ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒント

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著者 : 和田一雄
  • 八坂書房 (2013年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896941562

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ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒントの感想・レビュー・書評

  • 「獣害」で普通に考えるシカ、イノシシの情報は、はじめの1/5程度。しかも、著者の専門ではなく「イノシシの生態はあまりわかっていいない」とサブキャプションにあるとおり。内容も薄い。対策はオオカミの導入を主張。「ジビエ」については情報がないに等しい。題目から期待される情報はほとんどなく、また偏った意見のみである。

    では、この本は何を書いているかというと、京大霊長類研究所や野生生物保護学会を経歴し、今は引退した研究者の先生が、自分の関わった「サル」「海獣」の研究に関する半生記。これらが野生動物問題を解くヒントになるかというと、読む人次第か。

  • 近年シカやサルが増えすぎて多大な農作物被害が出ている。駆除ではなかなか追いつかないという現状だ。本書にはジビエの実情が記述されているが、ジビエだけで害獣を減らそう!という趣旨の本ではない。ジビエによってなにがもたらされるのか、近年の野生動物の現状とは、自然と共存するとはなにかを考えさせられる。

  • イノシシ、シカ、ニホンザル、クマ、ヌートリア。
    各地で野生動物による「被害」が増えている。
    野生動物たちがそのような「害獣」となったのはなぜなのか。そしてどうすればその害を減らせるのか。一部で推奨されているように、「害獣」をジビエとして食べれば被害は減るのだろうか。
    一朝一夕には解決しない問題に対して、長年、野生動物の研究をしてきた著者が研究者目線で解決策への糸口を語る。

    著者は、ニホンザルやキンシコウなどの霊長類、またオットセイやゼニガタアザラシ、トドなどの鰭脚類など、野生動物の調査・研究に長年携わってきた人物である。
    主題は現在、増えすぎてしまった野生動物に関してなのだが、話の流れはあちらへ行きこちらへ行き、お行儀よくは進まない。
    探検家かと見紛うような、一昔前の肉体派の研究の実態がおもしろく、研究者や現地の人々との交流譚も楽しい。あるときはサルの調査をしながら農作業を手伝い、あるときは海獣と格闘しつつウォッカを飲んではサウナに入る。そんな研究風景も読ませどころだろう。
    荒削りでダイナミックなエネルギーがある語りである。そこには、フィールドに身を投じてきた研究者でなければ語れない現場感覚の持つ説得力がある。随所で校正がいささか甘いと思うのだが、その分、著者の語りの息遣いが残っているというところか。

    磊落に語っているようで、最終的には主題に戻る。
    ニホンザルはスキー場などの開発で山を追われ、また人工的な餌付けにより不自然に増えた。
    イノシシやシカは、オオカミが家畜を襲うとして駆除されたため、天敵をなくし激増した。
    多くは、人為的にバランスが崩されたことの結果である。そこに常に存在した(する)のは、人間中心、さらには、「市場」中心の論理である。
    問題解決をさらに困難にするのが縦割り行政である。
    本来ならば、気候を含めた自然環境の長期的変化、人為的介入の影響、食物連鎖の中でのその生物の役割等を総合的に見ていく必要があるのに、各役所が管轄する(あるいは出来る)のはある一部分でしかないのだ。

    著者から見たら、ジビエとして消費する解決策はどうなのだろうか。
    イノシシはボタン鍋等で関西を中心にある程度、根付いているが、シカはジビエとしての歴史が浅い。ハンターに労力に見合うほどの金を払うことも難しい。ニホンザルは古代には食されていたようだが、その伝統は絶えて久しく、また人間に近い存在として霊長類を厚く保護する流れには反するだろう。
    トドのように、ある限定された地域で食材として消費されてきたものであれば、一定の効果が見られた事例はある。が、食文化を一朝一夕で確立することは困難である。
    増えすぎてしまった野生動物をジビエとして場当たり的に消費しても、根本的な解決にはならない、というのが著者の主張だ。

    著者が示す解決策はなかなか大胆だ。
    シカやイノシシに関しては、駆除されてしまったオオカミを外国から導入してはどうかと提案している。食物連鎖のトップを配置することで、崩れてしまったバランスを戻そうというのだ。これはサルにも緊張感を生み、野放図な繁殖が抑えられると主張している。
    また、作物被害を各農家に負わせるのではなく、行政が介入することも必要だろうとしている。野生観察施設を整え、教育機関とも連携して、環境教育に役立て、収益が出ればそれを環境保護に役立てる。
    海洋に関しては、鰭脚類の餌を極端に減らしてしまうような乱獲を慎み、漁場を割り振った上で、被害の集中した漁場には、利益が出たところから応分の配分をしてもらう。そうした役割を漁協が担うようにしていく。

    素人が聞いてもいささか難しいのではないかと思うような策もあるが、副題にあるとおり、「野生動物問題を解くヒント」とすれば、十分に傾聴に値するように思う。... 続きを読む

  • 前半は山のジビエについて。
    シカの増殖については、ハンターの不足、シカ肉の流通し辛さ、、オオカミを導入すべきという意見。
    私はシカ刺しが大好きなのでなぜか流通に不適と言う事実に首を傾げたが、実際問題としてハンターが減り過ぎ、鹿を捕食する動物がいない現実はまずいと思うので、オオカミ導入論には賛成している。オオカミ導入に対しては、人間側の距離の取り方が一番問題となるだろう。距離を保つこと。餌付けなど決してしないこと。徹底した周知と教育を制度化し、いつかオオカミを放ってほしいと思う。
    あとハンター資格ももっと柔軟にしてくれたらな、私みたいに鹿を打ちたい女にも、とも思う。老齢化し引退し行くハンターにだけ増えていく動物を任せるのには無理があるよ。

    海のジビエについては、海は誰の持ち物でもなく、山は国有林だったり民有林だったりして生物はある程度畜産としてなりたっているのに対し、海産物は誰が育てているわけでもなく自然からただ獲ってきているものだ、というこの二つの誤差にまず目をつけているところがおもしろい。言われてみれば確かに。
    海産物の資源減少は、それが市場にのるルートがあるためだという。「市場」原理の恐ろしさ、その刹那性について考えさせられました。

    著者の動物観察の間の突発的な感想などもあり、文章は散漫な印象だが、現在の日本の山と海の野生動物への向き合い方がどうなっているのか、知れる一冊。

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ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒントの作品紹介

増えすぎた野生動物を食べて減らす?!全国的に増えすぎたシカやイノシシをどうするか。昔はジビエとして食べられていたサルもまたしかり…。野生動物をめぐる悩ましい問題の"肝"に迫る!動物研究50年の集大成。

ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒントはこんな本です

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