グラッサー博士の選択理論

  • アチーブメント出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (575ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902222036

作品紹介・あらすじ

夫婦・親子・教師と生徒・マネジャーと従業員との上質な人間関係のあり方を明解に説き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 重要な選択理論の要素は10個

    ①コントロールできる行為は自分の行為のみ

    ②周りから受け取るのは全て情報

    ③人生のほとんどの問題は人間関係
    ④現在の人間関係に注目することが肝要
    ⑤過去は人間関係の問題解決に役に立たない

    ⑥5つの欲求を満たせ

    ⑦上質世界

    ⑧全行動
    ⑨選択を動詞であらわせ
    ⑩直接コントロールできる全行動は行為と思考

  • 2015.12.20
    "神よ我に与え給え、変えられるものを変える勇気と、変えられないものを受け入れる心の平静と、それらを見分ける叡智とを"という格言がある。これを知った時、変えられるものとは、変えられないものとは何だろうと不思議に思って考えてみた。結果、時間軸で言えば過去と未来は変えられず、現在のみが変えられる。物事で言えば、世界、他者、自分以外のものを変えられず、ただ変えられるのは己のみ、という結論に至った。本著の選択理論は、そういう私の愚な考えを、よりスマートに理論化して提供してくれた。第一部、第1章では如何に外的コントロール心理学が人間が幸せに生きる上で問題解決に役に立たないかを教えてくれる。我々は刺激→行動しているのではない。刺激→選択→行動している。よって選択により我々は自らの行動をいくらか自由にコントロールできるし、まさにこの選択によって我々は刺激からも自由である。また我々の不幸の大半が人間関係の問題だという指摘も興味深い。第2章は欲求について、生存、愛と所属、力、自由、楽しみの5つを述べている。私はこの欲求理論において、少し簡略化しすぎではないか、生得的に完全に決まるものなのかという懸念はある。しかし欲望の種類とその強弱を理解することが人間理解に重要だという点では同意する。何を、どのくらいの強さで求めるかが人間の理想世界=上質世界を決める、これが第3章。自らの欲望が上質世界を作り、その主観的世界から世の中への関心が変わるというのは欲望関心相関性理論と同じ意見である。第4章は選択理論について。生きるとは行動=全行動であり、それは思考、行為、感情、生理反応がパラレルに作用することである。そして我々の選択の手の内にあるのは、思考と行為のみである。この2つだけが直接変えられるものであり、感情と生理反応は間接的に変えられる。また不幸からの脱却には、求めているものを変えるか、していることを変えるか、両方を変えるしかないというのは、ルソーの欲望と能力の対立による不幸理論と同じである。第6章には葛藤という2つの欲望=理想=上質世界の対立の解決法、つまり別の上質世界を見出すという第3の案の提出という方法があるが、これもまた不幸への対処の方法である。それと、みじめな、落ち込みという感情を、その原因から探るのではなく、その目的から、つまり怒りの制御、SOS、逃避という目的のため落ち込みを選択しているという考え方はアドラー心理学的な捉え方である。第5章は解決のサークルという、人間関係の構築の仕方について、また交渉による問題解決の方法について。第7章は創造性システムの二面性について、まさに人は創造力によって問題を解決するのと同時に、創造力によって殺されてしまう。人間の脳は、頭の中の創造世界と現実世界を区別できないという脳科学的知見があるが、まさにそのことだろう。第二部の実践編、第三部の応用編はくどくわかりにくかったので読み飛ばし。第13章に10の要点がまとめられている。1.我々が唯一変えられるのは自らの行動、それも行為と思考のみで、他者にも世界にも決定的な選択はできない。未来にも過去にも。2.我々が受け取り、与えられるのは情報のみである。第1章にもあったが、情報(刺激)→選択→行動であり、情報に如何に反応し選択するかの自由は我々の手にある。3.心理的問題のほとんどが人間関係の問題である。逆を言えばよりよい人間関係の構築法を知ることが幸福への道である。4.その問題というのは、過去や未来ではなく、現在、今における人間関係の問題である。5.過去を知ることは幸福や問題解決の役には立たない。私はこれは懐疑的である。実験主義を唱えた教育哲学者デューイは、よりよい学習、よりよい思考、よりよい行動が、よりよい問題解決に繋がると述べた。よりよい学習とは、問題解決に繋がる行動や思考に貢献し得る知識を得ることである。これは過去の反省からも得られるのではないか。変えるべきは今であっても、どうよりよく変えられるのか、その方法を探るための材料として、過去を知ることは必要ではないかと思う。6.人間は5つの欲求、生存、愛と所属、力、自由、楽しみを持ち、各々の強さは個人差がある。7.上質世界はこの欲求を満たせる世界として存在する。よって上質世界を満たすことが幸福である。また満たし得ないイメージを上質世界に入れる=誇大的自我理想は不幸の原因である。8.生きるとは全行動であり、それは行為、思考、感情、生理反応が相互作用的並行的に作用している。何が何の原因であり結果ということはない。9.そして我々の行動は全て自らの選択による。落ち込む、というのも、感情と思いきや、それと不可分な思考や行為により生まれている。よって自らの全行動はすべて自らの選択によるものであり、再選択可能である。これは「楽天主義セラピー」にも書かれていたことである。10.そして我々が直接的にコントロールできるのは、行為と思考のみである。これらの理論から私にとって目新しかったことは、全行動という概念、行為と思考のみしか変えられないという知見を改めて提出されたことである。しかし逆を言えばそれ以外はどこかで聞いたことのある理論や知識ばかりだったとも言える。これは個人的な意見だが、人間が幸せに生きるための理論や知識というのは、既にもう十分提出されているのではないだろうか。つまり、何をすれば幸せになれるかはもう、人類の英知は発見している。しかし問題は、それを如何に実践するかではないだろうか。理論、思想、知の体系というのは、その内容による新しさではなく、その構成、わかりやすさ、習得しやすさ、今まで提出された知識や理論を如何に組み合わせるか、というところに価値が移っているのではないか、なんて思ったりもした。選択理論も、知識として持っているだけでは役に立たない。未来や過去でなく現在を、他者や世界でなく己の行為と思考とを常に念頭に、生きていこうと思う。特に他者にたいし自らの正論を押し付けたりすることなく。他者にできることは強制でも矯正でもなく、情報の提供、対等な話し合い、そして気づいてもらうことである。著者の精神科医としての経験から生まれた、人間が如何に生きるべきか、如何に生きれば幸福かという問いの答えとして提出された、選択理論についての本。

