- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898152447
感想・レビュー・書評
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こういうの大好き‼︎
自分の知らない世界を語ってくれるものを読むのは快感に近い。
子どもの頃のように、好奇心のみで読書できるなんて本当に幸せだから。
作者は幼い頃から動物が好きで、いろんな種類の動物や昆虫を飼ってもきた。
だから、獣医になろうと思う。ここまでは自然な流れだ。
なのに、それが、どうして猟師なのか??
猟の仕方についての記述はもちろん語ってくれている。
(この人のやり方は銃でなく、ワナ猟)
そして猟師になっても、命を頂くわけだから「おいしい‼︎」と感謝して食べたい。
そのためには猟の仕方や捌き方だけでなく、料理方法も試行錯誤をする。
そういう作者のモラルがステキだと思う。
いろんなことを教えてくれた一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鉄砲ではなくワナ猟の話。ワナもいいかな。猟の話だけじゃなくて、筆者の物の感じ方や考え方もなかなかいいね。鉄砲使わないのは、道具を自作できないから、そしてなんとなくフェアじゃないから、みたいなね。
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同世代の生き方として共感が持てる。誇張がなく淡々と書かれた文章がわかりやすい。身近な生き物を捕らえて糧とする狩猟採集は生き物として当たり前の衝動だと改めて感じた。また食品偽装がにわかに騒がれている今日、自分の口に入れるものを他人に委ねるという事についても考えさせられた
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昨晩著者がテレビに出ていて(NHKのクローズアップ現代「ハンターが絶滅する?」)、そうそうあれは面白かったと思いだし再読。
飄々とした語り口がいいいなあ。京都市内で何と猟師(銃ではなくワナ猟)をしながら暮らす、その生活とそこに至るまでのこと、また、実践的な狩猟ガイドや獲物の解体法、調理法などなど、まあ他にないユニークな内容の本だ。
本書が出たときはちょっと話題になった。新聞書評や本の雑誌にも取り上げられていた。エコとかスローライフ系?と思って読んだら、全然違ってた。何と言うか、すごく自然で、理屈が先に立つところが全くなく、このご時世にこんなに軽やかに生きている若い人がいるんだと思って、本当に嬉しくなった。久しぶりに読んでもその思いは変わらない。狩猟などまったく興味がない人でも楽しく読める一冊だと思う。
この人は私と同じ大学の出身で、しかも学部も専攻も同じ「大後輩」になる。私にとって本書のハイライトは、著者がまだ学生の時初めて仕留めた鹿をバイクの後ろに積んで京都市内を走り(!)住んでいた大学構内の学生寮に戻って、寮生とともに鹿を解体し大宴会をする場面だ。この寮は当時で築八十年(何と築百年近い現在もそのままある。一目見て魅せられる人と絶対ムリ!と思う人がいるだろう木造二階建て)、著者が全寮放送をかけるとワラワラと寮生が集まってくる。包丁を持ってくる奴、酒を集めてくる奴、みんなでわいわいと鹿を解体し、鹿肉を堪能する宴会になだれ込んでいったそうだ。ああ、なんて懐かしい雰囲気だろう!私は寮には住まなかったが、友人に寮生がいてよく出入りしたので、この空気はすごくよくわかる。時を飛び越えてその場にいたような気持ちになった。 -
純粋に猟師がどうやって獲物を獲って肉にしているかが分かる本。
作者が新米猟師から慣れてくるまでを普段の生活を交えて描かれているので、全く別の世界の話という感じはなく、むしろ身近にこんな生活している人が居るのかと驚かされる。
獲った獲物は美味しく戴くという純粋な心が嬉しい。また、猪や鹿の肉の裁き方が写真で解説され、雀や鴨の罠のかけ方が絵で詳しく解説されている。 -
猟師さんになるには「免許」が必要だとか始めて知ったことがたくさん
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運送会社で働く傍ら、山と町の境目に住み猟を始めた男の記録。どのようにして自然や獲物と向き合っているのか、獲得した山の恵みをいかに無駄なくいただくのか。猟を始める際のヒントになる。
初めて獲物がとれた時の京都大学時代の寮の様子がとても楽しい学生時代を過ごしていそうでよかったです。 -
なかなかよかった。読みやすい。
10年以上前に京都に住んでいたころの地域紙などの記事で、この人のことを見た覚えがある。
猟のプロセスと、どういう経緯で猟師になったかもわかる。
自分の子供にも、こういう世界もあるよ、と伝えるのにいい本だと思った。
私は鳥を採る猟しか出来そうにない。いつか機会があればやってみたい。 -
野山の生き物への関心が高じて、“趣味で”狩猟を始めてしまった著者のモノローグ。
ワナ猟をする同僚との出合いから始まって、狩猟免許の取得、ワナの構造や仕掛け方、取れたシカやイノシシの処理や料理(シカのフィレーの刺身とかボタン鍋の旨そうなこと!)、保存の仕方に至るまで、ひととおりのマニュアルのような構成になっている…これを読んで真似できるようなものではないけど。
ワナにかかったシカやイノシシを鉄パイプで“どつく”(とどめを刺して絶命させる)ようなシーンにはどうしても違和感を抱かざるを得ないが、それも「狩猟は残酷だという人がいるが、スーパーで売っている肉の来し方に思いも馳せずお金だけ払って得ることの方が残酷だ」とか「自分が暮らす土地で動物を取り、その肉を食べて自分が生きていくプロセスすべてに自分の責任がある」という主張に触れると、ナルホドと思う。
“趣味”とはいえ、自然と向き合うことで得られる絶妙なバランス感覚がそこにはある。
猟期は冬場の三カ月間ほどで終わるが、話は尽きない。
自宅裏山の倒木を使った薪ストーブのある生活。獲った肉をじっくり燻製にする。山菜や川魚をとる。潮干狩りでマテ貝と駆け引きする。これでもかと自然と遊ぶうちにまた秋になり、猟期がやって来る。
著者の「どう?いいでしょ」とほくそ笑む顔がなんとなく浮かんできて、たいそう羨ましい気持ちにさせてくれる本である。