- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898153376
作品紹介・あらすじ
「迷っていたら、山が、教えてくれた。」
山に登り、滝に打たれ、ホラ貝を吹く ―― 自然の美しさにウットリする日本人の心を、平安時代の昔から、ずっと大切にしてきた山伏。
山伏=自然の人の世界へ、30歳のとき偶然にも足を踏み入れ、山から多くの生きるヒントを得てきた、著者 坂本大三が山伏の姿から、現代人の「生き方」を模索する一冊。
感想・レビュー・書評
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山伏って大峰山系にいったときに
みかけたことがあります。
みんな 独特の衣装で お酒ものんで
どういうものなのか不思議におもっていました。
アニミズムと精神修養が一体となった
ものなのですね。 自然を場とする古くからの修行を
受け継ぐものなんだということがわかりました。
ちょっと山伏にもなってみたい気がしました。
若いころは気が向くと山を歩いていたものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山伏に興味を持っていたので、手に取りました。
実体験からくるとても読みやすく、楽しく読めました。
その後、高尾山の修験道体験に参加してみました。
やはり自分の身をもって体験するのが一番だということをこの本から教わりました。 -
イラストレーターの著者が山伏の世界へ足を踏み入れる。
「岩が生きている。人間の身体のようでもありました。僕はその感触に心当たりがありました。それは女性器に触れた感触と同じだったのです。湧き出る温泉があたたかい愛液のようにヌルヌルと僕の指の間を通り抜けていきました。岩は人間と同じだ。人間は岩と同じだ。そう思うと僕は自然の中に吸い込まれていくように感じました」
「ありのままの世界と向かい合い生と死の混在する領域に分け入る事で自らのうちに(豊かさ)を取りこみ人間の本性を躍動させること。それが信仰であり、芸術であり、芸能なのではないでしょうか。そして、それを実践したのが原初の山伏なのでしょう…」
挿絵の版画は、山伏の世界観が溢れていてステキだ。
法螺の作り方も載っているのでぜひ作ってみては。 -
ふんわりとしたエッセイでさらっと読めるように書いてある。ゴリゴリの葛藤や理論が読みたかった。
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まさに未知の世界。かなり主観的な表現満載なので、多少読んでて迷子にはなるが、だからこその奥深さ「こら体感しないとわかんねんだな」という逆説の説得力があり、山伏という世界の奥深さに心惹かれた。多少、難解な部分が多いが、興味のある方にはぜひオススメ。
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法螺をいつか吹いてみたい。
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面白い。行きたくなる。
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俗世を離れたい。と常々思っているあたしが見つけた本。
山伏。
狂言では滑稽な存在である山伏。
でも、山伏って俗世を捨てることとは違うんだなってわかりました。
装丁もかわいらしいし、作者がイラストレーターさんってこともあり、中身もかわいらしく読みやすい。
素敵な一冊 -
読了
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ある日思い立って山伏になることにした著者の山伏修行体験記です。
白装束を纏って山中を歩き、ホラ貝の合図で支度をして、瀧打ちや般若心経の唱えすぎでナチュラルハイになったりします。
ところどころにある自然をあらわすのに、抽象的な、主観に凝った描写も見受けられますが、そもそも自然を書き記すための的確な言葉などないのかも知れません。
羽黒の深い森のなかを分け入るシーンが印象的で、そのほか、著者の実体験による心の動きが、飾らない文章で書かれています。
ハウツー本ではありませんので、山伏になりたい人は直接お山へどうぞ。 -
山伏の修行の体験ルポ。
出羽三山の山伏の修行にはもっとも原始的な自然信仰の姿が残っているとのこと。
現代の社会では見えずらくなっている自然な人間の生き方。
もっと本能に沿った生き方。そういったものに触れる旅だったようです。
修行の描写のなまなましさは読んでいて息苦しくなるくらいライブ感があります。苦行の先に見えてくる恍惚の世界も追体験できます。
本を読んでるだけなのに、「あ~苦しかったけど良い体験ができた」と思えます。
一連の修行体験の通じて現れてくるのは原始日本で自然と共に躍動していた山伏の姿。
コミュニティから離れて山に入り、山の知識と体験をコミュニティに還元しながら列島を旅する人たちの姿です。
ある時は医者で、ある時は芸術家で、ある時は天文学者に。
歌や舞踊は山伏の呪術から変化したそうです。
山伏の姿を通して人間も自然の一部なんだなあということがじわじわと思いだされます。
自分は無宗教だと思っていたけど、そうじゃなかった。
日本には原始時代から自然信仰があって、それが染みついているんだなあ。
そういえばヨーロッパにもキリスト教が広まる前にはケルト文化があって、日本と同じような自然信仰がありました。
より洗練された宗教や考え方と融合することで人間が進歩してきたのかもしれないけど、自然と密着した原始人の心を忘れちゃいけないよなあとしみじみ思える良本でした。 -
