映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)

  • 887人登録
  • 4.14評価
    • (126)
    • (106)
    • (72)
    • (5)
    • (0)
  • 88レビュー
著者 : 町山智浩
  • 洋泉社 (2002年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896916607

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ポール オースタ...
ジェイムズ・P・...
吾妻 ひでお
有効な右矢印 無効な右矢印

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)の感想・レビュー・書評

  • アメリカン・ニューシネマが生まれてから軌道に乗り衰えていくまで(1967から1979)を、代表的な作品をもとに描いた評論。
    やたら難解でマイナー作品を扱う映画評論とは異なり、見る機会の多い作品を豊富な資料をもとにわかりやすい語り口で説明している。
    とても好感が持てる。
    アメリカン・ニューシネマと呼ばれる作品群は大好きなのだが、その歴史文脈をしっかりたどったことはなかったので、いい勉強になった。

    1「2001年宇宙の旅」
    2「俺たちに明日はない」「卒業」「イージー・ライダー」
    3「猿の惑星」
    4「フレンチコネクション」「ダーティーハリー」
    5「時計じかけのオレンジ」
    6「地獄の黙示録」
    7「タクシードライバー」
    8「ロッキー」
    9「未知との遭遇」

    特に7・8・9章は作り手の視点に寄り添い、彼らのコンプレックスの昇華に至るまでをじっくり描いている。
    続編の評論集も読みたい。

  • ポスト・ポストモダン論やニーチェを映画という具体に紐つけて語るわかりやすさ。それでも決して根本的なヒューマンな視点と愛情は持ち続けて語る。おそらく現在最高峰の映画評論。

  • ものすごくためになった。もっと早く読みたかった。
    スコセッシ、スタローン、スピルバーグなど、おなじみすぎる映画人の生い立ちと、それが彼らのつくる映画にどうつながったか、それをアメリカの社会や文化の歴史にからめて説明した本なのだけども、なんといっても町山さんの筆力に圧倒される。まさか『ロッキー』の章でむせび泣きそうになるなんて思わないじゃないか!
    自分が今まで作り手の人生とかにほぼ無関心なままただなんとなく映画を観て来たんだなってことがようくわかって、ちょっと落ち込んだけどね…。

  • やっとこさ読めた。
    図書館で借りたのだけど、これ欲しいなあ。
    文庫版で出えへんかしら…。

  • 映画の絶対的な名作ってありますよね。例えば「ベン・ハー」や「風と共に去りぬ」とか。このあたりって誰がいつ観ても面白いし、いろいろと考えさせてくれる映画ですね。ところが同じように名作として語り継がれている「2001年宇宙の旅」とか「地獄の黙示録」や「タクシードライバー」あたりになるとどうでしょうか?難しいというか意味不明な部分が多くて、またはどうしてそんなに人の負の側面ばかり強調するのか?みたいなところもあり、正直言って「これって本当に名作と言えるのか?はっきり言って面白くないんじゃないのか?」と感じてしまう人も多いのではないでしょうか?
    そんなふうに思いつつも実は自分の「映画の見方」がイマイチなのではないのか?実は上記のような意味不明な作品の凄さを知る秘密があるのではないのか?と思っている人にはこの本がオススメです。
    著者の町山智浩さんは作品の直接的には現れない作者の意図や作品が生まれた背景を知ることにより映画はもっと楽しくなると主張します。その意図や背景を探りながら上記にあげた「難しい」映画の楽しみ方をこの本で書いてくれています。
    例えば映画全体、特にハリウッド映画産業のおおまかな流れの中で個別の作品の位置づけを捉えるという考え方がなるほどと思わせてくれます。映画はまず純粋な娯楽として「見世物」として始まり、徐々に製作者の主張を鮮明にしていく「作品」となり、さらに時代が進みいかに誰もが消費しやすい(楽しめる)「製品」へと変化していったということです。
    で、この本で取り上げられている「2001年宇宙の旅」であるとか「地獄の黙示録」「タクシードライバー」「明日に向かって撃て」「ロッキー」といったあたりの作品は主に1970年代の製作者の主張が色濃く反映した「作品」としての映画が主流だった時代の映画なんですね。
    つまり観る側が理解できるように噛み砕いた内容というよりも、より製作者側の表現したいことを明確に表現できるか?に重きが置かれていたわけです。
    だから面白さを理解するのに負荷がかかるのは当然なんですね。わかりにくくて、考えつつ観なければわからない、ということになります。
    このあたりというのは文章を書くことについて考えるときによく出てくる「読み手ファースト」か「書き手ファースト」か?という議論にも通じますね。
    で、普通に考えると映画というのはお金を払って観る商品でありますから「観客ファースト」が正しいのではないのか?製作者側の独りよがりでは駄目なのではないか?と思いがちですが、実はそうでもないと思うんですね。
    最大公約数を狙った「製品」はそれなりに楽しめますがやっぱり観て楽しんでそれで完了という感じ、対して製作者の意図を深掘りした「作品」というのはわからなさが心にひっかかっていつまでも忘れらない映画となっていくような気がします。
    例えば「2001年宇宙の旅」といえば「ツァラトストラはかく語りき」が鳴り響く場面が印象的ですが、やはりこの作品というのはニーチェの思想と重ね合わせて観てみるとより面白かったりするんですね。
    それから「タクシードライバー」の監督であるマーディンスコセッシはコンプレックスの塊のような人物であり、その彼の鬱屈した感情こそがタクシードライバーの世界であることなんかがこの本で書かれています。
    印象的な記述を引用してみます。

