あかい花

著者 :
  • ネオテリック
2.80
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本棚登録 : 36
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784899980278

感想・レビュー・書評

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  • 思春期の少女たちの危うい繊細さが描かれている。巧みだけど、こういうの(=この手の小説)あるな、というような。むしろ著者はこれを書いた20代半ば以降、一段と成長した作家なのでは(と一読者が言うのもおこがましいけど)と思う。それほどの数を読んでいるわけではないものの、ここ数年の著作ではこの小説そのもののような生々しく尖った若さではなく、一歩引いた包容力と母性のようなものを感じさせるので。

  • 女性の生理や初潮をテーマにした短編集だ。
    美しい同級生に対する愛憎の混じった複雑な感情を描いた最初の短編をはじめ2~3編はよかったのだけれど、このテーマだけで何篇も描くのって無理があったのか、独白をただ連ねただけの短編がいくつもあったり、なんだか似たり寄ったりのような短編が多く、途中で飽きてしまった。

  • 生々しくてエグい…。

  • うーん・・・シンプルで読みやすいんだけど、内容が生々しい感じでちょっと・・・だったな。まぁそれだけリアルに心情が描かれてるってことなんだろうけど、中脇さんの作品は『きみはいい子』『わたしをみつけて』がよかった。

  • 月経にまつわる短編集

  • 読み終わったあとに、そうかこれは思春期を迎えた小さな女の子にとって大事件が起こる話なんだ。と気づいたのでした。
    そのまま最後のページをめくっていくと、きっと作者の中脇さんでしょう、と小さなお子様が写真に載っていたので、あらあら、と思いました。こんな方がこのような題材にして書くなんて。って。しかも中脇さんはおなかを大きくさせられていました。すごーく女の子には共感できるお話。恥ずかしいことをよくこんなつらつらと文章にできたな。と思います。

  • 私は『女の証』が好きだなあ。自分の中に砂時計があるって感覚、すごくわかる。おとこの人はどうやって長い時間をはかっているのだろうと思う。


  • この方も、初読。どんなものを描かれる方なのか知らなかったのだが、少女を取り上げた話というのは、基本的に見つけたら放置出来ないタチなので、借りてみた。

    本書は、初潮迎える8人の少女の短編集。丁度このタイミングの女子というのは、あたしのストライクゾーン。というか、一番興味深い年代だよね、この、初潮を迎えた時期っていうのは。なんていうか、これは個人差はあると思うのだけど、月経って言うモノに対する衝撃というか絶望というか、羞恥心というか、そういうものが必ずあると思うので。そういう露骨な不快感とか不安感とか期待感とか絶望感とか、そういうこの時期の女子にしかもたらされない感情が明け透けに描かれていて、良かった。

    月経に関しては、絶対に男子には理解出来ないと思うのよ。妊娠出産、というその後の経過も全て理解しにくいとは思うのだけど、苦しいわけでも痛いわけでも辛いわけでもない「月経」っていう、ある意味日常的な生理現象を理解するのはあまりにも無謀だと思うね。それを、素直に受け止める女子、必要以上に拒絶する女子、なんとなくいつの間にか慣れてしまう女子、さっさと忘れてしまえる女子、不快でしかない女子、悩んで悩みまくる女子。

    色々居るだろう。この短編で登場する女の子達も、それぞれがそれぞれにそれぞれな反応をしている。反応して、対応して、受け止めて、次第に理解して、受け入れていく。その過程がとても、とてもこの女子の人生に関わってきてしまうのが、怖いところだ。たかが月経の所為で、人生にどんなことがあるっていうの?…なんて言われてしまうと、困ってしまうけど、いやでも、やっぱり一生の問題よ。だって閉経が来るまで、大体50年間は付き合っていかなければならない、毎月の憂鬱だもの。

    別に本書は男性に月経の不快さを理解して貰う為の小説ではないはずなので、その、初潮を通して女子に訪れる絶対的な変化を感じ取って欲しいなとは思う。言っちゃ悪いが、やっぱり男子に理解なんて出来るわけがない。だって、月経痛の辛さなんて、言葉で上手いこと表現出来ないし、上手い表現も聞いたことないし。一ヶ月のウチ1週間近く、その鬱陶しいモノが24時間付きっきりなのだよ。汚い言い方で悪いが、垂れ流しなんだし。しかも、自覚無く、垂れ流し。恥ずかしいにも程があるでしょう。そんなことを、いきなり突きつけられるその、女子の瞬間!解る?解んないだろうな。解る人がいるならその意見聞きたいよな。

    月経に対してプラスの感情がを持つ女子もいればマイナスの感情を持つ女子もいて、それが当たり前で。もちろん所長を迎えたからと言って、何がどう変わるわけでもない。美人になるわけでもないし、可愛くなるわけでもないし、女らしくなるとも限らないし、間違ってもそれで大人になるわけでもない。ただ、忘れようとしても避けようとしても、毎月毎月、否応もなく自分が成長して、そのうち大きくなって年を取ってしまうと言うことを自分に知らせる時計のようなものとして、そう、まさに体内時計として、月を刻み、年の経過を実感させてしまうのではないかと思う。コレが来る度に、誕生日を迎えるよりもリアルに現実的に体感的に、実感してしまう瞬間が、毎月必ず訪れてしまうわけ。怖い話だなー、怖い話。

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著者プロフィール

徳島県に生まれ高知県で育つ。高校在学中に坊っちゃん文学賞を受賞。筑波大学で民俗学を学ぶ。創作、昔話を再話し語る。昔話集に『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』『ちゃあちゃんのむかしばなし』(産経児童出版文化賞JR賞)、絵本に「女の子の昔話えほん」シリーズ、『つるかめつるかめ』など。小説に『きみはいい子』(坪田譲治文学賞)『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』『神の島のこどもたち』などがある。

「2023年 『世界の女の子の昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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