グランヴィル花の幻想

  • 八坂書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896946314

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  • どうぞ、目を上等のリネンのハンカチーフで覆って
    閉じていてください。
    この秘密が誰にも知られることのないように。


    可憐な花達が自ら望んで人間となり、生きていく。
    彼女達は最初、誰もが上手くいくと信じて疑わない。
    人間は生きていく間に、誰にも困難が待ち受けているというのに。
    文字通り蝶よ花よと生きてきた花達に待ち受けるは試練や
    苦痛、また悲劇ばかり。
    なかには例外もいるけれど、無垢で純真な花達に人間の世界は
    汚れすぎている。
    愛でて育てられる薔薇さえも愛を与えることを出来ないのは、
    やはり愛される立場を享受していたせいなのだろうか。
    物語の間に挿入されている花達はどれも艶めかしく悩ましい。
    巻末に収録されている花達の話も読んでみたかった。


    永遠の愛のしるしである彼女はよく知っていたのです。
    人間の世界に、彼女のための居場所などないということを。

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