エル・スール

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制作 : Adelaida Garc´ia Morales  野谷 文昭  熊倉 靖子 
  • インスクリプト (2009年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (131ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900997219

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エル・スールの感想・レビュー・書評

  • 読み終わってみればわりとシンプルな女の子の成長物語。とはいえ親子関係を持たない読者はいないわけで、「親がどうであっても子供は親が好きで必死で、でも成長すれば距離を置いて見られるようになる、うむうむ」とシンプルな感想を持った。

    語り手の女の子が賢くて、べたべたせずに過去を振り返っていることに気分がすっとした。親父はどうしようもなく弱いクズであるが、母親はともかく娘が損なわれなかったのがほんとうによかった。本書が原作になった映画もこれから観る。

  • エリセ監督の映画が好きだが、原作では父への娘の視線に批判が混じっており、よりリアルに感じた。母との溝も、皮膚がヒリヒリと痛むようなエピソードと共に描かれている。閉鎖的な空間に滞留する空気は重く、これといった理由がないのに、あらゆることが原因になっている、顔のないお化けのような苦しみがあった。映画にはない、南への旅のエピソードが、少女の行く道に光を投げかけていたのが救い。

  • スペインが舞台。亡くなった父に語りかける昔の思い出話など。スペインの地名や風景と、語り口調が独特の世界を生み出す。

  • 自分のなかでも評価がはっきりしないところがあるけど、繊細で良い作品だと思う。読み終わったあとにじんわりと残るものがあるし・・・。孤独を一度受け入れて、自分の立ち位置を確立していく主人公は力強くみえて好き。

  • 小説の完成度に驚き、
    作者がエリセ監督の元奥様だとあとがきで知り、更に驚いた。
    他の著書は翻訳本出ていないのですね…残念です。

  • 自分にとっては特別な映画「エル・スール」
     何回映画館で見たことか覚えていないくらい。
     映像と音楽、そして多くは語られない物語、これらが融合して至上の作品となっている。
     要約すれば自ら命を絶った、父親について、娘が振り返るという話であるけれど
     父親の存在がミステリアスで単純な理解を許さない
     不思議な力を持ちながらも、全てを喪ってしまった存在。
     何十年経ちながらも記憶の中から薄れ去ることはない

     この本は、映画製作当時に監督のヴィクトル・エリセと一緒に暮らしていた、アデライダ・ガルシア=モラレスによる原作。
     映画ではほとんど描かれることの無かった母親との関係が詳細に語られている部分は異なるけれど、概ね映画は忠実に原作をなぞっているようだ。
     しかし、映画では語らないことによって物語を創り上げており、より複雑な印象を残している。
     そうはいっても、この本は、補足するもの、理解を促すもの足りえているし、何よりもこういった形で映画を次の世代に繋げていくきっかけにはなるのでは…

  • そんな訳で読んでみたんです。。。

  • 「ミツバチのささやき」の原作

    「ポネット」ジャック・ドワイヨン

  • 翻訳物とは思えない、ストレスのない日本語に感動。

  • バルセロナ、フランスなどを舞台とした作品です。

  • 昔、六本木WAVEの地下のCINE・VIVANTでビクトル・エリセ監督特集で「ミツバチのささやき」と2本立てで見た映画の原作。エリセ監督の当時の伴侶の作品。
    しかし、映画は少女が「南(エル・スール)」に向かうところで終る。それ以外にも映画と小説はかなりの違いがある。
    振り子をもって水脈や失せ物を見つける魔術的能力を持ち、カソリックに背を向ける父親。そしてその資質を受け継ぐ少女は、2人だけの種族のように母からも周囲からも孤独に生きる。幼かった娘は父を理解しようとするが、父は自分だけの苦悩を抱え、死を選ぶ。父を追憶するため、父を理解するため、父と別れるため、少女は「南」セビーリャに向かう。

    中編だし、読みづらさはないけれど、ゆっくりと孤独と沈黙に寄り添う文章は心に重く浸み込んでいく。映画を見てない方も是非読んで戴きたい。

  • 映画の余韻さめやらぬうちに貸していただいた。それぞれの調べが重なり、響き合ってえも言われぬ静かな感動が生まれた。しばらくこの蒼い夜明け色の中にひたっていたい気分。

    映画でははっきり言及されていない部分で、印象的だったのは父が無神論者であったということ。もちろん、著者は、その理由をくわしく説明するような野暮はしないけれど、敬虔なカソリック国であるスペインで無神論であることが、どれほどの孤立であるか、固い意志を必要とするか、想像にかたくない。
    語り手のアドリアナは(映画ではエストレリャ)もうおとなの女性であり、自分と父とのおそろしいほどの共通項も、父の弱さも、冷徹に分析し述懐する。それでも、彼女と父とが心通わせる数少ない場面には、やはり行間に感傷があふれる。

    アドリアナが南へ行ってからのエピソードは、少女の好奇心と行動力、そして自分では気づいていないだろう、独特の神秘的な魅力が見てとれて心があかるくなる。それは映画の中で、父の身辺を探偵のように調査するサスペンスフルな場面に呼応している。

