絶対安全文芸批評 (INFAS BOOKS)

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著者 : 佐々木敦
  • INFASパブリケーションズ (2008年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900785601

絶対安全文芸批評 (INFAS BOOKS)の感想・レビュー・書評

  • 本のアウトプットは読む作業と同じくらい楽しい。
    インプットする作業がより深まっていく。
    誰かと語り合えると新たな発見もある。
    中途半端に読みたいし書きたいよりもどっちかを極めたい。
    好きな作家がたくさん出てきて面白い。
    もっと読みたい。

  •  いわゆる今の「芥川賞・直木賞」なる日本の文学が、おおむね文芸誌五誌によって展開されているので、じゃあ、その文芸誌の外にある雑誌から、その五誌に載っている作品を批評してみよう、という試み。

     読んでみようと思ったのもその辺に興味があったからで、今の「文学」が世間一般に年二回、「芥川賞」および「直木賞」の発表という形でたまに出てくることで秘密主義的な権威を保ち続けている、という点に関しては大いに納得しました。
     今現在「文学が売れない」ということに関して、じゃあ、各自が文学というものに値段をつけて流通させればいいじゃない、という文学フリマ(大塚英志)の立場と、どうせ売れないんだからフリーペーパーにしちゃえばいいんじゃね? という早稲田文学の立場と。そのあたりの状況を知るためにはなかなかいい読み物だと思います。他は読み飛ばしてもいいから二つの対談だけ図書館で借りてもいいんじゃないか、みたいなところがある。

     で、アタシの素人考えで何が問題かと云うと、結局文芸誌の中でやっている「文芸評論」も、外の雑誌媒体から試みている「評論」も、結局やっていることや評価の基準にめぼしい違いが見られない点です。
     云ってることは正しいし共感できるんだけど、じゃあ作者自身のやっている書評がどうかと云うとまったくそんなことが無くて、正直気味が悪いくらいです。

     その、文芸誌がどうとか立ち位置がどうとかいう問題以前に、根本的に書評の仕事というもの自体が一般的なニーズと乖離してるんじゃないの? ということなのです。一節引きます。

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     第三位は円城塔「Boy's Surface」。(中略)それはさておき、主人公が「写像」という(!)この中篇もまた、表面的にはともかくも、ほんとうはサイエンスもテクノロジーもマセマチックスもフィジックスもコンプレキシティも何の知識も必要なく、ただ読みさえすればそこに素晴らしく含蓄に富んだ小説が演算され生起し存在するという誠にマジカルな秀作となっています。(後略、73ページ)
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     ここから、なにを、読み取って「わぁ、読んでみよう」と喚起するにいたるのか。「わけわかんねー」という括りにされないためにさ、モノカキって読者と対峙していくもんなんじゃないかなー、とか、そういうことを思ったりする。すくなくとも「文芸時評」なんだから。

     読ませたい読者がどこにいるのかがわからなくて、文芸評論という「型」にすがって、結局は読者のいないところに向かって文章を書いている感じです。だからこそ、「絶対安全」というのは一種の皮肉になって作者に帰ってきたりするんじゃないだろうかね。

     一般の人が読みもしないものを、どうして「中の人」が読もうとするだろうかね。そもそも、上に引いたような文で「OK!」にしているあたり、現世とかなり乖離しておるように思われる。発想そのものには共感するけど、やっぱり批評とやらに飲まれて、自分で気付いていないひとの仕事だなぁ、と。

     いや、アタシは批判すべき立場には無いと思います。それよりも、じゃあ、なんでこういう書き方に、方法になってしまったのか。むしろそっちの方に興味があるのです。
     どうかなぁ。ネットは広いようで狭いので、もしかするとなんらかのレスポンスが聞けたりとかしないだろうか。そんなことはないのか。

     ただ、こういう仕事が「批評」として普通なんだと思われているのんは(つまり、文学の伝え手がこんな調子である以上)、まずいと思うよ、文学。日本の。
     すくなくとも、ただの文芸好きである読者(あたし)は、ものすごい疎外感を感じるのだ。この人は、文藝を、どこへもっていくんだい、と。

  • 半年間の「文芸批評」を終えた佐々木さんの感想の中で、「おんなじような話を、おんなじような文章で書いた作品が、あまりにも多すぎる」、「私怨を他人に読ませるな。読ませるならせめて読めるように書け」、「才能や技術を云々する以前に、そもそも書きたい気持ちがあってこそ実際書いてしまうという、素朴な「やる気」の部分だけで小説家足り得ている方が多過ぎる。市場的な評価軸が第一義とはまったく思わないが、活字に出来る水準がここまで見事に落ちているとは思ってもみなかった」の3つがとても切実…胆に命じます。

  • 難しい問題だ。

    外から見れば、やはり新鮮な視線/視点を導入することができる。
    文学も例外ではない。
    分かりきったことだけど、演劇からもロック・パンク・その他音楽からも、芸人からも作家が出てきているのは自明。
    それに続き、違った分野の批評とか知識人とされていた人が、文芸誌に召喚されている。
    この本の著者も、そんな他分野からの刺客の一人だ。
    外からなので、利害関係がない、だから絶対安全なのだ、と氏は言う。その通りである。
    が、この頃の氏は確かに、「敷居」の外の人間であった。しかし、今、彼は「敷居」を跨いでしまったように思う。
    姿勢が変わったかは正直分からないが、これからの彼の態度の変化、向かう方向に注目していきたいです。

  • スタジオボイスでの連載をまとめたもの。佐々木敦さんの評価と私の好みは似ているので、連載中も読んでいたが纏まったので買った。

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