TOEICじゃない、必要なのは経済常識を身につけることだ! (WAC BUNKO)

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  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898317013

作品紹介・あらすじ

「経済学」は、ビジネスマンの最強の武器になる!知らないと大損する、ライバルと確実に差がつく経済学のイロハを徹底解説!

感想・レビュー・書評

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  • 「英語よりも経済学の知識を身につけろ!」と主張する本。とはいえ、リフレ派の論客である上念氏の本なので単なるビジネス書であるはずもなく、前日銀総裁の批判を織り込むのは忘れない(もう許してやれよ・・・)。
    というわけで、わき道にそれてなんの話をしていたのかわからなくなる箇所はたびたびあるものの、「貨幣数量理論」や「リカードの比較優位」など、社会人であれば知っていて損はない経済学の知識をわかりやすく説明してくれているので、タメにはなる一冊。ただ、それなりの知識を持っている人にはあまり役に立たないかもしれない。

  • 私よりも5歳若いこの本の著者である上念氏が、若いビジネスマン向けに書いた本です。それにも拘わらずこの本を読んだのは、タイトルのセンスに惹かれたのと、帯に書かれている内容が気になったからです。

    さらに、読み進めていくと歴史に関する内容が多く取り入れられていて、特に、宗教改革の意味、その背景を知らないと「ポジティブシンキング」なるものが理解できない、なので日本人にとっては適合させにくいことも理解できました。

    ポジティブシンキングに対して疑問を投げかけている本に何冊か出会いましたが、上念氏の解説が最も私は「しっくり」来ました。やはり、人々が何を信じていたかという「宗教」の問題は大切なのですね。

    また、タイトルにあるように、外資系に勤務している私ですが、確かに英語ができるに越したことは無いのですが、外資系企業に転職してから経験を通じて学んだことは、英語が母国語の米国・英国人にとって、様々な訛りのある英語を聞きわける能力こそが「マネジメント能力」の一部とされていることがよくわかりました。

    英語で何を発信するのかが大事であることを分かってきた私にとっては、この本のタイトルは十分に私を惹きつけてくれました。確かに語学や知識は大事ですが、それを踏まえた上での創造力を会社が求めていることを、現代の若者にも理解してほしいなとこの本を読んで感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・過去において似たようなことは発生してる、もし同じことが繰り返すのなら、という仮定のもとに過去に得られた知見を未来に応用することは可能(p17)

    ・ブラック企業が増えた原因として、1)マクロ的要因(デフレ発生)、2)企業の過剰適応、3)人間心理(キャリア志向、ライフスタイルの変化)にある(p29)

    ・日本では大企業の役員ですら、非正規社員の12倍程度の年収(1900)である、アメリカでは350倍以上(p37)

    ・独立するには、十分な準備と、失敗したときのプランが多くなければ一回のチャレンジで失敗する(p46)

    ・写真フィルムの業界は、デジカメの普及、携帯カメラ普及の二回のショックがほぼ7年おきにあり、この対応の仕方が、コダックと富士フィルムで変わっていた(p71)

    ・日本が、アルゼンチンやギリシアのような国家破産状態にならないのは、変動相場制の国だから、固定相場制においては通貨の買い支えのために外貨準備高を投入する(p89)

    ・リーマンショック後に大幅な円高となったのは、日本円の通貨が他国通貨比較で極端に不足していたから(p93)

    ・ユニクロで代表される人件費の安い国で作った製品流入でデフレになるならば、北朝鮮はデフレでないと辻褄が合わない(p95)

    ・マクロ経済の恒等式とは、貯蓄-投資+財政収支(税収-政府支出)=輸出-輸入、である(p102)

    ・日本では自動車1台つくるのにTシャツ0.66万枚の労働力ですむが、インドではTシャツ2万枚分の労働力が必要。これを「日本は自動車に関して、インドに比較優位である」という、このとき、比較優位である財を輸出して、劣位にある財を輸入することで双方とも得をする(p107)

    ・アメリカ等の先進国で第三次産業の割合が高いのは、比較優位を究極の状態まで進めたから(p109)

    ・1960年代の高度経済成長時代に日本の輸出産業は大きく飛躍している、当時は欧米のほうが技術力が上だったにもかかわらず延びたのは、比較優位のおかげ(p110)

    ・ECBが金融緩和をするのをドイツが嫌っていたので、欧州各国でユーロ脱退を政策に掲げる政党が躍進し始めている。2014年に入りマイナス金利を採用したので先送りになった(p117)

    ・将来の人手不足に備えて、アルバイトの正社員化、地元で働き続けられる職種の待遇等の改善を始めている、新卒男子にこだわって採用する企業に生き残れるかが興味深い(p142)

