- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901784009
感想・レビュー・書評
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(2015.11.12読了)(2003.05.11購入)
【ノーベル物理学賞】
中村さんが特許裁判で騒がれていた2003年ごろに何冊か買い集めたうちの一冊です。
会社に所属して開発に携わっていても、発明したものが製品化され多くの利益をもたらした場合には、発明者個人にもっと多くの報酬を支払うべきなのじゃないかと、会社側を訴えて、裁判に勝ったことは、有名です。
この本が出たのは、2002年ですが、本の帯には、「ノーベル賞に最も近い男」と書かれています。それから12年後の、2014年には、本当にノーベル物理学賞を受賞しました。
実用的なものには、ノーベル物理学賞は、与えられない、と勝手に思っていたので、びっくりしました。考えてみれば、江崎玲於奈さんのダイオードも実用的なものだったのかもしれません。
著者は、物理世界の根本法則を研究して明らかにしたかったようだ。それが、先生の勧める工学部に入学したために、やりたくもない研究開発を続けて、ノーベル賞級の発明をしてしまったことを、非常に悔いているようだ。
この本は研究開発に携わる後輩たちに向けて、好きでもないことを命じられても、命令に従わず、自分の信じるところをがむしゃらに進めと、いっているようです。
まあいわば、極論の面白さ、でしょうか。大部分の人には、実行できそうもなく、少数の人には、いわれなくても、やっているよ、というところでしょう。
【目次】
プロローグ
第1章 逆転へのスピンアウト
第2章 自分の頭で考えろ
第3章 自分の成功パターンを作れ
第4章 自分のことをよく理解しろ
第5章 好きなことだけやればいい
エピローグ
●選択(42頁)
人間の選択というのは、あやふやなものだ。こうしようと考えていたことを次の日には自分から変えてしまったりする。私は運命論者ではないが、明日のことは誰にもわからない。
大切なことは、選んだあと、そこでいったいなにをするかだ。自分なりに必死になって考え、責任を持って行動すれば、いくらでも道は開けるし、成功する方法はある。
●国際的な学会(119頁)
国際的な学会の場では、過去にどんな論文を書いていたか、どんな学説を発表したのかが特に重要視される。どこのなに大学だとか、教授だとか助教授だとかいう肩書きはあまり関係ない。その分野の学会誌にどれだけクォリティの高い論文を出し、それがどれだけ多く他の論文に引用されているのかが研究者を評価する上での重要な要素となる。
●どん底(135頁)
どん底というのは何もない場所で、この広大な宇宙にその問題を考えている自分だけがポッカリト浮いているような非常にシンプルな状態なのである。
そんな最低の状態の中から、いいアイディアがふっと浮かんだり、ヒントがパッと目に飛び込んできたりする。
●製品開発(149頁)
会社の命令で「これは売れる」という製品を十年間で三つ作った。ガリウム燐、ガリウム砒素、赤外LEDと赤色LEDだ。
●暗記科目(156頁)
大学入試に必要な暗記科目など、人生にはなんの必要もないものばかりだ。なぜ興味のない分野を、必死になって勉強しなければならないのかわからない。
●人生(156頁)
人生というものは、人の言うことなどには耳を貸さず、自分のやりたいことだけを、自分で考えて判断して好きなようにやらなければ損だ。
☆関連図書(既読)
「考える力やり抜く力私の方法」中村修二著、三笠書房、2001.02.25
「怒りのブレイクスルー」中村修二著、ホーム社、2001.04.10
「負けてたまるか!」中村修二著、朝日選書、2004.03.25
(2015年11月20日・記)
内容紹介(amazon)
本書は、青色発光ダイオード(LED)を独力で発明、2002年米国フランクリン賞を受賞して、現在「ノーベル賞に一番近い人物」と評価されている中村修二氏による書き下ろし作品です。
地方企業のサラリーマン研究者が、なぜ、世界を変える発明を成し遂げられたか?自然のなかで過ごした少年時代、不本意な進路を悔いた学生時代、自身の不遇だったサラリーマン時代をつぶさに振り返り、逆境をバネに、たった一人で心に決めた研究開発テーマに挑んだその生き方と発想のエッセンスをあますことなく語ります。
