メディアの敗北 アメリカも日本も“フェイクニュース"だらけ (WAC BUNKO 255)

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  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898317556

感想・レビュー・書評

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  • 私とは意見が正反対。ゆえに腹立たしさ極まりないのだが、このような見方をする人も、世の中にはいるのだ、ということを心しておかなければならないと思う。

  • 本の構成が無茶苦茶というか。
    色んな要素をぶち込み過ぎておかしくなってる。ネットの普及で既存メディアが改革を迫られているのと、NHKの利権問題は関係ない。
    ただ、この本で一番面白かったのはそこだなあ。
    だいたい、一番フェイクが多いのもネットだと思うし。
    全体として、事実に基づいたという書き方ではなく、自分の好きなところだけつまんで都合よく主張してるような内容になってるのは詰まらないな。
    どうせなら、もっと突っ込んだ取材と事実に基づいて、NHK問題だけに絞った構成にしてもらえばよかった気がする。

    結果的には読むのも辛い、クソ本。

  • ・あ、やべ、これが朝日やNHKをフェイクニュースと呼んでる系のやつだwww
     ・ネット支持/既存メディア批判系。まあ既存メディアに問題あるのはそうかもだが、トランプ支持でそれを明言とはひどい本を掴んじまった・・・まあ、両論読んでおくのが正しい態度ではあるんだけども

  • 日本のメディアには少し問題がある、と今まで何冊かの本を読んできましたが、この本にもそれらが総括された内容が書かれていました。

    私が社会人になったころを思い出すと、新聞記者やメディアに入るのはとても難しい試験問題をクリアーした人が多かったと思います。今でも状況は変わらないのではないでしょうか、中で働いている人達は優秀な人でありながら、そこをとりまく環境、既得権益が変わらないと、この本のタイトルにあるような状況に陥ってしまうのでしょうか。

    昨年11月に当選した米国大統領選挙においても、メディアでの報道と実際に起きたことはかけ離れていたと思います。日本では、東日本大震災が起きたころから、メディアの化けの皮がはがれ始めていますが、その原因はここ5年間ですごく発展してきた「ネット、スマホ」の力が大きいと思います。

    今までは「報道しない自由」を最大限に利用してきたメディアは、「なんでも報道するネット」にどう対応していくのでしょうか、あと10年もしないうちに決着がついて多くの変化が起きているかもしれないと、この本を読んで感じました。

    以下は気になったポイントです。


    ・裁判所が新聞社の残紙(押し紙・積み紙の総称)を違法と認めれば、グレーゾーンのときのように判例として機能するので、それは大きな衝撃として、すべての新聞社・新聞販売店・広告代理店を襲うだろう(p4,5)

    ・メルトダウン化している日本の大手メディアは、大手新聞社・大手芸能事務所・大手広告代理店・テレビ局(p5)

    ・新聞社、テレビ局、ラジオ局が同一資本であり、これが「縦糸」、コンテンツ制作は芸能事務所と癒着、広告収入については広告代理店に依存している、これが「横糸」(p7)

    ・トランプ氏は就任前に、CNNを名指しで批判、CNNは報道の約7割をトランプ批判をしていた、当選後も同じ。一方、保守派のFOXニュースには情報提供を行っている(p17、53)

    ・トランプ氏は2016年7月に記者会見を開いて以来、当選後1月まで約半年も会見なし、という異常な状態を続けていた(p18)

    ・トランプ氏は自ら一次ソースとなる情報を発信することで、メディアによる切り取り、ねつ造を防いでいる。これはニュースの在り方を変えるものであると同時に、新聞テレビの優位性を失わせ、ビジネスモデルそのものを破壊するものと言える(p20)

    ・世界中で物議で醸した「イスラム教徒の入国を禁止する」にしても、メディアが大きく取り上げた割に世論の反応は薄かった、有権者の中でイスラム教徒は0.7%程度だから(p30)

    ・アメリカでは1970年代までは徴兵制があり、男性は兵役義務を果たして国家のために活躍してきた、一方で現代の移民は、出来上がった枠組みの中に入って大国の恩恵を受けようとする人であり、性質の違うもの(p32)

    ・同じニュースでも、主語は何か、どの立場から書かれているかを読み解くことで、別の見方ができるのと同時に、それが、これからの時代のニュースの読み方である(p46)

    ・読売新聞と産経新聞は、官邸側に太いパイプがあるので政府関係のニュースは信用できるが、朝日や日経には無いので、誤報・見当はずれの論調が目に付く(p48)

