- Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901391443
感想・レビュー・書評
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平田オリザさんの活動に関心があり、購入。
青年団のお芝居が面白そうだが、具体的にどのようなものなのか、見て見ないと分からない。
革命戦略としてのアートマネジメント、というのは大層面白いと思う。
130114再読詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前半は著者のこれまでの経歴紹介という感じであったが、後半の「芸術の役割」がすごく腑に落ちた。
芸術を通じて「異なる価値観の人達が沢山いること」を理解すること。
芸術で「人生のシュミレーション」をすること。
何かの本で「芸術家というのは真実に対するショートカットができる人」というのが印象に残っているが、平田オリザの二つの解釈も素晴らしい。 -
劇作家の平田オリザさんの本。
自分の世界観を表現したいというところがよかった。
自分が世界を人間をどう見ているかを作品にしてそれぞれの立場でながめてもらいたいと。
穿ったところがなくて、とても魅力的な考えだった。
自分がどう見ているかというものを素直に表現できて、それを見てもらえれば。それを束縛するのは他者の視線だったり、立場だったりするわけだけど、日本ではそのしがらみが特につよい。とりわけ自分がどう思われてるかという点に苦心してしまうが素直な感性を阻害する。
価値観がバラバラになってしまった現代。一人一人が世界観をもっていて、それでいてそこだけにとどまらず多くの世界観を認めあっていく時代なんだろう。 -
同著者の「芸術立国論」「演劇入門」「演技と演出」を読んでいたので目新しさはなかったけれど。同じ言葉でもこうしてきちんと明確に発信している著者の活動には本当に敬服する。
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正直、平田オリザには何の興味も関心もなかったのだが、この本は面白かった。島国のヒトビトはみんなが揃っていることを好む傾向にあるような気がするけど、バラバラであることこそリアルなんだな。中学のワークショップのエピソードが象徴的で印象深い。
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2006年9月19日読
備忘録:タイトルが尖がっていたので気になって読んでみたが、内容は編集者と平田さんの対談をまとめた内容。浅く広く、平田オリザに関するテーマを語っていく本だった。新劇と絡めた演劇におけるリアリズムの問題、戯曲、演出、ことば、劇団運営、劇場運営、アートマネジメント、ワークショップ、異文化の人たちとの演劇の共作、などなど、色々なことについて対談していた。
中でも特に興味深かったのは新劇のリアリズムが「西洋」と「近代」をねじれたまま発展させてしまったという話だ。
翻訳劇における口語文体が後に戯曲の作風にまで影響し、日本においては真の近代劇が根付いていかなかった。近代劇が目指していたヨーロッパ的リアリズムは失敗に終わったまま、反近代演劇を目指す唐十郎や寺山修司などの60年70年代のアンダーグランド演劇が起こり、80年代にはヒューマニズムを全開にした野田秀樹や鴻上尚司が人気を得ていく。そして閉塞した90年代に呼応して真の意味でのリアリズムを目指した平田オリザの青年団がいわゆる「静かな演劇」と呼ばれる現代口語演劇というジャンルを確立していく、という流れだろうか。本を読む限りはリアリズムを巡る演劇の系譜はそう理解できる。