    「スコセッシが中国の大学で映画の講義をしたとき、一人の生徒が「僕は孤独で気が狂いそうです。どうしたらいいんでしょうか?」と相談したという。「君の孤独感を表現してみなさい」とアドバイスされた生徒は自分のことを映画にし、評価を得て、再びスコセッシに邂逅した。「表現したけど、寂しさは消えません」スコセッシは哀しげにこう答えたという。「・・・実は僕だって、そうなんだよ」

    で、その... 続きを読む

  • Sn ;yU,n oX〔
    nソ、ネ 習泳D ;
    oj\習泳DnK悌WfSn&? Nサn
    \
    nフod~柑ッ?? SFt
    x?將ウ[ b}U
    H?hWfD鬼hL縦fM_hKO ? ;
    jihtOhc_?ウfыFhDF0nェDaL牘牘h?縅 ;kogMШDW]F?fウ「n?
    Rf?kウQU[?h゙?テネnキケニ瀰ナ{``K栄cf]Sg怐
    K乙?Lc?kウ?Lia洩WfウjDx梺W_hS紅 ;
    kハW_?Snヒ kヨ款~掲W~F

    UfSn,hSkォ牒Oニ?o ォヲ???腋hWfn ;nhB所
    `]F?稾80t緻oォヲ???腋o {
    堵D吃」JWfD?g?]渓?QZk?Wfn?瀦qY祇?Y姥fD?}hWf綾U掲D?(n ;#mマ?テノ ;k?Y及$?yU``K荏孝K?縅 ;塚??
    qcfDjDhDFSh?記 Sn,go]nSBn薀緜,カ_an?jML %
    眺鬲馼LK[fD笈Fkュ~[R%B緝DFno]nc?kD?コkhcfo了_欟n-kD記]健/間c_hMoOjDB?n 燦U
    ?cf゙?汲njnK8桂D

    `Kh|OoF ォヲ???腋LB縦_
    ェ?ハニ」ヨj ;hoi屠OU`孝hSn:qzin VS、?
    ?;コl?Y鬼ho?(i形Q?g?氛j伝孝K マテヤ??
    ラnコkFcqaj?U1HW_X恥° ォヲ???腋
    ? ;hWfNサ\hサU結ハo?U掲W~F店ニDKcf

    、?熙簧ホれ「?ネ?ネn蔘ュ?ク胚ュ?rMSjヒ??T惶g?惶kセ^セ」?掲D倶トfh鰍&kX(Y?縊]??ヒ 鶸L硴ネタヲ?滑Wf硴ネケ?復QカKgMfDcfnL|On?(2Lbn?カ更`XィiFY杵cfォヲ???腋LTH煙jD稀jD蚣SFt|O頴MfD cWDTHLjDhFcイモ野郎もリアルストリートのヤンキーもジャンキーもひきこもりニートも発達障害で二次障害に精神疾患現れているヤツもゆとりも並列に存在する現代は、そもそも社会構造自体がメルトダウンを通り越してメルトスルー、底抜け状態で生きている、ってのがぼくの現在進行形の現状認識だ。じゃあ、どうするの?ってカウンターカルチャーが答えられない、見えない明日の向こう側を、ぼくらは生きている。「“正しい答えがない”と言う正解」で自己完結のループから、フラジャイルな軽やかさでステップを踏み出したい。

  • 初めて読んだ町山本。『2001年宇宙の旅』や『タクシードライバー』、『未知との遭遇』に至るまでの60〜70年代映画を扱っており、徹底的な調査による裏話や名シーンの解説など、難解なアメリカン・ニューシネマが面白く、そして深く味わえるようになる名著。

