- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898311547
感想・レビュー・書評
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今年も昨年同様に不透明な時代で将来を予測することはとても難しいことのように思いますが、今年も日下氏が本を書いてくれました。
大晦日の昨日に読んだ本ですが、日本で問題となっている「円高・デフレ・財政赤字・少子高齢化」への対抗策として、日下氏の独特な(でも効果的と思えてしまう)視点で提言されていて興味深く読みました。
例えば、子供を持っている人に、一人二票与える(p82)、子供を二人産んだ女性は優先的に一流大学へ入学可能(p95)という考え方は効果的だと思います。
以下は気になったポイントです。
・輸出産業と輸入産業の売上高は、ほとんど同額になってきた、2009年実績では、輸出:54.1兆円、輸入:51.4兆円、円高が10%進行したときの損害は3兆円の10%で、3000億円(p12)
・欧米の帝国主義は、「借金、技術の押し売り」であるが、日本は「まず働いて、輸出、儲けてから輸入、それまで質素倹約」という方針であった(p15)
・通産省には輸出振興に多くの税金を使っているので、輸出を好む(p17)
・中流が少なくなってくる(上流化と下流化)と、貨幣をばらまけば人びとは働くというケインズ政策は通用しなくなってくる(p21)
・アメリカの売り物は、農産物、娯楽産業、航空機、武器、特許、金融商品である(p24)
・デフレの話をするときには、量の話以外にも、質の話をすべき(p30)
・デフレが当分続く根本原因は、日本人には欲しい物がない、欲しい物を作る会社がないため(p37)
・産業のはじめは、遊び、そして成長産業になり、10年継続出来れば主力産業、そして関連産業が育って基幹産業となり、衰退産業となる(p38)
・世界最高の民主主義国家は、日本であり、その証拠として、会社でも官庁でも「下位代行」が行われる(p44)
・リカードは、自由貿易を擁護したが、「輸出立国をやると賃金は相手国の水準まで下がる」と書いている(p47)
・原子炉圧力容器の8割を製造しているのは、日本製鋼所の室蘭製作所である(p48)
・なぜ日本に投資しないのかは、「日本でのスピードが遅いから」、中国は賄賂をとるがスピードが速いのが強み(p56)
・国債発行が増えても、国民が国家を信用している限りは何も起きない、国民が返せといった場合は、増税して返す(p63)
・少子化高齢化対策は、1)高齢者は死ぬまで働いて生産人口を減らせない、2)子供に働かせる、である(p89)
・国力は、軍事力・経済力・文化力・発言力の4つであり、それぞれに適正規模があるのがポイント(p100)
・アメリカは民間委託ということで、軍事費を使っている、輸送を民間に任せれば軍事費にはカウントされない、5000億ドルどころでない(p117)
・パワーには3種類あり、1)脅威を与える、2)金銭的見返りを与える、3)相手を魅了する=ソフトパワー、である(p128)
・2010年アメリカの国防次官補は、沖縄返還の際に、沖縄県とともに尖閣諸島を返還したと述べた(p138)
・中国への抗議デモは海外メディアでは大きく報じられたが、日本国内ではすべてのマスコミは無視、インターネットのみ(p139)
・本当に沖縄の米軍基地に反対ならば、日本が自分で核武装するか、空母を持つしか無い、それができないなら沖縄の人に我慢してもらうしか無い(p153)
・日本以外で縦横の人間関係があるのは、ドイツ・フランス・イギリス程度、新興国からみて日本以外でまともな国は、フランス・ドイツ・イタリア、である(p170)
・19世紀頃の船員の虐待はひどく年間死亡率は2割以上、奴隷は生かさないと商品にならないが、船員は生きて帰られると契約した賃金を払う必要があったから(p181)
2011/1/1作成 -
未来予測には定評のある、日下氏の2011年以降の予測を含む時事評論
・世界は腹黒い、むしろそれを賢いと思っている。(尖閣諸島でぶつけておいて、ぶつけられたと平気で言うことからも)
・文化を差別するのは愚かであって、最高の教養人は何でも読む
・沖縄の米軍基地は沖縄の人たちだけで考えるわけではなく、日本全体で考える事。来年は自主防衛を真剣に考える年になる。