ダニ・マニア: チーズをつくるダニから巨大ダニまで

著者 :
  • 八坂書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896941432

作品紹介・あらすじ

手のひらに乗るもの、森で落葉を食べて暮らしているもの。フランスでは"チーズ職人"として働く、のろまな平和主義者。ダニは、知れば知るほど不思議な生きもの。さて、その正体は?希少図版150点。

感想・レビュー・書評

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  • 普段は目に触れないほど小さいが、チーズを作るものまでいるとは。

  • 読書録「ダニマニア」4

    著者 島野智之
    出版 八坂書房

    p59より引用
    “前述したように、ほかの節足動物を食べる
    トゲダニの肉食、ハダニの草食、マダニの行
    う吸血、ササラダニの植物遺体食(落葉・落
    枝)、コナダニの菌食など、陸上のあるゆる
    餌資源を利用している。”

    目次から抜粋引用
    “ダニでチーズはうまくなる
     ダニの正体
     ササラダニとはどういうダニか
     ササラダニの防衛戦略
     タイ料理とダニをつなぐ香り”

     ダニに深い愛情を持つ著者による、ひたす
    らダニについて語った一冊。
     ダニとチーズの関係から分解者としてのダ
    ニについてまで、多くの貴重であろう写真や
    図版を使って書かれています。

     上記の引用は、ダニが古代の大量絶滅を乗
    り切ったことについての一節。
    どのようなところでも生きていけるように、
    好き嫌いを無くすことが、功を奏したのかも
    しれません。虫一匹で大騒ぎせずに、静かに
    その部分だけを取り除いて食べるくらいしな
    ければ、将来食料不足に陥った時に大変なの
    ではないでしょうか。
     参考文献やダニの観察についての具体的な
    方法などもあるので、ダニの世界を研究しよ
    うと思う人には、いい入り口になるのではな
    いでしょうか。

    ーーーーー

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】485.77||S【資料ID】91132544

  • チェック項目15箇所。「ダニとは何か? ダニ学者とは何者か?」、本書では、ダニのような虫でも、見所はあると信じて一生をダニに賭けている人々の研究成果をもとに、多様性に富んだ魅力あるダニの世界をご紹介しようと思う、これからたっぷり登場するダニのようなちっぽけな生き物も、工夫をこらして生きていることと、ダニを知るために命をかけて生きている人もいることを知ってほしい。チーズを棚などにおいて熟成させるタイプは、ダニが熟成に貢献している、ダニがカビを食べて、カビの量をコントルールしながら、チーズにほどよい風味をつけているのではないだろうか。インターネットで見かけたチーズのネット販売の文句に、「我が社の販売している空輪の熟成ミモレットには、元気なダニが付いています」と堂々と書いてあるものがあったのだ。ダニが二年間ものあいだ熟成させてくれたミモレットはおいしく、ことのほかワインもすすんでしまったのは言うまでもない。昔は、ゴキブリが雑菌をばらまくとして嫌われたのだが、実は、ゴキブリの体は抗菌物質におおわれていて、人間よりも雑菌は少ない、抗菌物質のおかげで、三億年間も姿を変えずに生き残ってこられたのだという。日本にいるダニ類は、全部で約1800種、このうち、人を刺して血を吸うのは20種程度に過ぎない、つまり日本産のダニ類全体から見れば、人間にとって「わるいダニ」は、一パーセントあまりしかいないのだ。盛口さんと三人で泡盛を飲んでいたとき、私は、「大きなダニをこの手で掴みたい」と思っていた夢がかない、少々浮かれていたのだろう、ダニを手のひらの上で転がしながら飲んでいた。たとえると、クラスにいる目立たない女の子のチャームポイントを見つけて好きになったとしよう、勇気をもって告白したといって、彼女に受け入れてもらえるわけではない、こんな片思いに似ている、女の子が人気者になって、彼女のチャームポイントを、みんなが認めるようになってしまったら100年の恋も冷めてしまう、私だけが密かに、彼女を認めているのがいい、だからダニは、顕微鏡で見えるくらい小さいほうがいい。学会期間中だけは、どれだけダニという言葉を口にしてもよく、また、ご飯を食べながら、酒を飲みながら、ダニの話だけをしてもいいのだ、人によっては、お互いに、ダニの話を日頃できないことを慰め合ったり、ほかの人には分かってもらえないダニの自慢話をここぞとばかりに競い合い、朝までダニの話を語り明かすことになる。ダニは、実にさまざまな食性を持っている、ほかの動物を食べるもの、植物の栄養を吸うもの、カビを食べるもの、落ち葉を食べるもの、昆虫の体表の分泌物を食べるもの、その分泌物に繁殖する微生物を栄養とするもの、動物の古い皮膚や分泌物を餌として利用するもの、そして、動物の体液を吸うものなどである。ダニはクモと同じクモ系類に属するが、ほかにはどのような生き物がいるのだろうか? クモ系類では、ダニとクモだけが多くの種を持ち多様性を維持しながら地球上で反映している、しかし、これら以外のグループは、ごく少数の種が所属するだけで、生きた化石のようだ。落葉落枝の堆積する土壌に生息するハエダニ科のダニは、ハエの卵や、線虫やトビムシなどを捕食する。ササラダニは生態系の中でとても大切な役割を果たしている、生態系は、太陽エネルギーによって光合成を行う「生産者」、摂食・捕食者としての「消費者」、そして有機物から無機物をつくり生産者の栄養とする「分解者」からなり、ササラダニは、その中の分解者である。ササラダニは餌からその毒を濃縮しているのではなく、自身で合成していることも分かった、この発見までは、ヤドクガエルの毒は、アリ由来だと考えられていた、ヤドクガエルがアリを捕食してその毒を蓄積することが、ヤドクガエルにとって最も重要な毒の供給の方法だと考えられていたのである、アリがササラダニを食べることまでは、誰も気がついていなかったのだ、もちろんヤドクガエルがササラダニを食べることさえも。まだ、ダニはわからないことだらけである、いま読者のそばにある植え込みの一握りの土にさえも、名前のついていないダニがいるかもしれない、そして、人間にとって役に立つ未知の機能を持っているかもしれない、あなたにも、それを発見できるチャンスがある、ダニは常に人間の周りにいるし、地球上の陸地のありとあらゆる場所にいるからだ。

  • いいダニと悪いダニがいるそうだ。
    こういう本は苦手

  • ダニって色んな種類があるってことを知りました。生態、生化学両方の面からの知見があって興味深く読めました。

  • マダニの媒介する感染症被害報道に触れて手に取った本。
    初心者にわかりやすく書かれており、読みやすい。なおかつ、今まで害しか知らなかったダニの効用を知ることができたのはうれしい驚き。
    本文中にはダニの写真が多用されているのが興味深い。中には体がかゆくなりそうなものもあるのだが、コシミノダニという格好良いダニはビジュアル的に非常に気に入った。
    また、1884年に描かれたという、ダニの内部形態の絵は見事という一言に尽きる。
    余談ではあるが、読み終わった日の朝にみのもんたの番組でこれをネタ本に特集を組んでいたのにはびっくりした。

  •  「ダニ」というと、多くの人が「人間の血を吸う不潔・汚い生きもの」というイメージをもつだろう。しかし、実際には全体の1%のダニしか人間の血を吸わないし、チーズを作る上で欠かせないダニもいる。そんな不思議な生き物「ダニ」について書かれた1冊である。
    (匿名希望 教育学部 理科)

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著者プロフィール

法政大

「2023年 『原生生物学事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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