- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898150382
作品紹介・あらすじ
アーティスト集団、ダムタイプのリーダー的存在だった古橋悌二の遺稿、書簡、発言集。HIV/エイズと共に生き、35歳の若さで亡くなった最晩年までの記録-メモランダム-。
感想・レビュー・書評
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「自分はVIRUSを持っているという設定で最大の注意を払ってパートナーと接してきました」「AIDSは一時的にコミュニケーションの崩壊をまねきましたが、心ある、生きること、愛することにより敏感な人々の手によって人間の意識のさらに進化したコミュニケーションを探るための世紀の文化的エポックに至りました。AIDSに対する人々の反応は最終的に二種類に分かれるような気がします。やはり旧態のコミュニケーションの図式にあくまで留まって、あたかもこれが深刻な問題のように振る舞うか、もしくはこの進化した、ある程度の危険を伴う、未知の人間関係の実験室に、生まれてこのかたこれが自己を規定する枠組みだと思っていたものをかなぐり捨てて飛び込んでいくかです。(中略)われわれの意志を超越して時代は人間の進化を要請しています。そして今まで想像もしなかったような、新しい、よどみない快楽をわれわれ自身が発明していくことに繋がって行くのだと思います。」などといったまるで今年に入って書かれたかのような言葉を読むにつけ、未曽有の事態と言われる現在のこの状況も、実はかつて経験したことのあるもので、人々はそれに向き合うことをなおざりにしたままここまで来てしまったのかもしれないと思うなどした。
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S/Nを中心とした古橋悌二の関連情報の集成。S/NとLoversが激しく観たくなる。
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2019年11月から2020年2月にかけて、東京都現代美術館において、Dumb Typeの個展「ACTIONS+REFLECTIONS」が開催されている。
本展ではDumb Typeの1980年代の作品のリモデルした《Playback》や、過去3作品の映像マテリアルを元に再構築した《MEMORANDUM OR VOYAGE》などと合わせて、Dumb Type創設時の中心メンバーであり、1995年に35歳の若さでHIVに伴う感染症で亡くなった古橋悌二のソロ遺作である《LOVERS》などが一同に会すという点で、極めて貴重な展示会である。
さて、本書『memorandum』は、古橋悌二が生前に残した文章やインタビューをまとめた記録である。メンバーを入れ替えながら存続し続けるDumb Typeのリーダーとして、そして同性愛者として最終的にはHIVの感染が原因となって命を落とす彼が、何を考えていたのかが、余すことなく記されている。
書籍のタイトルが示すように、もとより出版を企図されたマテリアルではないだけに、書籍としての一貫性があるわけではない。しかし、彼が忍び寄る死の恐怖と戦いながら、どれだけ強靭な精神で作品を作り続けようとしたか、という姿勢は一貫している。 -
張さんに借りた本。
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HIVポジティブで、「S/N」ワールドツアー中に病に短い人生を閉じた古橋悌二の、対談とか、書簡とか。
浅田彰の弔文、読む度じわっと泣いてしまう。 -
ハイファ、イスラエルなどを舞台とした作品です。
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何年経っても新鮮
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ただただ感動。
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「芸術家と呼ばれなくてもいい」が白眉である。
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2010.1
繰り返し、よむことになりそう。
初めて見たダムタイプ、S/Nが思い起こされる。