    ・年金積立金が100兆円もある国は日本くらい、イギリス・ドイツ・フランスにおいては数か月程度の積立金しかない(p153)

    ・2013年の公的年金の運用益は、過去最高の18兆円、12年の9兆円から倍増。09年から4年間分の取り崩し額にほぼ見合う運用益を1年でかせいだ(p155)

    ・ポジティブシンキングの典型的な考え方(思いは実現する)には、「思い」と「実現」の間に全知全能の「神」が存在していて、その神が人間の思いを聞き届けてくれるという原則がある(p163)

    ・ローマ教会の宣教師達が免罪符を売りまくった理由は、法王を決めるコンクラーベにお金が必要であったから。そのため、各地からローマに金貨銀貨が吸い上げられ、他の地域はデフレとなり、宗教改革の原動力となった(p167)

    ・お金を貯めれば貯めるほど成功している証拠、すなわち神に選ばれた証拠でもあることになった。これが欧州での初期資本主義の誕生秘話(p172)

    ・ポジティブシンキングの元ネタは、1)神は敵対的でも冷淡でもない存在になった、2)神はどこにでも存在する(汎神論)、3)神と人間は理性を通じてつながっている、神と表裏一体、4)精霊の無限のパワーを手に入れれば、物質世界の支配力を行使可能(p175)

    ・今のシニア世代が経験したインフレ時代と、今のデフレ時代では、世の中は変わっていてシニアのアドバイスは役に立つかはわからない(p178)

    ・孫子の兵法が有効なのは、漢民族同士の戦争のときだけ。漢民族は北方民族の来襲には無力で何度も滅ぼされている(p183)

    2015年3月29日作成

  • 比較的好きな著者であるのだけれど、この本の内容とタイトルは一致してないんじゃないかなと思った。
    経済のセンスを身につけたい。

  • 著者の、いつもの論調。
    目新しい部分はない。

  • 経済センスをプッシュした本かと思って読み進むと、ポジティブシンキングにドン引きしたり、起業家のアニマルスピリットを推奨したり、つまりは迷い挫折しているロスジェネ世代が世間の、特に訳知り顔の大人のウソに騙されたり、流されたりすることがないようにというエールだと感じた。
    主張のポイントの部分は参考になるが、特定個人や事件、世界情勢などの見方が陰謀シナリオ的というか一面的かつ過激な感じがして、それをストレートに表現するところに薄っぺらさを感じた。
    14-187

  • 経済の話よりもポジティブシンキングの成立過程の話が面白かった。怖い話しだ。

  • 経済はもちろんのこと歴史の教養も必要なようだ。沈み行く業界にも成長企業があるし、伸び行く業界にもヤラレ役のダメ企業がある。年金は破綻しない。不安を煽るマスコミを鵜呑みにしてはいけない。ピンチはチャンス。日本ほど可能性に満ちた国はない。ポジティブシンキングの元ネタが基督教だとは知らなかった。恥の文化で安定志向で根暗の日本人にぴったりだと思ってたので驚いた。中小企業の社長は借金をしてでも社員の給料を払い続けてるというが、給料を延滞しても自分の取り分を確保していた社長の下で働いていた身としては甚だ疑問。

  • 私が普段読まない分野の本なので、すべてを理解することはできなかったが、歴史や経済学も面白そうだと感じた。歴史を知って現在と向き合うという章で、「保守主義」が紹介されていた。現状の問題点を認めつつも、現実を無視して一気に改善するのではなく、現実と妥協を図りながら少しずつ改善していく。保守主義は、フランスで生まれた考えとされていて、さまざまな社会の仕組みは「何世代にもわたる無意識の人間の行為」によって形成されたもので、世の中が誰か特定の天才によって「設計」されたものではないということだそうです。誰かにすがるのではなく、自分でこれがいいのでなはないかということを考えて、行動していこうと思いました。私ももっと自由を感じられるように。

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著者プロフィール

経済評論家。1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は1901年創立の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。著書に『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)、『タダより高いものはない』『経済用語 悪魔の辞典』(イースト・プレス)、『官僚と新聞・テレビが伝えないじつは完全復活している日本経済』(SB新書)、『日本を亡ぼす岩盤規制』『経済で読み解く日本史(全5巻)』(飛鳥新社)などがある。2013年12月より毎月、八重洲・イブニング・ラボ(https://y-e-lab.cd-pf.net/home)の主任研究員として講演活動を行っている。

「2019年 『大手メディアがなぜか触れない 日本共産党と野党の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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