    例えば画面の外のエピソードを知って見方が変わるのは『ロッキー』。
    モハメド・アリの王座戦に抜擢された無名の男が大健闘する様に心を打たれ、自分の主演映画の脚本を持ち込み、一躍スターへと上り詰めた売れない俳優。
    それがシルベスター・スタローンであり、劇中のロッキーと彼自身が同時に"アメリカン・ドリーム"とかつて言われていたモノを掴み取る話だとは映画を観ただけじゃ分からない。

    そして未だに英雄譚のように言われることのある『タクシードライバー』。無差別殺傷事件における加害者の多くが抱く心理を巧みに描いており、女に振られた、孤独に苛まれる自意識過剰な男が八つ当たりするまでのプロセスを順を追って解説している。
    実は初鑑賞時、初デートでハイソ(死語?)な女性をポルノ映画へ連れて行く感性がまるで理解できず、さらにトラヴィスへの感情移入の難しさも手伝って名作と云われる所以がまるで分からなかった。
    よくよく読んで、実はトラヴィスと自分が同類だと知り赤面。

  • アメリカン・ニューシネマの時代、
    これまでの予定調和的な映画作りからの反動で、鋭い問題提起を含んだ名作が次々に誕生した。
    ベトナム戦争や人種問題など、アメリカの抱えていた問題が、映画の中のストーリーや設定にも色濃くあらわれている。

    その後、ニューシネマはロッキー登場あたりから、本来のエンターテイメント的な部分へ回帰していく。

    裏テーマや時代背景を知ることで、何倍にも映画を楽しむことができる。
    そんな新しい視点を与えてくれる本。

  • 名作映画の作られた過程がその時代背景とともに書かれているので、作品について深く知ることができるだけじゃなく、
    カウンターカルチャーの変遷を通して、戦後のアメリカ史が肌感覚を伴って理解できると言うなかなか味わい深い内容。

    一度観た映画を観直したいと思ったし、ベタすぎて観るのを敬遠していた作品も改めて観たいと思った。

  • 題名に反し、「映画の見方」はわからない。
    アメリカンニューシネマあたりからのアメリカの有名映画の背景、ストーリーや意味あいが興味深く紹介されている。アメリカ映画の流れ、時代背景(政府への嫌悪感、ベトナム戦争)からアメリカンニューシネマが生まれ、ロッキーがその流れでの映画であったということが新鮮だった。
    ロッキーは撮り方としてリアリティを追及した、スタローンのインディペンデント映画、ラストも本来はもっと静かなニューシネマ風だったが、映画会社のアドバイスで変更し、アメリカを代表する映画になった。また、黒人の台頭によるブルーカラー白人の映画であるという面でタクシードライバーとの共通こうがある。など、興味深かった。
    地獄の黙示録のシナリオ(ジョンミリアス)と映画のとらえ方の違い。(コッポラはベトナム人を土人扱いのままというのは自分の観た印象と重なる。)シナリオは「闇の中」、オデュッセイアをモデルにしている。
    時計仕掛けのオレンジで、世の中で同様の事件が起こって、世間からキューブリックが責められたときに、芸術はその部分に責任を負わないと主張した話が、自らの芸術に対する自信と社会との距離の取り方(無責任さ)による強さが鑑みれた。それぐらいの意識でないと鋭い作品は作れないのだろう。
    タクシードライバーに男は女を天使か娼婦ととらえているが、実際にそんな女は存在しないというフレーズがあり、男女の視点の違い、異性に求めるもののずれが感じられて面白かった。

  • 初めて読んだのだけれども、特に目新しいことは無かった。おそらくこれを読んでいた誰かに吹き込まれていたんだろう(笑)
    いい時代にいい映画を見られていたことに感謝。DVDでもう一度見直そう。

  • 以下引用。(途中)


     そんなシュレイダーは『暗殺者の日記』を読んで感銘を受けた。それは、ドストエフスキーが自意識過剰ゆえに世間を避けて自室に引きこもった男を描いた『地下室生活者の手記』を読んだときと同じものだった。それから十日間で、シュレイダーは一気に『タクシードライバー』のシナリオを書き上げた。
     シュレイダーはシナリオを『愛のメモリー』(七六年)で組んだブライアン・デ・パルマ監督に渡したが、デ・パルマはマーティン・スコセッシを推薦した。スコセッシは『タクシードライバー』に熱狂した。また、デ・パルマとスコセッシの親友ロバート・デ・ニーロが、何が何でもトラヴィスを演じたいと申し出た。(p.173)

