日本人はなぜ終戦の日付をまちがえたのか: 8月15日と9月2日の間のはかりしれない断層
- MOKU出版 (2000年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784900682535
作品紹介・あらすじ
1945年9月2日、日本は降伏した。そして、国の隅々まで高度の規律を保ち、降伏条件を遂行した。だが日本人自身は、敗戦によって茫然自失に陥り、自尊心まで灰燼に帰したと錯覚してしまった…。戦時国際法の第一人者が読み解く「降伏」「戦争」「国際社会の現実」。
感想・レビュー・書評
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・1945/8/14 にポツダム宣言の受諾を通告し、9/2 に降伏文書に署名発効した。つまり、9/2 に降伏が成立したにも関わらず、日本人の大多数が 8/15 を終戦日と誤解したこと。
・それにより、空白の 18 日間が生じたこと。
・日本国軍隊は無条件降伏したが、日本国の国家統治権限は、連合国最高司令官の制限の下に置かれるが、決して無条件ではないこと。
・ポツダム宣言でも、日本の国家としての無条件降伏は求められておらず、米国国務省もそう認識していたこと。
・降伏当初、マッカーサー司令部の降伏条件違反に日本政府は強硬に異議申立をしたが、その後腰砕けとなり、その転換の時点と理由は不明であること。
・ドイツの場合は、軍隊は無条件降伏したが、国家は降伏する認められず一方的に制服され、戦前戦後で国家の継続性がない。
・米国は、自らを正義とし、無条件降伏による戦争終結を求める習性である。
・戦争をしない「つもり」の国家は、独善的な思い込みに過ぎない。
・平和国家を目指すならば、長期には戦争より合理的かつ実効的な国際紛争解決手段を考案する必要がある。
・短期には、武力紛争が起きた時に国家として平和の回復に積極的に協力すべきである。
・その役割を担い得るのは中立国しかあり得ない。
・国際社会は、日本を平和国家とも中立国ともみなしていない。
・中立国には領域侵犯が起きたら実力をもって排除する義務を負う。
・非武装中立国とは、丸い四角と言うと同様の論理的矛盾である。
という主張。 -
国際法に基づく降伏が無条件であったのかどうかの相違、そして本来の終戦日が9月2日ポツダム宣言受諾日であるという事の事実。
この2点がいつまでたってもこの国を本当の戦後に歩ませない訳であり日本人としては歴史的事実としてこの点を学びなおさなければいけない。
大切なのは戦争内容がどうこうではなく、その当時になぜそのような状況に陥ったのかではないかだろう。
1945年9月2日 軍隊としての無条件降伏を受諾
国家としては条件付き降伏
敗戦国それぞれがそれぞれの終戦を迎えそれらがすべて同じ終わり方ではないという認識。
日本 国家として降伏 米国の間接軍政のもとで自主的に降伏を遂行
ドイツ 国家として征服 直接軍政のもと国家の継続性を失う
イタリア 国家として休戦するが国民社会としては崩壊
ソ連も中国も賠償請求権を放棄
日華平和条約 日中共同声明 日ソ共同声明
スイス 重武装中立国の意味
東郷いせ 『昭和史が面白い』 -
昨日今日と部屋の掃除に結構な時間を費やしたのだけど、その際、本棚の奥からこちらの未読本が出て来、先ほど読了。
終戦記念日にこれを読んだのは大変な意味があった。
我々はあまりに多くの基本的なことを知らない。私も知らなかった。
・「降伏」とは何か?
・我が国の降伏とドイツ、イタリアのそれとは同じか?異なるのか?
・そもそも「戦争」とは何か?
等々
ちなみに8月15日という日は、米国にとってはほとんど意味が無い日だ。日本との終戦の日でも何でもない。
(今日(8月15日)を日本が「終戦を記念する日」とするのは勝手だろうが、国際的には日本と米国あるいは連合国側との「終戦」の日ではない)
えっ!?と思われた方にはぜひ一読をお勧めしたいが、どうやら絶版らしい。惜しい。なかなかの力作なのだが…
なお、日本の降伏の状況(国際法的な意味において)とドイツ、イタリアのそれらとは全く異なるということを本書で初めて正確に(国際法的な違いをという意味で)知った。 -
日本の法律的・国際的終戦の日は9月2日!この事実を無視して、日本が一方的にポツダム宣言を受け入れるとした日が日本では終戦記念日となっている。このことがいろんなところで支障をきたしている原因となっている!
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終戦の日とされている「1945年8月15日」は、終戦の日ではない。
日本は国家として無条件降伏はしていない。
終戦(降伏)したのはミズーリ号上で降伏文書を調印した
「1945年9月2日」、
「1945年8月15日」はただ単に降伏の申し出をした日。
(よって、「1945年8月15日」から「1945年9月2日」に
ソ連が千島列島などを占拠したのは合法となる。)
軍事的には無条件降伏したが、国家としては無条件降伏ではない
(だからこそ天皇制が現在まで維持されている)。
このことを、「征服」され、降伏すら許されず、
国家としての存在がなくなったナチスドイツとの対比
(だから日本と違い、平和条約で賠償責任の一括処理ができなかった)や、
歴史的な分析を、
元大使である著者が、国際法の観点から分析しています。 -
ゼミで学んだ本。ここにある事実が、すべての事実ではない。
それでもなお、夏には読み直すべき一冊。絶版ガ、悔やまれる。 -
日本人として読まなくてはいけない本。
が・・・絶版らしい。