  • 「選択理論」ってワードを知り、興味を持った。
    アドラー心理学とか、「7つの習慣」と、共通している部分がある。「自分の思考と行動しかコントロールできない」ということを肝に銘じる。他は悩んでも仕方ない。
    そんなことを度々、目にするので(私が選択してるんだけど)、身についてきたら生きやすく、ストレス対処になるよなーと思う。

    ただ概要はわかったものの、邦訳が読みにくい。日本語の文章としてスラスラ入ってこない…
    これは原文を直訳してるってことかなー。
    日本語ではこう表現しないよな、とか、文章の構成が読みにくい、と感じてしまい、全部しっかりは読めなかった。

  • 第1章に親子関係に関する「痛い」示唆がある。

    「強制や復讐ではなく、交渉をすることである。これ以上罰を与えるのをやめる理由を子供に話すことだ。つまり、子供との関係が勉強よりももっと大切だということ、昔のように何か楽しいことをしたいと思っていることを話すことだ。」

    そう。子供は言って聞かせたってわからない。以前に叱った過ちを懲りずに繰り返す。だから、親は罰を与える。すると、子供は過ちを改めるよりも、罰に耐えるほうを選ぶのだ。この悪循環に入り込んで久しいだけに、痛いところを突かれた気がする。

  • 物事をどうとらえるかは、自分自身で選択できる。



  • 選択理論は「人は自分で自分の行動を選択している」と考える心理学です。
    提唱者による本書は、内容が幅広く(学校や地域社会など集団で活用するケースを含む)、初めての方には別の入門書をお勧めします。

  • 様々な状況でのカウンセリング事例で説明されていて、身近な内容が多く分かりやすい。コントロールできるのは、自分の行動だけで、外部からの言動では、人を変えることはできない。自分以外の人から受け取るのは情報であり、それをどのように処理するのは、それぞれの選択である。(e-honより)

  • とても読み難く、途中で何の本を読んでいるのか分からなくなった。3,800円と高額だったこともあり、挫折しかけたところを何とか頑張って読み切った感じ。全575ページたが、最後の13章7ページに本書の内容がまとめられており、そこだけ読めば、十分だった。

  • 571ページ。例で出てくるやりとりが長くて読むのに時間がかかった。要約版があれば読みたい。
    自分がコントロールできるのは自分の行動だけ、というところは長い例を読んだおかげで理解できた。

  • 放送大学図書館

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