数学を使わない数学の講義

著者 :
  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898310823

感想・レビュー・書評

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  •  数学的思考で経済学や社会情勢などを考えてみる一冊。

     やぁ、いままでになかった考え方を脳内にインストールした感があるぞ。
     なんかそういう「脳にインストールする感じ」の読書というのは比較的気持ちが良いんじゃ。

  • タイトルからすれば、話を余計にややこしくしているのだが、数学については先ず、解の存在問題を考える事が重要だという話は面白い。しかし、数学といっても、論理学が中心なのと、実社会における事例への当てはめには、例外がすぐに思いつくような内容もあり、読み難い。実社会を数学的に整理しようとしても、変数が多く、それこそ二元論的に解釈するのは不可能だ。読んでいて、この人本当に数学を学んだ人かな?と思い、経歴を調べたほどだ。一応、学部時代に数学科を出た上、きらびやかな学歴が並ぶ。

    さてさて、私が言いたいのは、かつて藤原正彦が国家の品格で述べたように、論理が正しくとも、その起点となる情緒の正しさがどうかという事。それとデータ量の無限性においては、定量的整理は、前提主義にならざるを得ないという事だ。当然、著者もこの点、GNPや物価指数に対して指摘をしている。であれば、この指摘に至るまでの試みに無理がある事も、恐らく自覚しているだろう。大衆向けに面白おかしく演出したが故に無理が出たのかもしれない。

  • 日本には論理がない、ということが一貫して主張されている。著者の学問的なバックグラウンドは凄まじく多様で、自主ゼミからは橋爪大三郎や宮台真司が輩出されたと聞いて納得。

    非常に日本を俯瞰した考え方をされているが、それもアメリカで学問の研鑽を積まれたからだろうと想像がつく。

    【メモ】
    ・存在問題とは、
    ★果たして存在するのかどうか
    ★存在するとして与えられた方法で解を見つけることができるかどうか
    ・日本人は無規範民族→何もかも曖昧
    ・日本では「所有」では絶対ではない
    ex.創業家というだけで、大株主でもなく、経営者でもないのに発言権が強い
    ・科学であるかないかのけじめは研究対象にあるのではなく、方法にある
    ・批判とは一種の継承である

  • 内容はよみやすいが書名に「数学の論理」と付けないと誤解を与えると思う

  • 杖の師匠に紹介され、その題名に興味を持った一冊。
    読んだのは10年くらい前だが、実家に帰省した際に面白かったのを思い出してもう一度読んで見た。「数学を使わない数学とはなんぞや」と思ったが、要するに数式やグラフなどを使わずに数学の話をするということらしい。ただ、最終章で少しだけ数式が出てくるのだが、これはやむをえないだろう。

    著者は数学科出身の経済学者であり、政治学者でもある。内容は一貫して集合と論理に関する講義であるが、身の回りの具体例をあげながら非常にわかりやすく述べられている。中には少々下品な内容もあって、苦笑してしまうこともある。全体的に内容も面白いし、日常生活において本書のような考え方を身につけることで様々な場面で役に立つのではないかと思った。
    日本人全てが数学や論理に弱いというのは言い過ぎな気がするが、確かに文化としてあまり欧米のような合理性を重んじたものではないことには同意できる。特にユダヤ教やイスラム教のような宗教を理解する背景に欠けているのはよくわかった。食物規定とか一夫多妻制を誤解している日本人は極めて多い。またこの本では、ギリシャ的精神に始まる欧米のものの見方・考え方が、数学の論理によって見事に説明できることがわかる。

    印象に残ったのは最後の第5章である。数値化すると物事を客観的に見ることができるとは良く言われることであるが、実際に数値化して意味のあるものは何かということが明確にわかる。経済学は馴染みがないのだが、アローの背理については、個々の要素が合理的であっても全体としては不合理が起こるというのが、まさに人間社会だと実感させてくれた。

  • ギリシャの公理主義が数学の原点。
    存在問題がクリアされていることで、やる気を増進できる。
    原爆の開発、ペニシリン、100M9秒台など。
    小野小町は穴がなかった。待ち針の語源。
    現代では数学=集合学、集合学=論理学。
    ワルラスの一般均衡論は、多次元方程式で表せれば循環論にならず、解を見出せる。

  • 尊敬する上司からの紹介。
    アクの強い数学論。とはいえ、わかりやすい。

    存在問題の応用思考→解が存在するか、解くことができるか

  • 数学を使わない、というより数字を使わないと言ったほうが適切なのではないだろうか。とても読みやすかった。数学が嫌いな人に読んでほしい。

  • 数学は苦手。でも、数学をに興味がある。そんな人のための数学入門書。堅苦しい計算式はほとんど出てきません。それよりもむしろ、数学的な発想とは何か?それが世の中でどのように役立っているのか?という今までにない視点を与えてくれます。語り口も明快かつ軽快。2時間くらいあれば、読めてしまえます。

  • 12/7読了

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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