     全編をトラヴィスの視線だけで統一している『タクシードライバー』のなかで、このシーンともう一つだけがトラヴィスの見た映像ではない。もう一つは、ベツィがパランタインの選挙事務所に入り、ボーイフレンドのトム(アルバート・ブルックス)と会話するシーンだ。ベッツィにはトムがいる。アイリスにもスポーツがいる。そんな幸福から閉めだされている一人ぼっちのトラヴィス。(p.182)

    『ゴッドファーザー』(七二年)で着弾効果を変革した特殊メイクの虚証ディック・スミスがその天才的テクニックを駆使した血みどろの銃撃戦だ。(p.184)

     スポーツはシュレイダーのシナリオでは黒人になっていた。実際、街娼は黒人も白人も、黒人のヒモ(Pimp)が仕切っていたからだ。
     七〇年代初めはブラック・パワーの時代だった。ソウル・ミュージックとブラックスプロイテーション映画が白人をも魅了した。リズム感、ファッション・センス、陽気さ、そして巨大なペニス。黒人男性は最もセクシーな存在とされた。内気でダサくて青白いトラヴィスのような白人は「すべての女を黒人に盗られてしまう」という脅迫観念に襲われた。「クロンボに女を寝取られた」と言ったスコセッシのように。(p.184)

     トラヴィスは時代遅れのカウボーイだ。六〇年代終わりの公民権運動で少数民族の地位が大きく向上すると、黒人やインディアンを土人扱いする冒険活劇や西部劇は作られなくなった。公民権運動とともに女性の地位向上運動、いわゆるウーマン・リブも起こった。女性はベツィのように職場に進出し、ピル(経口避妊薬)の解禁で主体的にセックスを楽しむようになった。アイリスは古臭い女性観を押しつけるトラヴィスにウンザリして「ウーマン・リブって知ってる」と聞くが、トラヴィスには何のことかわからない。また、六〇年代に反戦運動をしていた学生たちは、ヒッピーを卒業してヤッピー(リッチなホワイト・カラー)に成長しつつあった。ベッツィのボーイフレンドのトムはヤッピーの典型、しかもユダヤ系である。
     黒人、インディアン、ユダヤ系、女性、インテリ学生……みんな偉くなって楽しそうだ。取り残されたのはオレだけだ! トラヴィスのウェスタン・ブーツが象徴するのは白人ブルーカラーの屈辱とノスタルジアだ。彼らは西部劇を愛し、カントリー&ウェスタンを聴く。マッチョな白人男がヒーローだった時代を懐かしんで。(p.186)

     ジョージ・ルーカスの妻マーシアの手で編集された『タクシードライバー』の初号試写を観て、コロムビア映画の首脳スタンリー・ジャッフィは腰を抜かした。「狂っている」
     彼はスコセッシを呼びつけると、クライマックスの銃撃戦を編集し直すよう命じた。
    「このままでは成人指定になってしまう。それにトラヴィスが胃の薬をコップの水に溶かすクローズアップはいらん。薬のコマーシャルじゃないんだぞ」
     スコセッシは激昂した。
    「あれはゴダールの『彼女について渡しが知っている二、三の事柄』(六六年)へのオマージュだ!」
    「ゴダールなんて知... 続きを読む

  • 映画は背景を知っているともっと面白く観賞できるよ、と教えてくれているような本だったかと思います。町山智浩氏は博識過ぎてご本人的には思っていることを全て出し切れていない可能性があるけれども、限られたスペースや時間の中で発言しているほうがキレがあるかなと感じた本です。また違ったときに読めば、違う風に思うかも。

  • 映像制作演習の赤城先生より寄贈いただいた図書です。
    閲覧用PCの側にコーナーがあります。

  • タイトルにある映画の見方というよりは、映画が作られていく過程をレビューしながら、その作品がなぜ重要なのか、という点について説明している本。取り上げられている作品は誰でも知っているような有名作だが、その成り立ちはあずかり知らぬことばかり。監督の生き様と作品がオーバーラップしていく様はとにかく見事。その中でも特にロッキーの項は白眉。

  • 僕自身は「すべての作品に誤読はない」と思っているので本書の冒頭で「製作過程を辿らないと、勝手な思い込みや誤読に陥る危険がある」との一文には衝撃を受けました。取り上げられている作品はどれも超有名なものばかりなのでおいてけぼりはありません。ちなみに最近、著者がTwitterで来年あたりに本書の改訂版を出したいとおっしゃってました。