    訳者のあとがきは、ミステリアスな著者の情報をたくさん提供しており、とても充実している。14歳のエストレリャを演じた女優は現在映画監督だそう。なんだかうれしい。

  • 親が抱えていた秘密って、子どもとしては興味をひかれるけど、やっぱり知らずにいた方がいいのかなあ…
    語り手の行く末が心配だ。

  • この映画も苦手でしたが、やっぱりだめでした。

  • このタイトルだと、どうしても、ビクトル・エリセの映画『エル・スール』が思い出される。実際この本が原作と云うことで、著者は当時エリセの妻だった。原作では、映画版では語られていない、主人公が南へ旅立った、その後の話が書かれている。話の筋としては同じだが、主人公の名前が違ったり、いくつかのエピソードが互いに無かったりする。映画も原作もすばらしいが、個人的には別のものと考えて良いと思う。原書は『エル・スール/ベネ』の2編収録されていたみたいだが、『ベネ』の方は未収録、こちらも読んでみたかったのだが。

    これからの本はかくあるべき、なんだと思う。紙からインターネットの時代になってきて、お金を出さなくても小説は読めるし、印刷されたものは幅もとる。本はある意味、贅沢品として、手元に置きたいようなものを作っていくべきなのかと思う。本文はゆったりとした余白と行間をとっている。表紙も美しいし、本作りにこだわりが見える。文字数の多い本は、あまり売れないらしい。これくらいの中編がちょうど良いのだろう。

  • 映画のほうがおもしろい

  • ヴィクトル・エリセの同名映画の原作。
    こんなのがでていたとは。読まねば。

  • すごく閉じたセカイでひっそりとすぎていく時間家族って難しいな と思う

  • (2009.06.12読了)
    NHKBS2の週刊ブックレビューで、作家の西加奈子さんが紹介した本です。スペインの作家の作品ということなので、図書館で借りて読んでみました。
    1985年に出版され、2009年に日本語訳が出版されました。1983年に撮影し、1985年に日本で公開された映画の原作なのだそうです。
    純文学作品というのでしょう。感受性があまり豊かではない、僕には、猫に小判とでも言われそうな作品なのでしょう。自分では、どんな作品かつかめなかったので、番組のホームページから、内容紹介を拝借しておきましょう。

    「現代スペインを代表する女性作家が、今から20年以上前に発表した小説です。
    主人公の少女は亡くなった父親に強くあこがれ、母親からは疎まれます。父親の魔術師のような能力に惹かれ、自分が後継者でありたいと願います。しかし、その女性関係が明らかになると、一途だった思いは揺れ動きます。少女は父を少しでも理解しようと、彼の生まれ故郷を訪れます。多感な少女が、秘められた家族の過去に出会う物語です。」(ホームページより)

    主人公は、15歳の少女(アドリアナ)、父は、魔術師で、振り子を使って探し物を見つけることができます。少女がどんなに上手に隠しても、父親は、必ずそれを見つけ出してしまいます。
    普段の仕事は、学校でフランス語を教えることです。
    母親も、教師でしたが内戦(1936年~39年)で教員の資格を奪われ、自宅にいます。午前中は、少女に勉強を教えています。優しく教えてくれるので、少女も喜んでいます。
    アドリアナが7歳のとき、お手伝いのホセファとアグスティーナに連れられて、映画「ジャンヌ・ダルク」を見ました。
    その後、遊びに来たマリニエベスとジャンヌ・ダルクごっこをしました。アドリアナが、ジャンヌ・ダルクをやりたかったのですが、マリニエベスが、自分がジャンヌ・ダルクでなければ遊ばないというので、譲らざるをえませんでした。
    そこで、アドリアナは、マリニエベスを木の幹に縛り付け、枯れ草や乾いた枝で足元を囲み、マッチで火を付けました。家にいた女たちが飛び出してきて、事は収まりました。
    (衝撃を受け、印象に残ったのは、この話でした。)
    (2009年6月14日・記)

  • この物語で語られる、沈黙と絶望と深い悲しみで覆われた自閉の世界は、かつて私が最も親しい世界でした。今回この本を読んで思ったのは、私はこの世界から遠く離れてしまったということです。痛みにも似たひりひりとする孤独は、もはやかすかに覚えているだけで、読んでも読んでも海の向こうの蜃気楼みたいに手が届かず、歯がゆいばかりです。これが良い事か悪い事か判らないですが、生き易くなった代償なのでしょう。

  • ビクトル・エリセの同名映画を、昔見ました。著者は当時のエリセ夫人とか。「ミツバチのささやき」とごっちゃになっていたので、ビデオを探して(わが家のどこかにあるはず)どちらも見なくては。著者の本が読みたいので、スペイン語を勉強したくなりました。それとも英訳を読むか。とにかく懐かしい!

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エル・スールの作品紹介

父の死を契機にセビーリャへと赴いた少女が出会ったものは…。内戦後の喪失と不安感を背景に、大人へと歩み始めた多感な少女の眼を通して浮かびあがる、家族の秘められた過去。映画『エル・スール』製作当時、エリセの伴侶として彼に霊感を与えたアデライダ・ガルシア=モラレスによる、時代を超えた成長小説。

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