51歳からの読書術: ほんとうの読書は中年を過ぎてから

著者 :
  • 六耀社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784897378251

作品紹介・あらすじ

文学全集は意外といける。電子書籍は中高年の味方だ。年間テーマで本を読む。おじさんになると、なぜ時代小説が好きになるのか。プロの「本案内人」が語った痛快エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 永江朗さんの「51歳からの読書術 ほんとうの読書は中年を過ぎてから」をタイトルに惹かれて読んだ。

    人生も後半。これから先、何冊の本が読めるか?は、最近ふと考えたことと同じ。

    本書は何かに定期連載していた読書に関するエッセイをまとめたものなのかと思う。

    著者は元書店勤務とのことで、前半は書店、出版業界寄りと感じる所がおおかったが、後半はパーソナルな話題も入ってきて、この人自分に考え方や、趣味が近いかなと思った。

    これからも沢山読んで行きたい。

  • ぼくはすでに65歳を越えているのに、「51歳から」というタイトルに惹かれて買ってしまった。年を取って眼も悪くなってきているのに、読みたい本はいくらでもある。これまで買って積ん読になっている本を読めばいいものを、新刊が出るたびに面白そうだと思ったら買ってしまう。だから、このタイトルは身に迫るものがあった。読書術とか読書論と名のつくものを読むのも好きである。昔なら、紀田順一郎、谷澤永一、立花隆、近くは鹿島茂や斉藤孝などがぼくが好きな読書家である。永江さんの本を読むのは初めてだが、とても共感をもって読んだ。ぼくは歴史上の人物を見るときに、すぐいくつで死んだかを見る。70、80と長生きした人もいるが、概してみなさん若くして亡くなっている。作家もそうだ。永江さんの言うように漱石などは49で亡くなっている。ぼくは家に今は亡き父といっしょに読もうと共同購入した(ぼくがいくら出したかは忘れたが)漱石全集がある。50に満たない生涯で、よくあれだけのものが書けたものだ。畏るべきことである。本書で興味を引いた一つは、その年に読む本のテーマを決めるというエッセイだ。新刊で買っても、読まずにおいておくとやがて興味が薄れてしまうことが多い。斉藤孝さんが買った本はすぐ読めと言っているのは正解だ。この読み方は立花隆さんのように、一字一字読むのではなく、頁をなめるように読んでいくのである。そうでなければ、あれだけの本を読むことなどできない。だから、永江さんが一年間同じテーマで読書を続けるというのはたいしたものだと思う。永江さんの知り合いのだれかがいつもカバンに2冊本を入れておくというのもよくわかる。つまり、ひょっと時間ができたときに本がないと,禁断症状に陥るのである。そんなときこそ思索すべきだというかも知れない。中国古代の賢人も読むだけで考えないのは危ういと言っている。しかし、この禁断症状はよくわかる。ベストセラーは買わず、文庫が出てから待てというのもわかる。ただ、ぼくはあまり文学書を読まないから、これはあまり関係がない。文学館の効用というのは実感する。以前伊東に遊んだとき、木下杢太郎記念館を訪れ、そのあと木下杢太郎の評伝を読んだりしたが、この春(2016年)も萩の隣の仙崎の金子みすず記念館を訪れ、金子みすずにはまってしまった。などなど、共感するエッセイがいっぱいだ。51からだと、おそらくまだまだ読書はできる。しかし、65を越えると、このあとどれだけ読書ができるのか、いろんな制約が出てきたとき、なにを優先して読むべきかなども考えざるを得なくなる。

  • 《図書館本》51歳になったら読むと良い本の紹介かと思ってたら、ちょっと違ってました。
    それでも、新書の選び方や文学全集の話は参考になったし、外出する時は本を持っていないと落ち着かないというところは共感しました。
    でも携帯しやすい様に本をカッターで切ってしまうのは、なんだか心が痛くてできません(泣)

  • <目次>
    序 読書は51から
    一 漱石を超えた日
    二 時間というフィルター
    三 51歳からの読書術
    あとがき

    2020.08.30 借りる
    2020.09.21 読了
    2020.09.26 ブログ
    http://naokis.doorblog.jp/archives/reading_books_51year-old.html

  • 客観的にはもはや若いとは言えない50代を迎えて,大人なりの本の読み方を模索する。
    若いときにはわからなかった読書の楽しみもある。和歌や漢詩,時代小説をしみじみと読めるようになったり,金銭的には昔より余裕が(多分)あるので漫画の大人買いも可能。1年間のテーマを決めてそれを追求するとか。読まねばならない本(ベストセラーとか)よりも自分が読みたい本を読む。悲しい本は読まなくてよい(歳をとると鈍感になるどころか,かえって感じやすくなる)。読書を楽しもう。読書時間の確保,読書環境の保守,本を収納する空間の確保(必然的に本を手放すことになる)も念頭に置きながら。

