- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898150535
感想・レビュー・書評
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2001年発表。
大阪、千葉、群馬、神奈川、東京、競馬場、温泉街、川べりなど 花火が打ち上げられるところなら、どこでも駆け巡った。
夏の夜風、土手を走る子供の足音、露店から漂う林檎飴の甘酸っぱい匂いと、美しくそこはかとない悲しみ。
花火の向こうに写真家は何を見たのだろうか。
淡い色調で撮られた日本各地の花火をモチーフにした美しく儚い写真集。
第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。
今や押しも押されぬ人気写真家となった川内倫子(かわうち・りんこ)さん。
これがデビュー作とは思えないほど
唯一無二な感性がどの写真からも窺えます。
鮮明に写された綺麗な写真ではなく、露出が合ってないものやブレてるもの、意図的に邪魔な電柱が真ん中に入っていたり、
クレジットなんてなくても川内さんの写真だとすぐに分かる
その夢見るような幻想的な世界観。
高速を走る車の中からやホテルの窓から、住宅街の隙間からなど
日常のささやかな景色と共に 様々な視点からの写真が収められているので、
実際にたまたま花火を目撃したかのような感じで
切なさと甘酸っぱい感覚が蘇ってきます。
濃い藍色に沈む夜空。
アーケードに連なるちょうちんの灯り。
少しずつ遅れて響く花火の音。
浴衣を着て着飾った人。
子供に肩車をする人。
笑いさざめきながら幾度も空を見上げる人。
見上げる空にいつ花火が開くかという期待感に満ちた人々の明るい顔。
高揚感で繋がった大勢の人々。
花火ってもちろん綺麗だけど、
僕はそれを見にくる人たちにも
注目してしまいます。
美しいものを見ようとしている人たちの表情って
すごく心を打つんですよね。
光輝いてはパッと散っていく花火だけど、
まばたきをした瞬間、官能的とも言える宴は終わりを告げる。
でも祭りのあとの寂しさって、
なんか切なくていろんなものが凝縮されていて心惹かれます。
自分の好きなROLLING STONESの歌詞でもあるけど、
人生は路上のカクテルパーティーのようなもので、その喧騒の中で 人はずっと生きていくことはできない、いつか宴は終わるってやつです。
そんな刹那な輝きや儚さを味わえることも人生そのものだなぁ~って思うし、
僕が花火や祭りが好きな理由のひとつです。
あと花火を見ると切なくて形にできないものが映像として浮かび上がってきます。
特に思春期の…(笑)
いつもは見慣れてるハズのクラスの女子が急に綺麗に見えて妙にドキドキしたり。
夜のプールの思い出とか、
そのプールに浮かんだ歪んだ月とか、
花火の匂いとか、綿菓子の甘い香り、
ドキドキしてなんとも言えないあの高揚感。
花火のある景色は
心の深いところで自分の中の 『核』となって
僕を支えてくれています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
関東地方の方で行われた花火大会を見に沢山の人が 川辺に集まってきている写真や、川から花火が打ち上 げられる様子の写真がありました。
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いろんなところから花火
花火と人
土手を走る子供との間の花火がすき -
5/28は花火の日
花火が打ち上げられるところならどこでも駆け巡った……
花火の「瞬間」を示す一冊。 -
花火はバイプレイヤー。
花火が打たれた街並みと空気、愛でる人々が主役です。
どの写真も、即座に過去になる、刹那な夏を現しています。 -
懐かしい夏の空気を吸うような・・・。いわゆるカレンダーの花火写真とは違います。
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フジファブリックの「若者のすべて」がよく似合う。
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うん、花火。そのまま、花火を題材にして。ボケブレな感じを、僕はこの人にあまり持っていなかったので、ちょっと意外性もあった。(11/8/2)
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花火の写真はもともと一瞬を切り取るものですが、この本の写真は特に、「一瞬」という印象を強く受けました。綺麗だというよりは、爆発しているような、でも美しい、そんな印象です。