    ・大統領選でトランプ氏がヒラリー氏に勝つことができたのは、中西部・五大湖周辺のラストベルトのエリア票(ペンシルベニア、オハイオ、ミシガン)を集めたから、ここは民主党の地盤であった(p51)

    ・安倍氏とトランプ氏の会談において、安倍氏が言った内容「あなたはNYTに叩かれた、私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的に叩かれた、だが私は勝った」と聞いたトランプ氏は「俺も勝った!」と言って意気投合した(p54)

    ・ネットの普及によって情報の流れが双方向型になり、同時に誰もが直接発信できるようになった、これはメディア界における革命と同時に、レガシーメディアの瓦解の始まり(p63)

    ・日本新聞協会と記者クラブという排他的仕組みは、第二次世界大戦後にGHQが実施したプレスコードという報道検閲システムを継承するもの、実質的に新規参入を阻害するもの(p66)

    ・産経新聞社が残紙の押し紙にあたる部分の廃止を実施、読売新聞社も動き始めている。16年3月には、公取は朝日新聞社に注意勧告を行っている(p75)

    ・第三種郵便物は、公益性の高い出版物に与えらえる優遇措置であり、郵送料を安く抑えることができる仕組み。これにより宅配モデルが成立している(p77)

    ・日経新聞の経済記事を鵜呑みにするのはやめたほうがいい、読むとしても、誰にとって都合のいい情報か、を見極めるべき(p89)

    ・ネットの持つ4つの機能、アーカイブ・議論評論・情報収集・拡散、これらが既存メディアとネットの世界をガラリと違うものにしている(p109)

    ・以前は、新聞、雑誌、ラジオ、テレビの順に権威があるとされた。テレビはあくまでも興行主であり、芸能・娯楽の一部であった(p145)

    ・テレビ局の電波利用料は、携帯電話と比較しても低すぎる、一番負担の大きいNHKとドコモの負担額は13倍も差がある(p151)

    ・受信料の値下げ(50円)を提案して会長を解任された籾井氏は、年間400億円も余剰金がでているが、1999年からNHKセンターの建て替え費用として積み立てて実質的に見えなくしていた(p158)

    ・NHKは国営放送ではなく、直接的な支配を受けない「公共放送」という位置づけで、放送法により電波受像機を持つ人から集める受信料で成り立つ「特殊法人」である(p160)

    ・イギリスでは公共放送をしているBBCの存続は5年に1度の国民投票で決める、不要となった場合には、民営化や解体を行うことになっているので、大規模な賃金カットとリストラが行われた(p165)

    ・NHKの子会社13社の利益余剰金が2015年度末時点で948億円であることが、会計検査院の調査により判明した(p172)

    ・書店数は、1999年の2.2万店から2015年で1.3万店であり、9千店近くも減少している(p191)

    ・出版の市場規模は、1996年ピークの2.6兆円から、4割以上も縮小、時代の変化の波が最初に直撃したのが出版業界(p195)

    2017年5月22日作成

  •  イギリスのEU離脱、トランプ大統領の誕生、そして下がらない自民党の支持率で新聞やテレビ、ラジオなどの既存メディアの影響力の低下が明確となった。本書では既存メディアの問題とそれを取り巻く環境の変化をまとめている。内容そのものは著者がTwitterでつぶやいていることやネット上で拡散されているメディアの不祥事、メディア論、ネット論の範囲を超えるものではなく、目新しいことは特にない。しかしこれらが1冊の本として世に出てしまったことに意味があるように思う。ネットの情報は信用できない、新聞や書籍の方が信用できると考えている人は意外と多い。そのような人たちが、本書をたまたま手にとってしまい、ネットが何を明らかにしたのか、そして「KY事件」や「WaiWai問題」の懲戒昇進、そして現在ホットな「残紙問題」などのメディア絡みの不祥事をメディアが隠しているという事を”紙”で知ってしまったとき一体どのような反応を示すのか。その時がこそ、まさにメディアの敗北が始まるのだと思う。

     なお、前著『平和ボケ お花畑を論破するリアリストの思考法』と内容が被っているため既視感が強い(コピペも散見された)。ほぼ同じタイミングでの発行のため仕方がないとも言えるし、考え方がブレていないとも言えるが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。

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著者プロフィール

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。海外の経済情勢に精通すると同時に内外の経済・政治状況のリサーチと解析に定評があり、2009年に出版した「本当にヤバイ!欧州経済」(彩図社)で欧州危機を警告してベストセラーになる。
近著「山口組分裂と国際金融」「パナマ文書」(徳間書店)「トランプ! ~世界が変わる日本が動く」(ビジネス社)「貧者の一票」(扶桑社)など。

「2017年 『平和ボケ お花畑を論破するリアリストの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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