  • 「一年間テーマを決める」これは早速真似したい。「文学賞は野間文芸賞、谷崎潤一郎賞、泉鏡花文学賞、大仏次賞がオススメ」「新書は重版されているもの」「文学全集」「若い頃読んだが、忘れた本を読み返す」「歯磨き読書のススメ」は面白かった!ながら好きの私には考えつかなかったので取り入れたい。

  • 永江朗の本は何冊か読んでいるけれど、この本に関して言えば作者買いではなくタイトル買い。
    読書術といったって、読書っていうのは文字を目で追って、内容を脳に送るというだけのことなので、要は人生の残り時間から逆算して、どのような本を読めばいいのかということなのだと思う。

    まず、ベストセラーは読む価値なし。

    少し前まではベスト30の11位以降には、たまに面白い本もあったらしいけれど、今は30位まで見渡してもほとんど読む価値のある本はないそうだ。
    「1Q84」と「火花」は褒めてたけど。

    権威ある賞を受賞した作品も、新人賞は読まなくていい、芥川賞・直木賞も功労賞的な感じになってきたからわざわざ読まなくていい。
    「野間文芸賞」「谷崎潤一郎賞」「泉鏡花賞」「大佛次郎賞」辺りが良いらしい。
    私はあまり作品にくっついている冠は気にしないけど、いよいよ寿命が近くなったら効率優先で読む本を選ぶのだろうか。

    文学全集は意外といける。
    これは私も実家から文学全集を引き取った時に感じたことだ。
    文学全集とは違うが、ちくまの選書もなかなか面白い。
    ただ問題なのは、歳をとると文学全集の文字が小さくて読みにくくなることと(札幌の図書館で借りた芥川龍之介全集は5弾組だった!)、装丁が同じ本を続けて読むと、どこまで読んだのか何を読んだのか覚えきれない、またはすぐに忘れること。
    歳をとればそれなりに装丁や文字の大きさが大事だと痛感。

    山川の教科書は日本史・世界史ともに私も買った。
    ブックガイドは昔から大好き。
    少年文庫、絵本は今でも時々読む。良書多し。
    地図の面白さは最近はまり中。時代小説のおともにぜひ。
    旅先での図書館、時間がある時立ち寄ることままあり。

    歳をとってからの読書がなぜ面白いかというと、知識が点にしかならなかった若い時と違って、その後の読書や自分の経験によって、点と点が繋がって線になり、さらには面になっていくことを実感できることがあるからだと思う。
    「あ、そういうことだったのか」とひざを打つのは結構快感。
    だから読書はやめられないんだなあと思う。
    いや、単純に面白いから本を読むのだけど。

  • 『「本が売れない」というけれど』の内容が非常によかったので、この永江さんの本を手に取った。しかし、私にとっては残念な内容。

  •  ピンポイントで私に向けて書かれたような本である。
     小林信彦に『人生は五十一から』というエッセイ集シリーズがあるそうで、タイトルはそこからとったもの。中高年に達したからこそわかる読書の愉しみについて、さまざまな角度から綴ったエッセイ集だ。

     「読書術」というタイトルから、知的生産術の実用書を思い浮かべる人が多いだろうが、そういう側面はほとんどない。ブックガイドとして読むこともできなくはないが、そういう面もあまり強くはない。むしろ、読書好きなら随所でニヤリとしながらうなずくような、非実用的で軽快な読書エッセイである。

     永江朗は「100点満点の本は書かないが、つねに65点はクリアするプロのライター」だから、安心して読める(ホメているようには聞こえないだろうが、ホメている。100点満点を狙わず、コンスタントに65点取れる仕事をするのがプロのライターというものだ)。

     50歳を超えると、若いころの自意識過剰から解放されて、人目を気にせず好きな本が読めるようになる……という主旨のことを永江は書いているのだが、これには深く同意。
     若いころはとかく、「こんな本を読んでる俺カッコイイ」的な見栄で読書する面が多分にある。逆に、「ベストセラーなんか読んでいたらみっともない」と思ったりもする。しかし、五十路ともなると、人目などまったく気にならなくなるのである。

  • こんな感じで本に接する人もいるのだな、と。
    読書を気負わずに楽しめるようになれると良い。自分なりのルールを作ってみたり自分を縛っていたルールから外れてみたり。

  • 共感できるところがたくさんありました。
    まだ、タイトルの年にはなっておりませんが、アラフィフとして私もこんな51歳として本と向き合っていきたいです。

    今度、湘南の茅ヶ崎まで出かけようと思いました。

  • 図書館がやたら本を寄付されても迷惑というのを書いてくれてよかった。
    特に51歳からという意味は感じられない。
    あと、中年はともかく、50歳を過ぎて初老と言ってはダメだ。言葉を扱う人間なら、もうちょっと調べて。

  • 読書術という題名だが、本に関するエッセイ集のようなもので、殆ど役に立たないし、内容的にも面白くない。当たり前の事しか書いてなくて、人生経験も感じられない。ここまで凡庸な読書本もある意味珍しい。

