- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896944136
作品紹介・あらすじ
日本人の胃袋、恐るべし!ゴカイ、ウツボ、ウミヘビ、ヒトデ、イソギンチャク、アメフラシ…日本にはまだアッと驚く食習慣が残っている。うまいかまずいかは喰ってみなけりゃ分からない。北は北海道から南は沖縄まで、好奇心旺盛な水生動物のプロが体験した珍食・奇食・異色の食習慣の数々。
感想・レビュー・書評
-
副題が示すとおり、一般的には口にしない水生動物を味わうエッセイ風読み物。ただし、著者はれっきとした水族館職員で、優しい文章ながら生物学的知識に裏打ちされたもの。
44種類もの動物を味わった各話はおおむね、枕/生物の特徴や分布/実食と食味/古記録の紹介で構成。個人的には実食の話(時に凄く美味そう)も良いけど、やはり古記録(近世の本草書が主)を紐解くのがミソかな、と。
同じパターンの話の連続なので、中盤手前あたりで一回飽きがきたけど、後半は著者の(親父ギャク的な)筆が冴えを見せて面白く読めた。あと、仕事半分/興味半分で実食を重ねられる職場とその仲間の温かさも、ちょっと羨ましかったり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もみじまんじゅう(通称もみまん)で有名な宮島にある水族館の副館長が様々なゲテモノ珍味を食し、その感想を綴ったものだ。これだけでは、以前紹介した『外道楽』と同じじゃぁないかと思うだろう。
ところがどっこい、ノリの質がどこか違う。
両方とも文章が面白いのは確かだ。
どう表現したらよいのだろうか?
『外道楽』が集団でワイワイガヤガヤ賑やかに書いているのに対して、こちらは淡々と、でもツボは抑えて書いている。
あとは好みの問題だろうか。
食すターゲットがかぶっていない部分も多いので、両方読むといいかもしれない。
内容順は、元研究者らしく系統的に書いている。
ゴカイやユムシ、ドブガイのような『?』が付くような食材まで手を出していることからも著者の『本気度』がうかがえる。
各食材の副題に五・七・五の川柳を添えているのも洒落ている。
ただ惜しむらくは、著者が既にこの世を去ってしまったということ。
こんな面白いジャンルを知ってしまった我々は、後継者が誕生するのを受動的に待つことしかできない。
※<a href="http://osakanabanashi.seesaa.net/article/105301291.html" target="_blank">当方ブログの蔵書目録コーナー</a>には,ブクログに登録できない古書・洋書・珍書リンクなどもありますので,もし魚本倉庫に興味をお持ちの方は,<a href="http://osakanabanashi.seesaa.net/article/105301291.html" target="_blank">こちら</a>も併せて御覧ください.