「希望」という名の船にのって

著者 :
  • ゴブリン書房
3.73
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本棚登録 : 84
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902257205

作品紹介・あらすじ

本格ジュブナイルSF登場!!
二○XX年、地球に正体不明の病原体が広まり、人類は絶滅の危機におちいっていた。病原体から逃れるべく、いつ終わりを迎えるかわからない旅に出発した人々がいた───。ヒロシは、地球のことを知らない「船生まれ」の子ども。 午前中は教室で勉強し、午後は農場で食糧となる作物を育てる、自給自足のシステムが整った船内では、それがあたり前の日常だった。 だがある日、立入禁止の部屋の窓から見たものは、ヒロシがそれまで考えもしなかった、驚くべき光景だった……。

感想・レビュー・書評

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  • 小学校4年生〜
    読みやすく、バランスが良く、はらはらさせられる展開だが残酷な描写は無い。
    周りの大人も私利私欲に走る者がおらず、子どもたちを見守ってくれ、安心して読み進められる。
    それは非現実的で、八方美人な設定かもしれないが、子どもの周りの大人たちとはそうあってほしいのが理想というものだろう。
    恐ろしい困難以外に余計な「敵」が増えないというのは筋道もすっきりしていて好印象。
    学校図書館に置いておくに理想的かつ、多くの子に勧めやすい良作。
    授業中のブックトークにも使いやすく、先生方にも好評である。また一部の教科書にも、推奨本として掲載されている。
    私のブックトークでは「希望」が本当はどこにいるのかを、主人公のヒロシが知ってしまうところまで明かしておく。最近の子たちはその危機的状況がすぐさま理解できるようで、驚く様子が楽しい。
    そして食糧難が起こり、老朽化も進み、残された時間が容赦なく無くなっていく中、果たしてどうやって帰還するのか、帰還しても地球は無事なのか……という形で終わらせる。
    主に男の子たちに人気がある作品。

  • 「本格ジュブナイルSF登場!!
    二○XX年、地球に正体不明の病原体が広まり、人類は絶滅の危機におちいっていた。病原体から逃れるべく、いつ終わりを迎えるかわからない旅に出発した人々がいた───。ヒロシは、地球のことを知らない「船生まれ」の子ども。 午前中は教室で勉強し、午後は農場で食糧となる作物を育てる、自給自足のシステムが整った船内では、それがあたり前の日常だった。 だがある日、立入禁止の部屋の窓から見たものは、ヒロシがそれまで考えもしなかった、驚くべき光景だった……。」

  • 何が一番「SF的」かというと、物語の舞台である希望号が置かれている状況が、当初、思っていた(説明されてきた)ものと違い、どういうものであるのか、その「どんでん返し」する発想の部分だった気がする。
    「宇宙」だけがSFの舞台じゃないんだよな(^^)!
    子どもたちが一生懸命で、前向きで、希望を目指そうとする姿を楽しく読んだ。

  • (放送原稿より)
    地球に正体不明の病原体が広まり、人類は絶滅の危機におちいっていた。
    病原体から逃れるべく、「新しい地球」を目指し、いつ終わりを迎えるかわからない旅に出発した人々がいた。
    その船の名前は「希望」。
    主人公のヒロシは、地球のことを知らない「船生まれ」の子ども。12歳。
    ヒロシは、空や海、それから乗組員以外の人間や生き物を見たことがなかった。
    午前中は教室で勉強し、午後は他の子どもたちと船内の農場で食糧となる作物を育てる日々。
    自給自足のシステムが整った船内では、それがあたり前の日常だった。
    だがある日、立入禁止の部屋の窓から見たものは、ヒロシがそれまで考えもしなかった、驚くべき光景だった。

    私は、このあらすじが気になって、読み始めたんですが、まあ、ほんとに天と地がひっくりかえって
    しまうくらいの驚きで、さらにこの本のすごいところは、びっくりだけでなく、
    そのしかけが、ドキドキハラハラしながら最後まで読ませてしまうところです。
    そして、この本を誰かに薦めてこのびっくりを共有したくなります。なったので、今回紹介しました。

  • 最後に、地上に出られてよかった。あと、宇宙にいると思っていたのに、本当は海の中にいたのが、ビックリした。
    二日   239p

  • ヒロシの乗る船「希望」はずっと昔から旅をしている。12歳のヒロシが生まれる前からだ。ヒロシたちはこの船で生活する住民だ。12家族41人。大人たちはそれぞれ、船での仕事がある。15歳以下のヒロシたち子供は、希望は宇宙船だと信じている。しかし・・・


    20XX年、地球に正体不明の病原体が広まり、人類は絶滅の危機におちいっていた。
    海では比較的、病原体は猛威をふるわないということで、海に逃げ出した人びとがいる。ヒロシたちの両親たちとその仲間は、一時的のつもりで「希望」に乗りんだものの、機械トラブルで潜水艦が浮上しなくなり、海底にとどまったまま、ひたすら時を重ねてきたのだ。
    しかし、船の機械トラブルは深刻なものとなってゆき、
    ヒロシたちも
    今まで知らなかった自分達の現状を知ることとなる。

    深い海底で、どのように生きる道を探ってゆけるのか。

    ジョブナイル小説。小学生高学年から

  • 一種の漂流物。船という閉鎖された空間で生まれ育った子どもたちが主人公。この「船」は汚染された地球を旅立ち、「新たな地球」を見つけるために航行中という話なのだが、真実はどうやら違うらしい。そして船が老朽化とともに避けられない各種トラブルを起こし、乗務員たちは希望と絶望が文字通り入り乱れる中、生存をかけて動き出す。そしてついに地上の人たちに救助され、夕日が沈む海を背景に、新しい船へと乗り込むのだった。

    2010年に発表されたこの作品、まるで今の閉塞感あふれる日本のことを描いているような錯覚を起こす。不具合のため海底に沈んだきり動けなくなった潜水艦。動かなければ死が待っているという状況になってようやく重い腰を上げ、深層海流に乗って浮上するというイチかバチかの賭け。結局いくつかの運と過去の努力が幸いして海上に引き上げてもらうことができるのだが、最後、主人公の少年が船から出たくない、と一瞬にせよ思うところ、さらに救出された人々が朝日ではなく夕日のなかに佇んでいるところ、なんだか明るくない未来を予想してしまう。

  • ジュブナイルSF。
    いまの子どもたちに向けた新しいSFが書かれているのが、まずうれしい。ありえそうな未来の展開に、ひきこまれて一気読み。

  • ★★☆☆☆
    謎の病原体から逃れ新天地を目指して宇宙をすすむ「希望」号。
    しかし、大人たちが子どもたちに隠している秘密があって・・。
    筋書き通りに物語りが進んだなあという、物足りなさが。
    子どもたちだけ、あるいは大人だけの物語であったら、また違うかったかも。
    (まっきー)

  • ジュブナイルSF。
    わくわく感が味わえるが、物たりなさも感じる。

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著者プロフィール

1951年、高知県生まれ。SF作家、評論家。東京大学文学部心理学科卒。79年、短編「プアプア」で「SFマガジン」よりデビュー。著書に『コスモス・ホテル』(早川書房)『天国の切符』(新潮社)『現代SF最前線』(双葉社)『思考する物語─SFの原理・歴史・主題』(東京創元社)などがある。

「2010年 『「希望」という名の船にのって』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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