  • 著者の永江朗は、法政大文学部哲学科卒業後、洋書店勤務、雑誌『宝島』などの編集・ライターを経て、1990代からフリーのライターとなり、現在は「週刊朝日」等の雑誌で書評やコラムも連載している。
    本書は、1958年生まれの著者が、幸若舞の「敦盛」で歌われる「人間五十年」を超えて(夜の京浜東北線で20台の女性に席を譲られて、とまどった話は笑える)、「そうか、こういうことだったのか」と思った、若者にはまねできない読書について、徒然に語ったものである。
    私も言うまでもなく50歳を越えた本好きのひとりであるが、物書きたる著者の本・読書に対する視野はさすがに広く、「確かにそうだよな」と実感できることに加えて、新たな発見もとても多かった。
    50を過ぎて和歌や漢詩が面白いと感じるようになった/歳をとって時代小説や歴史小説の楽しさに気付いた/何を読むか迷ったときは、ベストセラーよりも文学賞受賞作(それも、芥川賞や直木賞より、野間文芸賞、谷崎潤一郎賞など)/1年間のテーマを決めて読むのも面白い/日本の近代出版史上最高の発明品とも言える「新書」の中でも最大のお勧めは岩波ジュニア新書/今の自分の年齢で死んだ作家の本を読むのも面白い(山田風太郎の『人間臨終図絵』は、歴史上の著名な人々の最期が死んだ年齢別に紹介されており、便利)/ブックガイドは、著者の特色が出ているものなどは面白い(人文書院の『ブックガイドシリーズ 基本の30冊』など)/哲学書は、20台に読んでピンとこなかった文章が、50台でスラスラ読めてしまうこともある/文学全集は、選者の特色が出ているものなどは面白い(池澤夏樹個人編集の「世界文学全集」、「日本文学全集」など)/岩波少年文庫は大人が読んでも楽しめるものが少なくない/絵本にも大人に勧めたいものも少なくない(子供の頃に読んだものを再読するのもいい)/あのとき(お金がなかった若い頃)買っておけばよかったと思う写真集がたくさんあるが、今では入手できないものも多い/漫画を大人買いするのもいい/山川出版社の『詳説世界史』、『詳説日本史』、筑摩書房の『ちくま評論選~高校生のための現代思想エッセンス』、『ちくま評論入門~高校生のための現代思想ベーシック』など、高校生向けの教科書・参考書には安価で非常に充実した本がある/そのほか、電子書籍、古本屋、地図、文学館、図書館の利用法など。。。
    私は、本書を読了した後、早速神保町で『ちくま評論選』と『ちくま評論入門』を購入してしまったくらいである。
    おじさんに限らず、若い本好きにとっても、肩肘張らずに読める、楽しい読書術である。
    (2017年6月了)

  • 人生経験を積んだ時期しか理解できない本があるという。15歳が読む青春小説と51歳が読む青春小説は違う。お気に入りの小説を毎年繰り返して読み返してみたら、自分の捉え方に変化が感じられて面白いかもしれない。

  • 15歳が読む青春小説と、51歳が読む青春小説は同じだろうか。違うだろう。51歳の読書には51年の人生がフィルターの役割を果たす。51年の人生経験を通じて本を読むことになるのだ。人生は51歳からと小林信彦は言った。ある程度経験を積んでからこそ人生は楽しいのだと。若いときは分からなかったことが中年になると分かる。「そうか、こういうことだったのか」と思うことも多い。

  • つまらない本に奪われる時間の方がもったいない

    一年間のテーマを決めて読む 安岡章太郎 講談社学術文庫の日本の歴史、世界の歴史

    日本の歴史、人類の歴史は愚行の繰り返し

    岩波ジュニア新書 岩田靖夫 ヨーロッパ思想入門

    テレビを捨てよう

    図書館にとって本の寄付はありがたくないようだ。

  • 永江さん、なんか波長が合うわあ。読んでいて、自分が興味がある、あったことばかりで、うんうん唸りながら読んでしまった。中高年読書、万歳。

  • 「死ぬまでにあと何冊読めるんじゃ、わしは!」と焦っていた事に恥じらいを感じていたのだけれど、素晴らしい同志が!。

    BBAになってよかったと思えるこの頃なので、
    「あ〜、この感覚わかるよー。」
    となる事多数。

    楽しく読めたなー。

    お友達になりたい。

  • 2016/4/27

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著者プロフィール

1958年生まれ。ライター。書籍輸入販売会社のニューアート西武(アールヴィヴァン)を経て、フリーの編集者兼ライターに。90~93年、「宝島」「別冊宝島」編集部に在籍。その後はライター専業。「アサヒ芸能」「週刊朝日」「週刊エコノミスト」などで連載をもつ。ラジオ「ナルミッツ!!! 永江朗ニューブックワールド」(HBC)、「ラジオ深夜便 やっぱり本が好き」(NHK第一)に出演。
おもな著書に『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『本を読むということ』(河出文庫)、『筑摩書房 それからの40年』(筑摩選書)、『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書)、『小さな出版社のつくり方』(猿江商会)など。

「2019年 『私は本屋が好きでした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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