- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898153451
感想・レビュー・書評
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映画の原作小説というものではなく、映画を作る取材の部分から、福島等での取材とそこで感じたこと、実際の映画のシナリオ、その映画の主人公の一家の側にいる園子温さんの視点が傍らにある、それらが混ざり合う半ドキュメンタリーな小説。
十月末に公開される映画とこの小説は相互補完されフィクションとノンフィクションを出入りする、圏内と圏外の間にあるものを行動を伴う意識の中で軽々と行き来する。園子温監督の想像力と身体性を伴って。
そして、最後の詩が園さんが詩人であることを再認識させる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画は観ていないけれど、その雰囲気は十分伝わってきました。撮り溜めしている中の彼のNHKのドキュメンタリーも観なければ。
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メイキングオブ『希望の国』と言ったところでしょうか
ひょんなことから映画を知り、
図書館でこの本が目に付きました
映画を見る前に、これはみておかなくちゃ!と。
映画の内容は、まだわかりませんが。。。
見る前に読んでよかった。
監督のこの作品への想いを すこしでも感じることが出来る気がするから。
涙が流れる、というよりは 胸が締め付けられて息切れがします。それでも、なんだか晴れやかなのは、同調を感じるからかもしれません。 -
冷たい熱帯魚や、ヒミズの園子温監督の最新作の手記というのか、脚本というのか、そんな感じ。
園子温の本だったら、めちゃめちゃエログロバイオレンスなのじゃないかと、まったく前評判を知らずに本を手にとってしまったのだが、
福島の原爆についての話でした。
原爆後の変わってしまった部分と変わったことに慣れてしまう日本人
その怖さ 気づいてますか?というのが、何度も現地へ足を運んだ監督の総論なのでは?
同名の映画が放映されるようですが、最近の原発やっぱ大事なんちゃう?て流れになっている日本で拡大上映厳しいんじゃないのかと心配になる内容。
ただ、本を読んでいると監督の考えはしごく健全に思える。
初見で恐怖を感じても、それが日常になればなんともなくなる。
津波で全て流された街のコンビニで、稲川淳二の怖い話を読んでいる少年達。
ホラー怖いよなと友達ときゃっきゃしているガラスの外では、戦場のように何もない景色が広がっている。
監督だからこその描写かもしれないが、非日常が日常になってしまった時に、過去の日常には戻れないと諦めるのか、何か解決策を見つけるのか、逃げるのか。
逃げることの勇気というのも、必要なスキルだというのも納得できる。