- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784900456594
感想・レビュー・書評
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書物を開いて活字を目にしたとたん囚われた。イノチあるもの、カタチあるものはいつか必ず朽ちゆく。朽ちゆきながら放たれるエナジーを掬いあげよう。純度を失わないうちに。そして神話となる。19世紀末に還元された西洋の神話が(=シュウォッブ)時空を巡り、20世紀末に極東の地に下りて言霊となり(=多田智満子)再び息を吐く。遠い落日の黄金の炎と死にゆく都市の幻影をみた。目蓋の裏に焼き付いて、そのまま静止している。
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すとんとした、語り過ぎない終わり方が好きだ。
原文がそうなのか、訳者の力量によるのか、文章が格調高いあまり、読みやすいばかりの小説に慣れている身にはやや読みづらく感じることもあった。
が、それは単に時間がかかるというだけであって、面白くないというわけでは決してない。まさか!
どこかおとぎ話のような空気と、詩情あふれる文体。
読んでよかった。 -
訳者あとがきにもあるように、短編小説というよりは、詩(散文詩)のように、一文一文、一語一語まさに珠玉。訳に恵まれたともいえる。絶妙に折り込みながら(「やがてある悪しき欲望が王の心に這いこんだ。」[p11]など詳しく説明しない省略。詩的)、深い余韻を伴うストーリーテリング。「少年十字軍」はさまざまな人々が語る体であったり、それぞれの物語が背伸びをせず、飽きさせず、再読に耐える。寓話のような形をとって王様や歴史的な事柄を扱うのでシュウォッブは古い作家だと思っていたら、19世紀終わりに37歳の若さで死んだ流星。
<時間をあけて、再読したい。切れのある美しい文章と、イメージ。でも切れすぎてひっかからないので、スラスラ読めてしまう。短編集。「少年十字軍」の子供の独白?、「リリス」「眠れる都市」などが特によかった。> -
短編集。
平易な文章なのに詩みたいに綺麗で残酷。
表題作の純真であるが故の結末の哀しさが痛いです。 -
格調高い翻訳の、美麗で幻想的な寓話集。色のイメージが鮮烈だった。