いまどきの若者が入門した山伏の世界。謙虚に、素朴にその感動が綴られていて好感がもてる。最後の方は話がマニアックでついていけなくなっちやったけど、いつか自分も羽黒山を歩いてみたい。その時にまた読み返してみたい。
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この本を知ったのはどこだったろうか。ビジネス雑誌の書評だったか。なんとなく頭の中で気になっていて、amazonで購入した。
内容は自分が山伏という世界に、どういう風に入っていったかという体験談。そもそも、「山伏って何?」と思ってしまうが、なるほど、こういう体験談で語られるのはわかりやすい。山伏の世界を身近に感じさせてくれる意味で、不思議な体験談の本だ。
著者の坂本さんが山伏体験をしたのは出羽三山。言わずと知れた東北の霊山。古来、東北には信仰があった。これらが神道や仏教と出会い、独特の世界を生み出していった。巻末の参考図書をみると、坂本さんがずいぶんと民俗学の本を読み込んでいることがわかる。折口信夫、中沢新一、などなど。ボクも間違いなく、東北で脈々と引き継がれている太古のイメージと結びついていると思う。
そういえば、梅原猛が『日本の深層』でこう書いている。
「私はかつて仏教を研究していたが、この修験道というものに大きな抵抗感を感じた。その教義もはっきりせず、その概念的な哲学もない、この修験道を一体、どう考えたらよいのか。私はいささか困惑した。しかし、私が仏教を超えて日本の原始宗教を研究するようになってから修験道ほど面白い宗教はないと思うようになった。(中略) 修験道ほどはっきり土着の宗教の現れたものはない。そして、まさに羽黒山こそ数ある修験道の中でも最も東北土着の宗教の匂いの強い修験道の根拠地なのである」。
日本を語るとき、大和朝廷の視線とは異なる視線で語ることができるはずだ。ボクたちは、その日本に生まれ、そしている。その多様性こそが日本が育んできたものであり、文化のはずだと思う。 -
羽黒三山の山伏になった青年のお話。かなり、かなりだよ。
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山伏に興味を持ったイラストレーターの修行の体験記。
考え方や感じ方が素直に文章になっていて好感がもてた。
昔から日本に根付いていた山伏の考え方は今、薄まっていってるんだろうな~ -
途中までは、内容は興味深いがなんだか子供の作文みたいだな、と思って読んでた。けど途中から著者本人の内面的記載が増えたところで、自分と考え方が近いことに気づき、ちょっといいかもに変わった。
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山伏修行をしている筆者のエッセイ。山伏、言葉は聞いたことあれど、その実態を知る機会はなかなかない。
自然と向き合うということがどういうことなのか、その片鱗に少しだけ触れられた気がした。
読ませる文章で、面白い。 -
山伏の世界を、あくまでも一般人に近い目線で体験記風に書いている。
修行中の自然描写・体感描写が細かく、しかも嫌味なく綴られていて、こちらまで追体験している気になる。こういう部分を詳しく書いている本は少ないので、とても参考になった。感覚が鋭敏になって超常的なことを経験しても、淡々としているところもいい。
素朴で味わいのあるイラストや版画も、メッセージ性があって好きだ。 -
普通の生活から山伏修業に身を投じる様を語りは、粛々としているが決してクールではない。「無」を体感した著者ならではのものであろうか。
縄文からの自然信仰を追求する視線もとても穏やかであり、なんというか好感をもって読み進めてしまう一冊。 -
僕もやってみよう!とまでは思わないけど。山で出会って怖いのはクマやハチよりもきっと人間なんだろうな。
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本書を買った理由として、まずこの本の表紙が良いことだ。自主出版なんだとは思うのだが、この表紙のイラストは最低限の色と線だけで「山伏」らしさが出ているのでつい手に取ってしまった。
山伏と言えば、天狗と並び山を聖なるものとして崇め、険しい山岳地帯で厳しい修行を行う一種の原始宗教的な存在と理解しているのだが、果たして現在の世の中でもそうした山伏が存在するのだろうか?そして山伏として活動するというのはどういう事なんだろうか?という興味から表紙の良さに加えて本書を購入したのだ。
残念ながら本書は「職業」山伏ではなく、山伏に興味を持ち出羽三山にて短期間の修行に参加した経験を語ったもので、本職はイラストレーター。(道理で表紙が魅力的だ)他の山伏達もサラリーマン・会社経営者等などのれっきとした職業を持つらしい。
だが、かつては罪を犯して贖罪のために山伏修行をする人も居たので、どうして山伏になったのかを聞くのはタブーだったそうだ。山は権力の及ばない他界で、山伏は自分の葬式をあげ自分を死者と考えて山に入るので俗世間の行いは問題にされないというのだ。なるほど、そこに近世山伏の原型があるようだ。
とは言えそうした短期間の修行も其れなりに厳しいもののようでは有るが、決して24時間365日、山伏として生活する姿ではないのでちょっとばかり肩すかしだ。
敢えて言えば、短期修行の主催者であり山伏宿を経営する山伏こそが現在の山伏なのだろうから、出来ればその方を追ったルポが読みたいものだ。 -
何故だかわからないけど、昔から山の人に憧れる。山って独特の怖さがあると思う。昔の人はそのことをよく知ってたんだろうな。山伏はその怖さと向き合う知恵を受け継いでいるのかな。本を読んでたら修行を体験してみたくなってきた。そうそう、版画の挿絵も雰囲気が出てて素敵です。