  • 解説にじめじめともったいぶったところがなくて実に爽快にばさばさと進んでいく。むしろ速すぎて追いつけないくらい。

  • ずっと前から気になっていて、やっと手にとって読んだ本で、面白かったです。

  • 映画の見方を理解することで、二度映画を楽しめる

  • とても素晴らしい解説本だった。
    映画の時代背景、込められたメッセージとその切実さが読んでいて、同時に映画を思い出し、再び感動してしまうという映画と読書の組み合わさったような体験をすることができた。
    特に面白かったのは「2001年宇宙の旅」と「猿の惑星」、「タクシードライバー」、そして「ロッキー」。
    うろ覚えだった映画もたくさんあり、また見なければならないなと思わせられた。
    70年代に始まった映画の「革命」は80年代にはマーケティングを駆使した「製品」となってしまったと本書では書かれている。70年代の「革命」の中で様々な作品が、当時の価値観に対する抵抗を試みた。その切実な、激しいメッセージが作品の端々に宿っているのだと知ることができた。そのテーマは様々で、人種差別問題、戦争と平和、正義、自由、平等などである。そして、それらは人間は進化しているのかという疑問につながり、進歩しない人類の愚かさまで含んだ人間という存在について踏み込んだ話にまで映画を通じて語っている。
    そして、人類全体の普遍的な話にまでいった後に「タクシードライバー」では、孤独な人間の、人間個人が抱えうる深い絶望の話になるが、「ロッキー」では、そこから見えるわずかな希望をつかみ取る話にもっていっている。
    この本を読んでから、そうした映画の歴史を踏まえ、そこに込められた切実なメッセージを今まで以上に受け取ることができるようになった。
    もう読んでいない状態には戻れなくなってしまった。
    もう映画を積極的に見るしかなくなってしまった。
    もう映画を一つの作品として込められたメッセージを読み取ろうとする観客になってしまった。
    町山智浩の映画に対する愛情にやられてしまった。

    本当に素晴らしい本です。

  • 取材や資料を元にした解説本。取り上げられている作品はどれも名前ぐらいは聞いたことのあるだろう名作ばかり。

    製作過程上のハプニングやちりばめられた小ネタやパロディだけでなく、映画が作られた時代がどういう時代で、監督がどういう人物でどういう経験をしてきたのかというところにまで調べている。

    映画を見てから解説を読むことで、あのシーンのあの表情はこういうことを考えていたのか、という新たな気づきがある。

  • 中学3年のとき映画館で見た「地獄の黙示録」。
    圧倒的な映像にドアーズ、何がなんだかよくわからない。
    ので、そのままもう一度観る(入れ替え制じゃないかった時代バンザイ!)
    やっぱりわからない。でもなんかすごい。
    午前中に入った映画館を出るころには、すっかり闇の奥・・・。

    「映画」を観て大きな疑問符を投げつけられるような体験は初めてだった。
    それから、キューブリック、ゴダールと「そっち」へとまっしぐら。なんかよくわからない映画ばかりを観ていた。

    と、そのあたりの映画を解説した本。そのあたりだけでなく、「ダーティハリー」「ロッキー」「未知との遭遇」というヒット映画もだけど。
    「解説」といっても映画から深読みする解説書ではなく、脚本の第一稿、インタビューなどを通じて、丁寧にひも解いていく。
    「2001年・・」についてはすっごくわかりやすい。まさに目からうろこ。
    ただやっぱりくよくわからないのが、HALのシーン。全体のテーマとHALの反乱と結びつかない。「HALは『オデッセイ』の一つ目巨人サイクロプスである」というのにも、うーん。

    「地獄の黙示録」の初期のアクション満載のシナリオについても興味深い。でも、「地獄の黙示録」の特別完全版に追加されたシーンを退屈な蛇足と切り捨てているのは納得いかない。

    未知との遭遇のETと「オールウェイズ」のオードリ・ヘップバーンとよく似ている、というののは笑った。

    映画に対する、町山の異常な愛情が感じられる本。

全88件中 1 - 25件を表示

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)に関連する談話室の質問

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)に関連するまとめ

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)を本棚に「積読」で登録しているひと

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)の作品紹介

『2001年宇宙の旅』にはナレーションの解説がついていた。『地獄の黙示録』のシナリオはベトナム戦争を礼賛していた。『時計じかけのオレンジ』も『タクシードライバー』も実話だった。わからない映画がわかり始める、隠された事実の数々。

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)はこんな本です

ツイートする