もが消費しやすい(楽しめる)「製品」へと変化していったということです。
    で、この本で取り上げられている「2001年宇宙の旅」であるとか「地獄の黙示録」「タクシードライバー」「明日に向かって撃て」「ロッキー」といったあたりの作品は主に1970年代の製作者の主張が色濃く反映した「作品」としての映画が主流だった時代の映画なんですね。
    つまり観る側が理解できるように噛み砕いた内容というよりも、より製作者側の表現したいことを明確に表現できるか?に重きが置かれていたわけです。
    だから面白さを理解するのに負荷がかかるのは当然なんですね。わかりにくくて、考えつつ観なければわからない、ということになります。
    このあたりというのは文章を書くことについて考えるときによく出てくる「読み手ファースト」か「書き手ファースト」か?という議論にも通じますね。
    で、普通に考えると映画というのはお金を払って観る商品でありますから「観客ファースト」が正しいのではないのか?製作者側の独りよがりでは駄目なのではないか?と思いがちですが、実はそうでもないと思うんですね。
    最大公約数を狙った「製品」はそれなりに楽しめますがやっぱり観て楽しんでそれで完了という感じ、対して製作者の意図を深掘りした「作品」というのはわからなさが心にひっかかっていつまでも忘れらない映画となっていくような気がします。
    例えば「2001年宇宙の旅」といえば「ツァラトストラはかく語りき」が鳴り響く場面が印象的ですが、やはりこの作品というのはニーチェの思想と重ね合わせて観てみるとより面白かったりするんですね。
    それから「タクシードライバー」の監督であるマーディンスコセッシはコンプレックスの塊のような人物であり、その彼の鬱屈した感情こそがタクシードライバーの世界であることなんかがこの本で書かれています。
    印象的な記述を引用してみます。

    「スコセッシが中国の大学で映画の講義をしたとき、一人の生徒が「僕は孤独で気が狂いそうです。どうしたらいいんでしょうか?」と相談したという。「君の孤独感を表現してみなさい」とアドバイスされた生徒は自分のことを映画にし、評価を得て、再びスコセッシに邂逅した。「表現したけど、寂しさは消えません」スコセッシは哀しげにこう答えたという。「・・・実は僕だって、そうなんだよ」

    で、そのスコセッシの親友でもあるスピルバーグの「未知との遭遇」では家族を捨ててUFOに乗る男が出てきます。スピルバーグという人の父親というのは家族を捨てて出ていった男であったそうです。
    そして後に作られた「ET」では、父親に出て行かれた少年が主人公ですね。そしてラストで少年はETに一緒に宇宙へ行かないか?と誘われます。
    で、その誘いに対しての少年の選択というのがスピルバーグ自身の最も言いたいことだったのではないか?というような事も書いてあります。
    読み物としてもとても面白い一冊でぜひオススメの一冊です。
    2017/09/04 08:08

  • ポスト・ポストモダン論やニーチェを映画という具体に紐つけて語るわかりやすさ。それでも決して根本的なヒューマンな視点と愛情は持ち続けて語る。おそらく現在最高峰の映画評論。

  • やっとこさ読めた。
    図書館で借りたのだけど、これ欲しいなあ。
    文庫版で出えへんかしら…。

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  • 初めて読んだ町山本。『2001年宇宙の旅』や『タクシードライバー』、『未知との遭遇』に至るまでの60〜70年代映画を扱っており、徹底的な調査による裏話や名シーンの解説など、難解なアメリカン・ニューシネマが面白く、そして深く味わえるようになる名著。

    例えば画面の外のエピソードを知って見方が変わるのは『ロッキー』。
    モハメド・アリの王座戦に抜擢された無名の男が大健闘する様に心を打たれ、自分の主演映画の脚本を持ち込み、一躍スターへと上り詰めた売れない俳優。
    それがシルベスター・スタローンであり、劇中のロッキーと彼自身が同時に"アメリカン・ドリーム"とかつて言われていたモノを掴み取る話だとは映画を観ただけじゃ分からない。

    そして未だに英雄譚のように言われることのある『タクシードライバー』。無差別殺傷事件における加害者の多くが抱く心理を巧みに描いており、女に振られた、孤独に苛まれる自意識過剰な男が八つ当たりするまでのプロセスを順を追って解説している。
    実は初鑑賞時、初デートでハイソ(死語?)な女性をポルノ映画へ連れて行く感性がまるで理解できず、さらにトラヴィスへの感情移入の難しさも手伝って名作と云われる所以がまるで分からなかった。
    よくよく読んで、実はトラヴィスと自分が同類だと知り赤面。

  • アメリカン・ニューシネマの時代、
    これまでの予定調和的な映画作りからの反動で、鋭い問題提起を含んだ名作が次々に誕生した。
    ベトナム戦争や人種問題など、アメリカの抱えていた問題が、映画の中のストーリーや設定にも色濃くあらわれている。

    その後、ニューシネマはロッキー登場あたりから、本来のエンターテイメント的な部分へ回帰していく。

    裏テーマや時代背景を知ることで、何倍にも映画を楽しむことができる。
    そんな新しい視点を与えてくれる本。

  • 名作映画の作られた過程がその時代背景とともに書かれているので、作品について深く知ることができるだけじゃなく、
    カウンターカルチャーの変遷を通して、戦後のアメリカ史が肌感覚を伴って理解できると言うなかなか味わい深い内容。

    一度観た映画を観直したいと思ったし、ベタすぎて観るのを敬遠していた作品も改めて観たいと思った。

  • 題名に反し、「映画の見方」はわからない。
    アメリカンニューシネマあたりからのアメリカの有名映画の背景、ストーリーや意味あいが興味深く紹介されている。アメリカ映画の流れ、時代背景(政府への嫌悪感、ベトナム戦争)からアメリカンニューシネマが生まれ、ロッキーがその流れでの映画であったということが新鮮だった。
    ロッキーは撮り方としてリアリティを追及した、スタローンのインディペンデント映画、ラストも本来はもっと静かなニューシネマ風だったが、映画会社のアドバイスで変更し、アメリカを代表する映画になった。また、黒人の台頭によるブルーカラー白人の映画であるという面でタクシードライバーとの共通こうがある。など、興味深かった。
    地獄の黙示録のシナリオ(ジョンミリアス)と映画のとらえ方の違い。(コッポラはベトナム人を土人扱いのままというのは自分の観た印象と重なる。)シナリオは「闇の中」、オデュッセイアをモデルにしている。
    時計仕掛けのオレンジで、世の中で同様の事件が起こって、世間からキューブリックが責められたときに、芸術はその部分に責任を負わないと主張した話が、自らの芸術に対する自信と社会との距離の取り方(無責任さ)による強さが鑑みれた。それぐらいの意識でないと鋭い作品は作れないのだろう。
    タクシードライバーに男は女を天使か娼婦ととらえているが、実際にそんな女は存在しないというフレーズがあり、男女の視点の違い、異性に求めるもののずれが感じられて面白かった。

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映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)の作品紹介

『2001年宇宙の旅』にはナレーションの解説がついていた。『地獄の黙示録』のシナリオはベトナム戦争を礼賛していた。『時計じかけのオレンジ』も『タクシードライバー』も実話だった。わからない映画がわかり始める、隠された事実の数々。

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)はこんな本です

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