ついに日本繁栄の時代がやって来た (WAC BUNKO 249)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898317495

感想・レビュー・書評

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  • 保守言論界の大御所として一目置かれる存在で、日本礼賛の著書も多い評論家の日下公人氏による日本繁栄論。アメリカと中国の動きを牽制する一方で、世界から愛される日本の良さを強力にアピール、日本の繁栄が世界を牽引するという「日下節」が心地良い。マスコミや学者・専門家という人々が頼りにならなくなった今の時代においては、我々一人ひとりが自ら知的武装するべきと論じ、国威発揚【こくいはつよう】を促す。アメリカによるグローバリズムに対峙し、中国の歪んだ歴史外交を喝破して日本の世界における優位性を説いた、何とも元気の出る一冊。

  • 2017/04/21:読了
     可も無く不可も無く

  • 正月も終わってトランプ政権が始まったころに、これから世界はどのようになっていくのだろうと不安に思っていたころに出版された日下氏による最新作です。

    日下氏は以前より「日本繁栄論」を展開していますが、彼によれば、安倍首相という素晴らしいリーダーを有している日本はとても有利な状況にあるようです。

    新米国大統領のトランプ氏が歴代の大統領と異なって、明らかに「アメリカファースト」を打ち出していて、世界はグローバリズムからローカリズムへ移行していく雰囲気です。そのような中でどのようにして日本が活躍できるかがこの本に書かれています。

    以下は気になったポイントです。

    ・国づくりの模範は日本だと考える国が次々に現れてきている、先進国が独走するから残りは後進国になるのではなく、「多くの国が後につづくとき、ある国が先進国といわれるようになる」つまり、リーダーを決めるのはフォローワーである(p15)

    ・南洋諸島を委託統治した日本は、まず島民達の伝統文明と文化の詳しい調査をして、独立を果たすまでの道程を考えて実行した。それまでのドイツの統治は流刑地としての利用、戦後のアメリカは食糧援助で独立精神をつぶした(p17)

    ・中国は、国際機関の判決(オランダハーグ仲裁裁判所:2016.12=九段線に国際法上の根拠なし)を無視しているが、日本の対応は不思議である(p23)

    ・広島の人は今までアメリカに原爆投下の謝罪を求めたことはない、なぜか、日本人は原爆開発競争に負けたとだけ思っていたから。日本ならまず海上投下したと当時の大人の人達は思っていた(p34)

    ・戦後70年の順調な経済発展は、神風特攻隊や靖国神社に祀られている方々のおかげだとの実感がある(p43)

    ・ロジカルシンキング(論理的思考)は学校で教えてくれるが、セレンディピティ(直観力)は、全く教えてくれない。実務家は両方を使って仕事をしている。学者もそうだが、それは言わず、理屈を積み上げて得られたかのように話す。大学が目覚ましい成果を上げたのは、1)教会の縛りを越えて考えた、2)各自の直観力を自由化した、こと(p48)

    ・アメリカは愛国心が消えて、アメリカは戦死者が出るような戦争はできない国になった。なので、無人偵察機や無人爆撃機を多用する(p54)

    ・アメリカでは自殺した人の葬式には参列者が少ないのは、神に対して反逆した人の友人として見られては困るから(p64)

    ・プライドは、自尊独立精神の根本である。それがない人には教えられない。(p66)

    ・自分が考えたことを他人に伝える話し方には2通りあり、1)たとえ話(類比=アナロジー)と、2)論理(分析=アナリシス)である(p74)

    ・天才は誰でも閃きはふっと浮かんでくるが、それを他人に言うときはロジカルに再構成して話す。他人は仕立て直して再構成したことだけを聞くからロジカルシンキングした結果だと思うが、そんなことない(p76)

    ・日本人が知るべきことは、1)外国の正体、2)国際機関の正体、3)日本のエリートの正体、4)日本の庶民が持っている常識の健全さと深さ、世界はまもなくグローバリズムを卒業するがそのトップは日本(p89)

    ・阪神大震災のときの復旧事業は、公共事業投資をして、公共造営物ばかりになり町の賑やかさは消えた、多くの民間事業所が神戸を出たまま戻ってこない。その原因は、神戸市全体が公共事業費依存型になったから(p109)

    ・すし詰めの地下鉄、高い住宅の地下に苦しめられたが、地下40メートル以下は誰でも自由という法律ができて新線建設による供給増が行われると、通勤苦はなくなった、答えは「自由化」であった(p110)

    ・MCC食品の社長は、販売価格の半分は中身になっていなくてはいけない、と話していた(p120)

    ・日本の場合、デフレ脱却の本道は、コストカットよりも、魅力の創造である。魅力は低価格よりも新魅力の創造である(p121)

    ・経済発展は生産革命からではなく、消費革命からやってくる。消費の魅力が開発されれば、人々はそれを買うために勤勉になったり、仕事をする。「もっと働け」の根本にあるのは消費の魅力を開発する活動で、この200年はその代用品として戦争による新消費の開発が行われた(p139)

    ・フィッシャーの貨幣数量説によれば、貨幣の発行量x貨幣の年間回転数=総売上高(GDP)=物価x取引総量、これは事後的には成立するが、どれが原因で結果は示されず、その影響がどこへ出てくるかはこの式ではわからない(p181)

    ・元々オリンピックはギリシア市民の暇つぶしであった、都市人口の半分は奴隷、彼らが何でもしてくれるので、他にすることがない市民の遊びであった。なので買って貰えるのは、月桂樹で作った冠のみ(p219)

    2017年2月19日作成

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著者プロフィール

1930年、兵庫県生まれ。三谷産業株式会社監査役。日本ラッド株式会社監査役。東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行取締役、(社)ソフト化経済センター理事長を経て東京財団会長を務める。ソフト化・サービス化の時代をいち早く予見し、日本経済の名ナビゲーターとして活躍。未来予測の正確なことには定評がある。『いよいよ、日本の時代がやってきた!』 『日本人への遺言』(渡部昇一氏共著)『日本人への遺言partⅡ 「和の国のかたち」』(渡部昇一氏共著)『反核愚問』他多数有り。

「2018年 『「発想」の極意 人生80年の総括』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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