キャリアや生き方に悩むビジネスパーソン、新社会人、就職活動中の学生のみならず、不況に苦しむニッポンにおくる活力溢れた熱いメッセージです。 -
揉め事には理由がある
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巨額訴訟で話題になっていた頃に書かれたのだろう一冊。これが本当だとしたらこの人は会社にそんな強いこと言えた立場じゃないんじゃないかな、とか冷静に思ってしまうのは私だけだろうか。結局、開発にゴーサインを出した前社長の時代は良かったけど、二代目とは相容れなかったからこうこじれたんだよ、と言っているようにしか見えないし、会社の中で異端児でいることについてもこの人の神経だから出来たことであって、真似するようなものでもないのかな、と。それでも結果を出しているという点では手が届かないわけですが。
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中村 修二論
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会社の言うことでなく自分でやる
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今のままでよいのか問い直す, 2004/10/5
サラリーマンとして会社のために働く。それは普通の日本のサラリーマンの姿だと思う。しかし、本当にそれでいいのか考えさせられた一冊。
著者も最初は滅私奉公的に働いていたようだが、ある時から「好きなことだけやる」事を実践し、そこで青色ダイオードという製品化に成功している。
やはり、好きなことをやる事は、たしかにわがままなのかも知れないか、そういった要素も企業には必要だと思う。
また、こういったことを認めた経営者(会長)が居た事も、ビックビジネスを成功させる秘訣なのかも知れない。
また、研究者として、日本の研究体制、序列の問題などにも意見を述べている。やはり日本は古い習慣が抜けきらないのだろう。アメリカに行ったのはそのせいかも知れない。
また、著者は、出身の日亜科学工業と特許をめぐり裁判中であり、喧嘩別れしたような印象を持っていたが、本書を見ると、ずっと会社の利益を考えてきたようであり、研究を続けたい思いでの転職だったように思えた。
サラリーマンなら会社との付き合い方、学生なら今後の自分の進路を考える上で参考になる本だと思う
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「結果が悪いから、なぜだろう、どうしてだろうとそのことばかり考える。ダメなら、なんとかしてよくしなければと必死になって考える。飯を食っていても、風呂に入っていても、テレビを見ていても、車を運転していても、それこそ寝ていても、そのことしかないというくらいまで集中する。」
「だが、うまくいかない。どん底へ落ちる。気持ちは落ち込んでいるけれど、精神的には快不快のない無我の境地だ。どん底というのはなにもない場所で、この広大な宇宙にその問題を考えている自分だけがポッカリと浮いているような非常にシンプルな状態なのである。」
「ところが不思議なもので、そんな最低な状態の中から、いいアイディアがフッと浮かんだり、ヒントがパッと目に飛び込んできたりする。ちょうど宝くじにでも当たったような不思議な感じだ。どん底に落ち込んだときには、いつもなにか新しい技術のヒントなり問題解決の糸口が見つかる。これが私の成功パターンなのである。」
「普通の若い男性なら、いくら魅力的に見える女性がいても、勇気を出して告白などなかなかできないものだ。だが私は、自分の好きなことを好きなようにやると決めていたから、彼女を誘うときも躊躇はなかった」
「そのときそのときにみんなが好きなことをすればいずれ道は開けていく。そう、好きなことだけやればいいのである。」
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変わり者だ。大学の友人への絶縁宣言・・謎。
会社でのレクにも参加せず、自分の研究開発に没頭する。
日本の教育システムに反旗を翻す。言っている事は納得がいく。
でもこの人勉強もできるし頭もいい。才能はあるから、努力を努力と感じないんだと思う。 -
とても読みやすく本でした。
ちょっと独善的かなと思うとこともありましたが、自分の経験を具体的に述べていて裏づけがある意見なのでそれはそれで勉強になりました。
研究者の人(または目指す人)は一度読んでおくべきでしょう。