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  • Amazon.co.jp ・雑誌 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902075496

感想・レビュー・書評

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  • 待望の5号は32頁増量!いやー喜ばしい。例によって読み切り中心で感想。
    「棺職人の娘」アンジェラ・スラッター 英国幻想文学大賞受賞作。現代的なコミックぽい視覚的イメージのある短篇。主人公と死んだけど付き纏う父親との掛け合いが楽しい。(2020年3/21再読したが、やはり面白いね)
    特集サイバーパンク/SFホラーの4作。
    「エレクトリック・アイ」ローレル・ハルバニイ ハッカーがネットワークからひいいきのアイドルをストーキングする話。いわゆるホラーっぽさは薄いものの軽妙な筆致の中に潜むイヤさ加減はなかなかのもの。ネタ的に現代日本とシンクロしているのも興味深い。
    「切断された男」ブライアン・M・サモンズ オカルト事件を追う探偵ハードボイルドものだが、断章形式を言葉の連鎖でつないでいくかなり技巧的な作品で、デキる人とお見受けした。
    「快楽空間」グリン・バーラス タイトル通りのエロティック・サイバー・ホラー。特集解説にもある様に、サイバーパンクは意識や身体変容を描いているからその分変化への恐怖心とも結びやすくホラーと親和性が高いんだな。本作にもそれが現れている。
    「ブージャム」エリザベス・ベア&サラ・モネット 宇宙海賊の話でクトゥルーものなのか。船のアイディアなどSF的にもなかなか面白いがちりばめられたキーワード元ネタがあまり分からないのがもどかしい。さらにクトゥルーと関係があると思われない、エンターテイナーの歴史を変えた稀代のパフォーマー<ジョゼフィン・ベイカー>の名前が鋼鉄船に使われているのはなぜ?それとも関係あるの?
    以下2つの連続企画。
    ‘ホラーの巨匠・作品とインタビュー 夜の声1’ロバート・ブロック
    「夢の窓」 ひきこもり始めた娘の心の中は・・・。ブロックってスパッと展開していくイメージがあったけど、この作品は割とじっくりしたホラー。ただオチの切れ味はこの人らしい。面白かった。
    「ラブクラフトからハリウッドまで」 1979年掲載されたインタビュー。明解な回答が多く理知的な人であることが分かる。道徳的な作風と自己認識していること(コンパクトなホラー論にもなっている)、SFを書くのは得意ではないこと(科学的知識は多くないとのこと)などの話が印象に残る。
    ‘センスオブ・ホラー、ブラッド・オブ・ワンダー’第一回小松左京
    「海の視線」 日本SF作家のホラー短篇を発掘していくコーナー。小松左京のホラー作品の質の高さは有名だが、これはまた<コズミック・ホラー>の風味があって良いね。いわゆるクトゥルーものではないのだけれど、読み応えのある井上雅彦さんの解説にあるようなクトゥルーと日本SFの関わりみたいなものは全く意識していなかったので非常に新鮮だった。クトゥルーものはもっと読まないとなあ。
    もう一篇。
    「Play of Color」石神茉莉  失踪した妻の謎が次第に明らかにされじわじわと高まる緊張感がいい。これも面白かった。

著者プロフィール

一九五六年、北海道生まれ。東洋大学文学部仏教学科卒業。
国書刊行会に入社し、ラヴクラフト作品などの企画出版を手掛ける。八六年、『魔教の幻影』で小説家デビュー。オカルト・伝奇小説を中心に幅広く執筆し、近年は室町時代を題に取った作品を精力的に発表している。二〇〇五年、短編「東山殿御庭」が日本推理作家協会賞候補。アンソロジストとしても高い評価を得ている。

「2023年 『一休どくろ譚・異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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