ことばの課外授業: ハダシの学者の言語学1週間 (新書y 84)

著者 :
  • 洋泉社
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本棚登録 : 77
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896917192

作品紹介・あらすじ

世界の言語数は「約いくつ」としか答えられない理由とほんとうは得体が知れないバイリンガリズムとの密接な関係。「人はことばではコミュニケーションできない」という意外な話から言語を言語たらしめる七つの性質、声を書き取れない文字の話まで。「単語の数が少ないと文化も貧しい」という思い込みを論破し、ブッシュマン語でも"くさや"は語れると明快に証明する-。数十言語を自在にあやつる破格の天才言語学者が初めて語り下ろした平易かつ高度、専門用語一切なしの、目からウロコの言語学講義。

感想・レビュー・書評

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  • 言語学というよりは、言葉に関する評論。

    ことばの7つの特徴が参考になる。
    二重分節性
    生産性
    任意性
    異空間・異時間伝達性
    老若男女共通性
    分離性
    後天性(文化性)

    他の書籍における言語の特徴との対応を考えてみたい。

  • 第3講 現状までの意味、現状からの意味ー置き換え・翻訳・尻拭い
    ・「意味」という単語が「言わんとするところ」(78)
    ①価値:意義
    ②置き換え:「椅子」とは「人が座る道具」である、別の言語への置き換え
    ③世界の創り変え:現状を疑い、現状を変革させる=「意味を問う」
    ・学問は尻拭いである(82)
     みんなが認めるような現状までの部分での置き換えをする
    ・日本語でしか言えないことなんて(基本的なところでは)ない(102)
     ニュアンスなどと言い出したら、同じ言語を話していても他人のことはわからない
    ・翻訳とは「演奏」である(106)
     制約の中での一種の「演奏」
     別の言語への「置き換え」と「翻訳」を混同しない。翻訳というのは基本的には、できないことをやろうとする試み(??)
     

  • ことばに関して関心がある人、外国語学習に熱が入る人におすすめの一冊。著者は50もの言語を操るとされる超人で、たゆまぬ努力を通じてそれらの外国語を習得してきた。そんな彼が「ことば」について語った内容を文字に起こしたのがこの本である。専門用語はなく、簡潔な言い回しでもって「ことば」の世界の真髄を語る。
    外国語学習に熱が入るあまり言語そのものを絶対化し過ぎていた自分に、「言語だけではお互いわかり合うことはできない」ことを気づかせてくれた。コミュニケーション=伝え合い、は言語を含めてどんな要素から成り立っているのか、外国語学習に関するあれこれ、母語と母国語の違い…どの章も必見。

  • [ 内容 ]
    世界の言語数は「約いくつ」としか答えられない理由とほんとうは得体が知れないバイリンガリズムとの密接な関係。
    「人はことばではコミュニケーションできない」という意外な話から言語を言語たらしめる七つの性質、声を書き取れない文字の話まで。
    「単語の数が少ないと文化も貧しい」という思い込みを論破し、ブッシュマン語でも“くさや”は語れると明快に証明する―。
    数十言語を自在にあやつる破格の天才言語学者が初めて語り下ろした平易かつ高度、専門用語一切なしの、目からウロコの言語学講義。

    [ 目次 ]
    第1講 新宿語が四言語にカウントされる理由―世界言語事情(1)
    第2講 得体が知れないバイリンガリズム―世界言語事情(2)
    第3講 現状までの意味、現状からの意味―置き換え・翻訳・尻拭い
    第4講 ことばがわかる犬はこの世に存在しない―伝え合いの七つの要素
    第5講 ロシア語でさえずるか、日本語でさえずるか―言語の七つの性質
    第6講 幼稚園の子にできて大学生にできなかった試験問題―分ける・深入り・リアリティ
    第7講 これからの外国語とのつきあい方―グローバリゼーションと言語

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 言語に関する様々な思い込みを崩してくれる。例えば「私たち」という言葉に対話相手が含まれる語と含まれない語の区別のある言語。「明日」も「昨日」も今日から1日違う、という意味で同じ言葉で表す言語。
    市立図書館借用。20090627

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著者プロフィール

1937年東京生まれ。言語学・文化人類学専攻。現在、早稲田大学文学部教授。卓抜した語学の才能に恵まれ、言語調査のフィールドは世界各地に及んでいる。フィールドでは、たんに調査するのではなく、人びとの暮らしぶりに等身大のまなざしで接する経験は多くの優れたエッセイに結実している。『花のある遠景』や『異郷の景色』『東京のラクダ』などはその代表作であり、ほかに『人かサルかと問われても』という半生記がある。

「1999年 『風に運ばれた道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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